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演芸・演劇 アーカイブ

2006年09月23日

柳家小里んを知っていますか

池袋演芸場で柳家小里んの独演会があった。演目は「首提灯」と「子別れ」。両方とも面白かったが、人情噺の「子別れ」がよかった。味がでてきていい感じになってきた。小里んさんは年2回の独演会と東西三人の会といって、笑福亭松喬さん、古今亭 志ん橋さんと一緒の落語会をやっていて、ぼくはだいたい行くことにしている。柳家小里んはかの有名な5代目小さんの弟子で小せんや小三治、今度6代目小さんを襲名した三語楼(5代目小さんの実子)らの弟弟子にあたる。風貌が先代小さんに似ていて小さんの弟子以外なにものでもないと思える。

実は、ぼくは小里ん師匠(呼び方がだんだん変わってくる)とたまにですが、行きつけの店で隣あわせで呑むことがある。ぼくは基本的にはひとりで呑むことにしているが、師匠もひとりでやって来る。歳もほぼ一緒くらいなので(師匠が一つ上)、けっこう話が合って、いつも楽しいお酒になります。落語もブームみたいでけっこうお客さん来るようになって喜んでいましたが、特に若いひとが増えてくるのはいいのだけど、「長瀬君はいつ出てくるの」と言われてびっくりしたという落語のような話もしてくれます。

よく世の中狭いなあと言いますが、この店でもおもしろいことがあって、あるとき2~3回くらい一緒になったひとでHさんというかなり高齢のかたがいて、何回目かに世間話をしていたとき住んでいる場所の話になったんですが、何とそのひとはぼくのうちから200mくらいしか離れていないところに住んでいたのです。まあ、こんな話や何回か一緒に呑んでいたんだけど実は同級生だったということがあとで判明したといったたぐいの話も聞くことがあります。

さて、小里ん師匠のことですが、あるとき小さんの剣道の話になって、5代目小さんは北辰一刀流剣道7段の腕前なので弟子には剣道を習わせたということや小さんの剣道の先生に鈴木先生という師範がいたなどの話題となった。そこで、世の中狭いなあという話です。

ぼくは、昔サッカーをやっていて、高校生のときの顧問の先生が鈴木中先生といって少し前まで神奈川県のサッカー協会長をやられた方で、このあいだのドイツのワールドカップも自分でツアーを組んで行ってしまうほど元気な方なのですが、その先生のお父さんがかの鈴木師範だったのです。ということで、小里ん師匠とぼくは同じ鈴木先生の孫弟子にあたるということがわかったわけです。もちろんさらに酒が進んだのは言うまでもありません。

追っかけではありませんが、これからも柳家小里んの落語を見守って行こうと思います。よく、志ん朝と同時代に生きられて幸せだったとか言うように、確かに落語というのはあとでCDで聞くこともできますが、リアルタイムに高座を見て聞かないとほんとうのよさはわかりません。誰か好きなあるいはこだわる落語家をみつけその噺家を軸に落語全体をみていくというのも悪くないと思うのでお薦めです。

2006年12月22日

居残り佐平次

恒例の「柳家小里んの会」に池袋演芸場まででかける。今回の演題は「居残り佐平次」と「猫の災難」。最初の「猫の災難」で酔っ払いを軽妙に演じ笑いを誘ったあと、「居残り佐平次」は品川の遊郭に居残り覚悟で遊びに上がる話で、これは病んで身体の具合がよくない佐平次が、捨身というか開き直った軽やかさが肝のところなのだが、ここに若干不満が残る。落語というのは、角度を変えると残酷であり、極端な言い方をすればいじめがあり、与太郎がバカだチョンだとさんざん言われるわけで、それを笑いとばしてしまう乾いた明るさがいいところなのだ。そこには、“開き直り”というか、何というかある種の諦念があるような気がする。ここの表現が落語の芸であるというのは言い過ぎだろうか。ここで小里ん師匠にあえて言わせてもらえば“けつをまくる”感じがほしい。まじめなんですね。

