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2013年9月 アーカイブ

2013年9月10日

ツナグ

最初、このタイトルの響きからてっきり大震災の「絆」と関連があるものだと思い込んでいた。しかし、違うではないか。ツナグというのは「たった一度だけ、死んだ人と会わせてくれる案内人で、生きている人が会いたと望む、すでに死んでしまった人との再会を仲介する使者を表す言葉」だそうだ。そんなタイトルの「ツナグ」を観る。

主演の高校生・歩美役に今注目の松坂桃李、彼にツナグを伝授する祖母・アイ子に樹木希林、その他、佐藤隆太、桐谷美玲、橋本愛、遠藤憲一、八千草薫など。監督が平川雄一朗。原作があって、直木賞作家の辻村深月の同名の小説で吉川英治文学新人賞を受賞している。

この設定はどこか「イタコ」を想起させられるが、ツナグにはルールがあって、依頼人が死者に会えるのは、生涯に一度、一人まで、死者も生者に会えるのも一度だけで死者からは依頼できない、会えるのは月の出る夜で、夜明けまでの時間てな具合である。さてこんなルールの中で依頼してくる3人についての挿話が主になっていて、そこに歩美の亡くなった両親のことがかぶさってくる。

3人というのは、親不孝をした自分の母親に会いたい中年男、高校の親友を自分の仕掛けで交通事故を起こして死なせたと思い込んでいる女子高生、プロポーズ直後に失踪した恋人を待ち続けているサラリーマンである。こうしたシチュエーションと死者と相対する設定は一見面白そうなのだが、ふと自分だったらどうするだろうかと考えたとたんに何か変だなあと感じてしまった。

生きているほうが会いたいと言ったって会いたくない死者は大勢いると思う。死者からみると一回しか会えないのにお前かよみたいなことになるはずだ。だから、断られたエピソーも入れたらよかった。みんなある意味ハッピーエンドはおかしいでしょ。年寄りが年寄りに会うのはそんなにおかしくないが、高校生が一回しか使えない切符を使うかなあ。

その女子高生の話では、親友を貶めようとして道路に水をまいて凍らせそこで自転車をスリップさせようとしたわけで、本当にそれが原因で転倒して車に轢かれたかを確認している。死者はそうではないと言うのだが、だからといって最初にあった殺意は消えるものではないから、何のために会ったのかがわからない。

もう一つのサラリーマンの話にしても、生き別れと死に別れの違いみたいな微妙な問題を簡単に通りすぎてしまっている。死に別れはあとに引きずると言われている。生き別れのままで未来志向になったほうがよかったのに、死に別れになってなってしまった。彼は、これで一生独身だな(笑)

だから、ツナグは生きる側のエゴの片棒を担いでいるし、大きなお世話であるような気がする。「生きているものには他人の死を背負う義務がある」なんて言い過ぎだ。もうちょっと脚本をしっかりとしたものにしてほしかった。
  
つなぐ.jpg
  

2013年9月15日

その夜の侍

ぼくはよく知らないのだが、劇団「THE SHAMPOO HAT」の赤堀雅秋が脚本、監督の「その夜の侍」はもともと舞台の作品としてつくられ評判をとったものである。赤堀が舞台で主演、演出を行った戯曲を映画化したものである。もちろん舞台を見ていないので何ともいえないが、映画で成功したとは言いがたい作品であった。

出演者は、堺雅人、山田孝之、綾野剛、谷村美月、新井浩文、安藤サクラ、田口トモロヲといった芸達者な俳優が占めるのでこれは期待する。最愛の妻をひき逃げした犯人に復讐するというテーマだが、もちろんたんなる復讐劇でもなく、現代人の孤独だとか、狂気だとかを描きたかったのだろうと思う。

小さな鉄工所を経営する中村健一(堺雅人)は5年前に愛する妻を交通事故で失う。ひき逃げである。そこから、妻の留守番電話を聞いてはプリンを食べ続けるという喪失の日々を送っている。犯人の木島(山田孝之)は服役して今は出所している。そして彼のところに匿名の脅迫状が届くようになる。「お前を殺して俺も死ぬ」というものだ。妻の命日に決行することを告げる。

