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なぜローカル経済から日本は甦るのか

いま地域の土地開発のこととか地元密着の事業のことなどに関わることが多くなってきている。だから、都市と地方の差というか違いについて気になっている。ただぼくの住んでいる鎌倉という土地は都市なのか地方なのか、どちらでもない中間的な位置にあるように思う。だから経済的な観点からもローカル経済に興味が湧いてくる。

「なぜローカル経済から日本は甦るのか」(冨山和彦著 PHP新書)は格好の手がかりをもたらしてくれた。著者は経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEOであるが、一躍名をはせたのは産業再生機構のCOOを就任しJALやダイエーの再生など数々の事業整理を手がけたことである。また現在はみちのくホールディングスという地方のバス会社の取締役も務めている。

この本で強調されるのはGとLを一緒くたにしないで分けて考えましょうということである。GとはグローバルでLとはローカルのことである。Gは都市のことでLは地方のこととも言える。両者では取り巻く環境や抱えている問題などは違っているから、当然対応すべきことやめざすべきことも違ったものになる。

例えば、生産労働人口でも東京は増加しているが地方では減少していて、地方における人手不足が深刻になっている。状況が正反対なのである。また、最近ではよく経済はどんどんグローバル化していて、だから世界で勝負しなくてはいけないなんて論調が飛び交う。政府やマスコミなどの議論でもそういった話ばかりである。しかし、日本の企業がみなグローバル化しなくていけないのだろうか。

どうも日本では貿易立国という面を強調するため製造業を中心に生産拠点を移したり、マーケットを海外に求めたりといったグローバル対応が必要だと思ってしまう。しかしながらよく考えてみたらわかるのだが、著者も言うように地方のバス会社のグローバル化って何よということなのである。ありえない話で、国内でも北海道のバス会社が九州の会社と競争してわけでない。非常に閉じられた世界で営んでいるのである。そんな会社が中小のサービス業を中心に非常に多いのが現状である。

著者は従来のように大企業対中小企業という分け方ではなくグローバル企業とローカル企業という分け方をすべきだと言っているが同感である。ぼくは東京のある中小の製造業のIT化を支援しているがまさにグローバル企業になっている。ただそこでは「世界水準の立地競争力と競争のルールを整えること」で世界チャンピオンにならなくてはいけないという厳しさがある。一方でローカル経済圏では世界チャンピオンになる必要はなく、県大会、市体系でチャンピオンになればいいのだ。

それで、このローカル経済圏が活性化するには問題があってその中でも規制や補助により本来なら潰れていてもおかしくない企業が生き残っていることにある。著者はこうした淘汰が起こりにくい状況を打破するためには「穏やかな退出による集約化がポイント」だと指摘している。まさにこれができた時にこそ地方が甦るのであろう。大変示唆に富んだ提案で参考になった。
  

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)
冨山 和彦
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2014年10月22日 20:12に投稿されたエントリーのページです。

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