感知-判断-アクションのトライアングル
ここからは、オペレーション志向に基づいて、どんな機能や構造が必要なのかというオペレーション設計について考えていきます。おそらく、こういう概念で設計するといったことはあまり聞いたことがないように思います。部分的な機能を使えとか、はめ込むことはするが、全体構成をデザインすることはないのではないでしょうか。
以前、業務プロセスの定義について書いたが、狭義のものと広義のものがあることがわかる。狭義のものは、簡単にいうと、決められた手順に従って、業務処理を行って、所定の結果を出すことであるが、もう少し、ビジネス上の諸活動を含めた広義の規定をした方がいいように思う。「ビジネス活動」に主眼を置いた考え方(オペレーション志向)である。
そうなると、ビジネス全体をどう動かしていくのかといったスコープで見て行くことになる。なぜそう思うかというと、以前に言ったようにBPMだとかBAM、BRM、SOA、SaaSとかいう言葉を断片的にとらえる傾向があるからである。それぞれを取ってみて、プロセスをどうする、ルールをどうするというふうな議論をしても仕方がないのではないかということである。
ですから、それらを総合的、構造的、有機的にとらえることが大事だと思う。ただ、その中でも中心に置くのはプロセスであることは言うまでもない。なぜなら、最終的なアクションに落とし込むのはプロセスだからである。
ですから、プロセスが機動的かつ効率的に動くために周辺の機能があるという考え方である。そこで、前述した3文字熟語をみると、Monitoring、とかRuleといった言葉がポイントになる。従って、“活動(オペレーション)“というのは、結局、何か起こったことを感知し、それをどうするかを判断して、アクションを起こすということになるのではないでしょうか。
感知-判断-アクションという三角関係がイメージされます。これが、従来になかった視点であって、オペレーションをしっかりやることが大事であるということを意味しています。
さて、このことは再三指摘していることなのですが、生産プロセスを想起させられるのである。ただ、これまではどちらかというと、業務プロセスも生産プロセスも同じプロセスがあるといった程度の見方でしたが、もう少し、制御とオペレーションということに踏み込んでみたいと思います。
感知-判断-アクションはまさにケミカルプラントのコントロール&オペレーションそのものだからです。かなりの共通性を有しているといえます。
さて、これまでの業務プロセスでは、単にプロセスを実行すること、そしてその結果を登録することが主眼になっていたように思います。それでも良かったのです。従来のビジネス活動では、それほどスピードやリアルタイム性を要求されていなかったのです。
ですから、スタティックな動きでも何とかなったのですが、今では全く違ったスピード感が要求されているように思います。そうしたとき、現に起こっていることを素早く感知して、その事象に対して、迅速にかつ的確な判断を下し、しかるべきアクションを誘導するという一連の動作が重要になってきます。
連続系のケミカルプラントでは、原料を投入すると、それらを分解、分離、合成、添加などの単位操作の連鎖により製品が生み出されます。これがプロセスで、単位操作がアクティビティに相当します。
そして、この単位操作は、加熱、冷却、圧縮などのアクションで実行されていきますが、そのとき、単位操作の前の流体の状態を感知し、それによってどういうアクション条件にしたらよいかを判断して、その値を投下します。多くは自動制御という形でなされ、同時にその制御の結果も感知してフィードバックによる修正動作もおこないながらオペレーションを行うわけです。
おそらく、これからの業務プロセスにおいても同じような考え方でコントロール&オペレーションが行われていくような気がします。プラントオペレーションではもっと進んでいて、さらに広い範囲での状態検知をして、最適化の制御が行われています。例えば、コスト計算をして、コストミニマムモードにするとか、そうではなくプロフィットマックスモードにするとかといったマクロレベルの複合的なコントロールである。
こうしたエンジニアリング的思考は何も金融工学だけではなく、もっと基礎的な理論でいいのでそれを業務プロセスコントロールに持ち込むのも必要ではないかと思うのである。