そこから、健一の妻の教師である兄や健一に紹介するその同僚の女性教師やひき逃げの時に同情していた友人やその職場の同僚といった連中が絡んでくるのだが、木島の傍若無人な凶暴さにみな振り回される。なんか、"闇金ウシジマくん"を彷彿させられる暴れぶりである。そしてその日が来る。

しかし、何となく既視感というかありそうなパターンなのである。寂しさの裏返しとしての暴力とか、寡黙のなかに怖さがあるとか、とりたてて日常感を強調してその対比としての異常さを際立たせるといったシーンを押し付けてくるのだ。松屋、魚民、セブン-イレブンといった固有名詞を頻発する。中途半端な生活感だ。それと人物設定にも無理があって、もうちょっとリアリティがあってもよかった。

ネタバレになるからあまり言えないのだが、最後がまたええーと唸ってしまう。5年間の清算がこんな形かよと思ってしまう。「この物語は最初から君には関係ない話だった」とか「他愛のない話をしよう」といったセリフも意外だったし、そうか主題は、「みんな寂しいのだ」なのか。
  
その夜の侍.jpg

2013年9月 3日

ビジネスサービスのつくり方 - 第5章 業務アプリ作成

■ 標準品見積提示プロセス(実装その2)

前回は「見積依頼受付」というアクティビティのフォーム設定を行いました。次は「プロセス要素表」の2番めにある「商品選択」というアクティビティになります。前と同じようにグループというパーツをドラッグアンドドロップして名前を「商品選択」と入力します。次にプロセス要素の中の確定データをみると、タイプ、扉グループ、間口、数量となっています。

タイプは、それほど数があるわけではなく決まったものが数種類なのでラジオボタンを選択します。フィールド名をタイプとし、項目と順番にAAとASという名前を登録します。扉グループは、比較的数が多いので、ラジオボタンだとずらっと並んで表示されるので、ドロップダウンを使うことにします。1Aだとか2Bだとかといった設定を行います。間口も同様な設定となります。数量は数値データですので数値というパーツにします。

次に、参照情報が商品カタログとなっています。商品カタログがどこにあるのかで設定も変わってくるのですが、ここではHP上にアップしてある商品カタログを参照して、お客さんの要求にあったタイプ、扉グループ、間口を選定するということにします。この場合、ラベルというパーツを使います。ラベルに書いた文章の言葉にリンクを貼ることにします。"商品カタログ参照"という中の商品カタログにリンクを設定し、参照先のURLを入力します。「商品選択」は次のようなフォームとなります。

商品選択.bmp

「商品選択」の次は「納期確定」になります。確定データは納入日ですから、日付というパーツを選択し、名前を納入日とします。付帯登録情報として、納入場所、納入条件、商品確保があります。納入場所と納入条件は文字列パーツを使い、商品確保は、依頼中なのか確保済みなのかの2通りなのでラジオボタンにします。納入場所も住所を入れると地図が表示されるようにしたかったら、依頼受付アクティビティと同様にGoogleマップと連動させることもできます。

参照情報の在庫状況は前の商品カタログと同様にラベルでリンクを貼っていますが、同じkintoneに用意してある在庫管理アプリをリンク先にしてあります。ですから、もしリンクではなく、「見積依頼受付」でやったようにルックアップを使って、商品が入力されたら、自動的に在庫数を表示させることもできます。結局、「納期確定」というアクティビティは次のようになります。
  
納期確定.bmp

2013年9月 6日

タモリ論

タモリを見たのはいったいいつのことだっただろうか。間違っているかかもしれないが、ぼくの記憶ではもう35年くらい前だったと思うが、三重県の四日市の市民ホールかどこかで「4カ国親善麻雀」を聞いた時だと思うがその時はぶったまげた。いいかげんなのに本当らしく聞こえる外国語をしゃべる姿にもう抱腹絶倒、なんという芸人が出てきたと思って驚愕した。他にもイグアナの真似にも笑い転げた。

