Web2.0のインパクト
前回、オープンソースのCMSの話がでたが、いま話題のWeb2.0とBPMはどういうことになるのだろうか。ここは、前に言ったBPM2.0という意味ではなく、Web2.0の思想やサービスモデル、技術についてのことだ。
Web2.0というとつい、Google、Amazon、Yahooといった企業あるいはWikipedia、SNS、ブログ、Youtubeといったサービスに注目するが、実は重要なことは、そこにある思想と支える技術の両面をきちんと理解することではないでしょうか。
有名なO’Reillyが作成した下記「Web2.0ミームマップ」を見るとWeb2.0の概念がだいたいわかる。

このなかから、BPMあるいは企業情報システムと関連する記述を見てみよう。
まずは、情報のハンドリングについては、「情報の自己コントロール」「集合知の利用」「参加のアーキテクチャ」がある。すなわち、Wikipediaに代表されるようにみんなが知恵を出し合ってできたものが一番いいものができるということ、さらにSNS、ブログ、Amazonレビューのような皆が情報の発信者になれるということで、こうしたユーザを信頼する楽天的民主主義の色合いが強くでているのがわかる。
システムのつくりみたいな領域では、「プラットフォームとしてのウェブ」、「パッケージソフトウエアではなくサービス」「永久にベータ版」、「利用者が増えるほど改善されるソフトウエア」、「モジュール化とゆるやかな統合(コンポーネントとしてのウェブ)」といったところになるが、これまで議論してきたことに大いに関連していると思いませんか。Webの世界と企業情報システムサイドとがだんだん近づいてくるように思えます。
ただし、ここで重要なことはWeb2.0の世界というのは、既成の概念を打ち破るパラダイムシフトのことですから、企業にとっても情報システムだけの話ではなく、企業体質、組織、仕事のやり方などが変革されなければ受け入れられない思想なのです。次世代の企業をめざすのなら、Web2.0的体質にならなくてはいけないし、脱皮できた企業が生き残っていくような気がする。
Web2.0によってもたらされた変化はいったいなんなのだろうか。
企業にインパクトを与えるものとしては、まず参加型のアーキテクチャがあげられる。ブログやソーシャルネットワークに代表されるように誰でも情報発信できるようになったことが大きい。これまで情報交換はせいぜいメール(メーリングリスト)ぐらいでしたが、これからは社内ブログのようなものも出てくるでしょうし、社外に対しても積極的に情報発信していかないといけなくなるわけで、これは、結果的に情報共有、情報公開ということが非常に重要な要素となり、平気で「不都合な真実」を隠蔽するような企業は生き残れなくなる。
この参加型のアーキテクチャというのは、従来の階層型の組織では受け入れられない考え方で、組織をフラット化してこそ生きてくる。実は、前回ステータス管理という仕事のやり方について書いたが、これがまさに参加型のワークフローなのだ。
従来のように階層化された組織を順番に仕事を流していくやり方では、そのフローのなかで業務処理の状況がどうなっているのかわからないまま、自分のところに“さあ、承認お願いします”と来ても困ってしまう。最初から利害関係者が参加し、そこで意見交換しながら仕事を進めていけば、自ずと意思決定も早くなるのではないでしょうか。
また、オープンソースプログラムのようにネット上にソースを公開し、そこに誰でもアクセスでき、知恵を出し合いながら作り上げる。こうした、知的生産活動はいままでのように個人で仕事を抱え込み、また抱え込むことで自分の存在価値を確認しているようなやりかたと違い、「永久にベータ版」として早めに衆知にさらせば、知的生産活動で生み出される情報の質はかなり向上する。要するに、社内の情報を握っているだけで部長になるようなことがなくなっていくということだ。
いまや、こうした情報リテラシーをもった若者がどんどん会社に入ってきている時代だ。会社自体も会社2.0に変貌していかないと、入社したはいいが3年で辞めていかれてしまうのではないでしょうか。
さらに、これまで自分のデスクトップ上にあったデータをネットワーク側に蓄積するようになり、それを基にネットワーク側から様々なサービスが提供されるようになった。それとソフトウエアが無料で使え、インターフェースも標準化され、簡単にHack、Mashupできてしまうチープ革命といわれることがあります。
しかしながら、この恩恵を受けるには自己責任ということを覚悟しなくてはいけない。それができる企業は自らの手で自らの責任でシステムを構築していくことを選択すべきであろう。それがいやなら、相変わらずベンダーの言うとおりに、20%の機能しか使えないソフトウエアを買い続けることだ。
ただし、無条件に無償のオープンソースを使うことを薦めているわけではありません。そこには、今言った自己責任ということとともに、技術に対する目利きと使いこなす技術力がいるため、やみくもにとびつくことはしないほうがいいと思います。自社のリソースを頭に入れて、そのメリット、デメリットをきちんと見極めることが大事です。
今回は、Web2.0の思想と企業の体質、組織などについて述べたが、次回はもう少し技術的な側面について考えてみる。