実は、この「居残り佐平次」を題材にした映画がある。1957年の日活映画で川島雄三が監督した「幕末太陽傳」で、この「居残り佐平次」の他にやはり「芝浜」、「品川心中」という落語からネタをもってきた作品である。

この映画で主人公である「居残り佐平次」を演じたのがフランキー堺である。今の若い人は知らないでしょうが(リリーフランキーのおじさんではありませんよ)、フランキー堺というひとは元々ジャズドラマーですが、映画、テレビ俳優として活躍し、多くの作品に登場していますが、ぼくはこのひとは「私は貝になりたい」と「幕末太陽傳」につきると思う。名前と顔つきからバタ臭いイメージのキャラクターをもって逆に日本的な日本人を演じる面白さが印象的だ。特に「幕末太陽傳」における、“人生深刻ぶるなよなあ”みたいなノリの演技は秀逸であったことを思い出した。ともかくこんなことを考えた落語会であった。

ところで、小里ん師匠の弟子で今回も助演している柳家麟太郎が、来年「柳家麟太郎の会」というのを蒲田でやるというチラシをもらった。うれしいじゃありませんか。みなさん応援してやってください。

2007年01月19日

雰囲気だけでも歌舞伎

歌舞伎を観たことありますか?
若い人はなかなか観る機会もないかもしれませんが、そうでない人も映画を観るようにはいかないかもしれませんね。

昨夜あるひとと会食することになっていて、その店がちょうど歌舞伎座の裏にあった。ということで久しぶりに歌舞伎でも観てやろうと早めに出かけた。観るといってもちゃんと通しでみるには時間もお金もかかるので、ぼくはいつも一幕見席というやつで、一幕だけ観ることができるシステムを利用する。1500円で最上階の4階の席である。

観た演目は、夜の部の最初にやる「廓三番叟(くるわさんばそう)」という華やかな祝祭舞踊と「金閣寺」です。「金閣寺」には、松本幸四郎、中村吉右衛門、坂東玉三郎という豪華な布陣。

一幕見席というのは何しろ4階から見下ろすのでポツンと見えるし、声も聞き取りにくいので何となく芝居をしているなという感じ。しかし、歌舞伎はこれでも十分堪能できる。舞台も豪華で華やかだし、役者の振る舞いも大げさだし、定番の劇であるということも含めて雰囲気を味わうことでいいんじゃないでしょうか。

会食は、「越州銀座店」というところで新潟の料理、酒をいただく。ここは酒も旨いが酒の肴はなおいい。そのあと8丁目の“パパさんのいるクラブ”で軽く呑んで帰る。

2007年03月03日

テレビ東京

テレビ東京がおもしろい。このテレビ局は、年寄りとサラリーマンにターゲットを絞っているようだ。懐メロや温泉めぐり、鑑定団を放送するかと思えば、かたやWBS、カンブリヤ宮殿とかガイアの夜明けというように、年寄りが好むものと経済の話を中心とした企業人向けに見るべきものがある。

歳を食った一応勤め人であるぼくにとっては、ここのチャンネルに行くことが多い。で、ちょっと前になるが、先週の日曜日の夜は楽しかった。日曜日だから経済の話ではないが、懐かしい人たちのオンパレードであった。

まず、日曜ビッグバラエティで「昭和を駆けたスター同窓会」というのがあって、メキシコ五輪で銅メダルをとったサッカー代表やベルばらの宝塚歌劇団、俳優座、西鉄ライオンズなどで活躍した人が、集まって同窓会を行うという企画。若い人はなかなかわからないと思うが、かれらはみなぼくらにとっては憧れでもあり、ファンとして一緒に少年期、青年期を過ごしたのだ。

