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蜩ノ記

何度も腰痛の話をしていて恐縮だが、電車に乗って映画を見に行くのもまだつらいところがある。そんな状態のときに助かるのが辻堂にある「湘南テラスモール」ある109シネマズである。何しろ、車で映画館の目の前まで行けるからである。だから、もうドアツウドアって感じで気楽にでかけられる。3時間もあればいいので思い立ったときに行けばよい。平日だと会員になっているのでエグゼクティブシートに座れるので快適である。しかも、6回通うと1回がただになる。

さて、映画のことである。「柘榴坂の仇討」ときて「ふしぎな岬の物語」ときて両方の良さをあわせたような作品である。「蜩ノ記」は武士と相手の生き様、人間としての愛といったものが凛とした姿として描かれ、これまた背筋ぴんとする物語である。監督が黒澤明の弟子の小泉堯史、「雨あがる」や「阿弥陀堂だより」の山間の美しさが今作品でも魅力的だ。原作が葉室麟の直木賞受賞作、主演が役所広司で共演が岡田准一、原田美枝子、堀北真希らである。

主人公の戸田秋谷(役所広司)はある事件に巻き込まれて10年後に切腹を申し付けられ、その間藩史を編纂することとなったが、あと3年後には腹をきらなくてはいけない。そこに、秋谷の監視役として送られたのが壇野庄三郎(岡田准一)である。庄三郎は秋谷の家に住み込んで暮らすうちに秋谷の生き方に敬愛の念を抱くようになる。また、彼の家族である妻の織江(原田美枝子)、娘の薫(堀北真希)、息子の郁太郎とも触れ合う中でその家族愛にも胸打たれていく。

そして、秋谷が巻き込まれた事件を探るうちに、その真相が明らかになってくる。秋谷が藩史編纂によりだいじな事実をつかんで変なまねをしたら家族ともども斬り捨てよという命を受けたが、徐々に、秋谷に師事する弟子のような感覚になっていく。そして、薫との恋情も湧いてくる。しかし、切腹の日はどんどん近づいてくるのだ。不条理な切腹ではあるが甘んじて受けざるを得ない秋谷は毅然としてその日を迎えるのだ。

とまあ、かっこいいですよね。これも武士道のひとつかもしれない。役所広司は役にぴったりですね。岡田准一も師に仕えて成長していく若者を見事に演じ、女優陣の原田美枝子も堀北真希もぼくのお気に入りだからというわけではないがよかったなあ。俳優陣がしっかりしていると映画として締まる。

それにしても、最近時代劇が増えてきているように思うのだがどうだろうか。別に今の日本が右傾化して日本人の良さを描くようになったとか、草食系男子にカツをいれようとかいった見方は考え過ぎだが、現代で失われていく日本のあるいは日本人をもう一度見なおそうという兆候なのかもしれない。夫婦、親子、男女、男同士の友情、主従、師弟といったようなあらゆる愛情がつめ込まれているが、嫌味になっていない佳品である。

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2014年10月29日 10:43に投稿されたエントリーのページです。

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