企業における人とIT ~主役が変わる~
ちょっと前まで「業務プロセス設計作法」を連載していましたが、この設計法は従来の考え方とだいぶ違うと思っています。それは単にメソッドとしての違いというわけではなく、企業における人とITの関係が変化したということなのです。働き方が変わったのであり、ITの使い方が変わってくることを意味しています。
そこで今日からこのあたりについて少しずつ書いていこうと思います。今までもずいぶんとそれらしいことは書いてきましたが、繰り返しになる部分があるかもしれませんがもう一度おさらいしてみることにします。
それでは、人とITの関係がどう変わるのでしょうか?
結論的なことから先に言いますと、「ITに使われる」ことから「ITを使う」ことへの変化であると言うことができます。ええ、そんなことはすでにやられているから、今さら何を言うのという反論が聞こえてきそうですが、そうでしょうか。
企業の情報システムにおけるこれまでの主役はITであって、人間はITに使われていたのです。そのあたりを少し具体的にみていきます。
もともと企業情報システムの成り立ちは、「電子計算機」を使って会計処理や給与計算をすることであったと思います。そして、当時はその「電子計算機」は高価で、しかも使える端末の数も限られていたので一部の人たちだけが利用していました。
こういう状態では、人とITの関係はどうなっていたでしょうか。使い方としては、生産量だとか販売量や購買量などをコンピュータに向かってせっせと登録していました。コンピュータは決まった時間までに、決まったフォーマットで、決まった操作で打ち込むことを人間に命令していたわけです。
そして計算処理の手段がどんどんコンピュータに移っていくと、ますますコンピュータの言いなりに人間がデータ入力を行なっていくようになりました。
だから、一部の人は腹が立ったものだから、本来自分で打たなくてはいけないデータを事務の女の子にパスワードを教えて代りに打たしたのです。
この関係って今のようにERPや業務パッケージが導入されてもやっていることは昔とあまり変わっていないように見えます。相変わらず、データをメモして派遣の女の子に「このデータ、ERPに登録しておいてよ」と言っているのではないでしょうか。
この関係を逆転させることがこれからの企業情報システムの大きな課題であると思っています。
すなわち、ITが主役の企業情報システムを人が主役となれるかたちに変えることが求められているのです。それができてこそ、業務プロセスの可視化であったり、内部統制対応だったりするわけです。ITに使われたままでは、自分たちの意思を反映する仕組みとはなり得ないのである。自分たちの意のままに動くシステムこそビジネスに貢献できるものになるのです。
次回からもう少し掘り下げながら、どうやってそれを実現していくのかといった議論に持って行きたいと思います。
