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柘榴坂の仇討

幕末の混乱の中で大老であった井伊直弼が暗殺された事件は日本の歴史の転回点でもあった重大なものであった。小説や映画の題材にもなった。最近では2010年に公開された「桜田門外ノ変」という映画があった。吉村昭原作のものを佐藤純彌が監督をして大沢たかお主演で製作された。ただこれは襲撃の現場指導者であった水戸藩士関鉄之介の視点で描かれている。

それに対して、襲われた彦根藩の側から描いたのが「柘榴坂の仇討」である。こちらの方は、浅田次郎の短編小説を基に監督が若松節朗、主演の彦根藩士を演じるのが中井貴一、共演は阿部寛、広末涼子、高嶋政宏、真飛聖、藤竜也、中村吉右衛門らである。

彦根藩の武士志村金吾(中井貴一)は剣術の腕を認められて藩主である井伊直弼(中村吉右衛門)の近習となる。そして取り立ててくれた直弼の人柄に惚れて命をかけて主君を守ることを心に決める。安政7年雪の中に江戸城桜田門に向かう井伊家の一行に18人の武士が襲いかかった。そのとき、金吾は賊のひとりを追ってその場を離れてしまい、その隙に直弼は斬殺されてしまう。

この一件で金吾の責任は大きく切腹もさせてもらえないことになる。藩は逃亡した水戸浪士の首を獲って直弼の墓前にお供えせよという命令を下す。しかし、金吾は自らの命を絶とうとするが妻セツ(広末涼子)の「ご下命を果たし、本懐を遂げてこし武士ではありませぬか」という言葉で、逃亡中の5人の首を狙うことになる。しかし、それは大変難儀な責務でただ時間ばかりが経つ。

世は江戸から明治に移り、早13年もの歳月が流れる。この間、逃亡者の5人のうち4人が亡くなって残るは佐橋十兵衛(阿部寛)一人となっていた。そんな折金吾はかつての親友の内藤新之助(高嶋政宏)に再会し、彼が救いの手を差し伸べてくれることに。そして、明治6年あの時のように雪に見舞われた日に十兵衛の居場所を突きとめる。だが、その日は「仇討ち禁止令」が公布された日だったのだ。そしてめぐりあった金吾と十兵衛が柘榴坂で激しく斬り合うのだった・・・・。

武士道をどう始末したのか。これが見どころである。ちょんまげも帯刀もなくなった新時代でも昔のままの姿を崩さない金吾の挟持が感動を呼ぶ。表面的には大きな変化があっても精神は変わらないというのだが、金吾は本懐をとげたのだろうか。金吾と同じように武士として13年間生きてきた十兵衛も武士道をどう始末をつけるかだったのだ。

時代の変化にどう対応していくのか。いつの時代にもあり得ることなのだが明治維新というまれにみる大きなうねりをともなった変化のなかでの物語は見ごたえのあるものだった。主演者の熱演もあってなかなかいい作品であった。

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柘榴坂の仇討ちjpg
  

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2014年10月24日 16:12に投稿されたエントリーのページです。

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