特に、ぼくのうれしかったのは西鉄ライオンズで、ぼくは小さいときは野球少年だから、稲尾や中西、豊田、大下、仰木らのプレーに酔ったのを鮮明に覚えている。この放送で何がうれしかったかというとよく稲尾だとか有名な人はちょくちょく顔をだすが、そうではなかった準レギュラーであったとか控えであったという渋い選手が登場したことであった。河野、滝内、和田、梶谷とかいった人が出てきてすごくなつかしかった。

そのあとに、「ソロモン流」という番組でマイク真木の登場です。もう“バラが咲いた”一曲で一生食っていけるという、それだけこの曲はすごかった。単純な歌詞と曲でそこまで売れるとは思っていなかったのだが、結局、フォークソングブームに火をつけたわけで、その時代の新しいスタイルを提示したことが大きいのじゃないだろうか。ぼくも当然のようにギターを買い“バラが咲いた♪バラが咲いた♪”と唄ったのであります。

続いて、「みゅーじん」という番組では中村雅俊です。彼はいまだに人気が衰えず、毎年コンサートも開き、最近では舞台でもがんばっている。ぼくと似たような年齢だから、昔からずっと等身大のタレントとしてみてきた。最も印象的だったのは「俺たちの旅」というテレビドラマで確か日曜日の8時からだった思うが、毎週見ていた。カースケというのを中村雅俊が演じていて、他に田中健とか秋野太作(当時は津坂まさあきと言った)が出演していて、若者たちの友情や悩みなどを軽やかに描いていて、ぼくらは自分たちを重ね合わせて共感し、また勇気をもらったりしたものだ。

そんな中村雅俊が突然五十嵐淳子と結婚したときは、ぼくを含めて多くの男たちが嘆き悲しんだ。今の人は知らないでしょうが、「阿寒に果つ」という映画で観た五十嵐淳子(当時はまだ五十嵐じゅんと言った)は、もう言いようのない可憐さであった。もう許してあげるは中村君。

中村雅俊は、芝居と歌というようにマルチで活躍している。マイク真木もそうだが、こうしたハイブリッド型のシニア世代がどんどん出てきて残りの人生を謳歌するのを見せてくれることはいいことだ。 ということで、テレビ東京で昔のことを思い出しながら、ビジネス番組でなんか商売のネタになるようなことはないか探しているのです。



2007年03月22日

落語のあとの落語のような話

昨日、恒例の「第30回 柳家小里んの会」があった。昼間にお墓参りをして、そのあとで池袋演芸場まででかける。お彼岸の1日としてはなかなかいいでしょ。

今回の演題は、「花見の仇討ち」と「明烏」。いずれも定番の演目で、「明烏」は8代目桂文楽の十八番。桂文楽の話を聴いたかどうか忘れてしまいましたが、柳家小里んも文楽とまではいかないまでも、品よくまとめていたように思える。ただ、時間が短かったせいか、若旦那と花魁の絡みがあまり描かれなかったのがちょっと物足らなかった。でも、相変わらずぼくらを楽しませてくれる話芸は健在だ。

昨日は休日だったので、ほぼ満席に近かった。やっぱり、お客さんも多いと熱気みたいなものが感じられていい雰囲気になる。

平日だと仕事の関係で来れない人がいるわけで、再三登場のぼくの行きつけのバー「M」のマスター夫妻、Kちゃん、お客さんのIさんなど顔見知りの人が何人か今回は休日なので参加です。「M」のママから缶ビールの差し入れがあり、それを呑みながらいい気持ちになったのであります。

それが終わってから、やはり一緒に聴きに来ていたWさんと彼の彼女のS子さんと3人で近くの居酒屋で呑む。時間がなかったのであわただしかったのですが、楽しいおしゃべりの中で、いつも指摘されるぼくの弱みをまた言われた。「wadaさん絶対脇が甘いよね」。そう言われても直らねえんだよ、あたしゃ。(急に落語調になる)

で、遅くなったので急いで池袋駅に行って電車を探したがうまく時間が合わず。まあ、大船に着いたらタクシーだなとあきらめて、直通の湘南新宿ラインに乗る。ところが、大船駅に近づくと待てよ、ひょっとしたらモノレール終電に間に合うかもしれないということで走ったのです。これがいけなかった。なんと、改札口寸前でコケた。どうなったかというと、手をひろげ左脇腹から落ちてひねったのだ。無茶痛い、でもみんな見ているから何もなかった振りをしてモノレールに乗り込み帰ってきたが、今もちょっと動くと痛い。

おお「あたしゃ確かに脇が甘い」!

今回も、ちょっと先ですが「柳家麟太郎の会」の案内をもらいましたのでお知らせしておきます。
日時  :平成19年5月17日(木)午後6時半開場、7時演
場所  :御園神社  大田区西蒲田7-40-8
入場料:前売 1,000円(当日 1,300円)
問合せ:西蒲田七丁目御園町会   090-3064-7272 桑田
     御園神社  03-3735-5096 鈴木

2007年04月18日

東西三人会

一昨日、国立演芸場に32回を数える「東西三人会」を聴きに出かける。東の柳家小里ん、古今亭志ん橋、西の笑福亭松喬の三人の落語会のことである。

さて、演目は、小里んさんが「不動坊火焔」、志ん橋さんが「船徳」、松喬さんが「佐々木裁き」でそれぞれ熱演した。3人は人気落語家というわけでもないが、油の乗り切ったところで(年齢的には、小里んさんを挟んで三歳ずつくらい違うんじゃないかな、若い松喬さんも確か55歳かな)、こうした落語会で多くの古典落語を披露してくれる。

今回も、「不動坊火焔」での幽霊、「船徳」における俄か船頭の若だんな、「佐々木裁き」でのとんちのきいた子どものそれぞれの演じ方がすごくよかったように思う。

寄席や独演会もいいが、こうして対応の違った三人三様の噺をたっぷり聴けるというのはありがたい。落語はなんといっても聴いたあと心持がよくなるのでうれしい。

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2007年09月15日

ラジオデイズ

『ラジオデイズ』という「声」と「語り」のダウンロードサイトが昨日オープンした。このサイトには、「文芸」「話芸」「対話」の3つの街(カテゴリ)があり、そのなかから好きな作品を選びダウンロードできるというもの。

文芸というのは声のエッセーとか詩の朗読です。話芸はだいたいが落語ですね。そして、対話は対談とインタビューといったところです。いまはオープン記念ということで、本来なら有料のコンテンツが無料のキャンペーンをやっている。ぼくも早速、柳家小ゑんの「フイッ」をダウンロードして聴いてみる。

インターネットでもポッドキャスティング落語だとか、インターネット落語会などあり、これらは映像もあるのに無料なので、声だけで有料かよと言われるかもしれないが、ここは精選された人の作り出すコンテンツが勝負だろう。

精選された代表的な人として、小池昌代といま旬の内田樹が「文芸」と「対話」に登場している。

実は、このラジオデイズが始まるのは前々から知っていた。ぼくは、本か映画かもう忘れてしまったが、それについてコメントしている人を追いかけていたとき偶然に内田樹のブログに行き当たって、それ以来ずっとブックマークしている。そこに友達の平川克美という人が出てきて、そのひとのブログも同様に愛読していた。そこにラジオデイズの話がでてくる。この人が企画して立ち上げたサイトなのだ。それで楽しみにしていた。

ところで、かれこれ3週間くらいまえにこのラジオデイズからぼくのブログ宛にコメントをもらいました。内容はリンクを張ってくれということで、どうもブログで落語のことを書いている人に頼んで歩いたようだ。だから、このブログの右下にリンクを張ってあります。是非訪問してあげてください。

別にぼくが平川さんのブログを読んでいたから依頼が来たわけではないのに、つながってしまう面白さを実感したのであります。この“つながり”が良くも悪くもインターネットの大きな機能であり、効用であるのだ。

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