Wikipwdeiaによれば、1975年がデビューというからそこから2、3年あとだったと思う。その後、1982年に「笑っていいとも!」が始まっている。だから、この番組は一昨年30周年を迎えている長寿番組である。その間、司会はタモリがずっと務めている。平日5日間でずっぱりだからすごいという他はない。

そのタモリをテーマに本が出た。「タモリ論」(樋口毅宏著 新潮新書)である。あれだけ、テレビに出まくっているのだがあまり論評されていないような気がする。著者は「さらば雑司が谷」という本を書いてデビューしたのだが、その本の中でタモリのことに触れた文章が編集者の目に止まり、今回の本の誕生につながったという。

ただ、タモリ論と謳っていながら、どちらかというと「笑っていいとも!論」であり、「Big3論」である。Big3と言うのはご存知のようにタモリ、たけし、さんまの3人である。たけしとさんまに一章ずつ割り振って論じているので、現代の芸人とはみたいな趣になっている。しかも、タモリについてはほぼ笑っていいともでのエピソードばかりだから、番組論なのである。

しかし、改めて30年も長きにわたって同じ番組をしか週5日も続けられたことに驚く。長く続けられる秘訣は「自分の番組を好きでいなければいけない」「一々、反省はしない」「自分が出演しているテレビ番組は一切観ない」と言っているらしいが、要するに構えてやっていない、もっと言えばやる気がない。著者が言うように「自分にも他人にも期待しない"絶望大王"」なのかもしれない。

しかしながら、タモリは普通の芸人という感覚ではないですよね。たけしは漫才だし、さんまも一応は落語だから、出自は芸人というジャンルでしょうが、タモリはご存知に方も多いと思いますが、山下洋輔や赤塚不二夫に見出された「密室芸」からだから、いわゆる芸人とも違うように思える。

それにしても、タモリも68歳だし、さんまだって58歳だから、Big3もそろそろという気がするが、かれらに取って替わるような芸人がでてこないなあ。無茶苦茶な宴会芸をやるやつもいなくなったのかもね。
  

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2013年9月 1日

危機感

福島の問題は事実をよく知らないこともあって、何か言うことは避けてきたが先日のタンク漏れのニュースを聞いて大変驚いた。いやー、東電は全く危機感がないように見えたからである。タンクから300トンの汚染水が漏出したことも普通なら考えられない。ぼくは、石油化学コンビナートで働いていたからタンクから油が漏れたこと(深刻度は差があるが)と同じである。

それは大変なことで油が海に流れ出ないように必死に処理した。そもそもタンクから漏れ出ることが考えられない。設置してから何年も経って腐食したというわけでもないだろうし(海水による腐食があった?)、フランジ式らしいのでその隙間から(どうも長さ2.5cm、幅1mmだったらしい)漏れたようだが信じられない。設置したときテストをしなかったのだろうか。

それと、油のタンクは外側に防油堤というのを設けることになっていて少々の漏れだとそこで防ぐことができる。それもそうだし、漏水の発見がなぜそんなに遅れたのだろうか。このトラブルで東電が謝罪をしていたが、ぼくには何の危機感が感じられなかった。もう謝罪慣れして、感覚が麻痺しているようで投げやりな感じがした。

もう彼らには使命感とか、責任感といったものはなくなったのかもしれない。もちろんモチベーションなんてものはないし、あれだけ叩かれ続けたら羞恥心もなくなっているのだろう。そして、いつまで対症療法を続けるのだろうか、タンクも1000基近くになるという。

それで、タンクからの漏水が止まれば落ち着くのかと思いきや、もっと重大な問題があって地下水の建屋への流入があってこれが厄介のようだ。それも、もうずっと前からわかっていることではないのだろうか。普通は考えられるリスクを列挙して優先順位をつけてひとつづつ潰していくのだがどうなっているのだろうか。

もはや、東電の技術屋さんはやる気がないように見える。国が責任持ってやると宣言したようだが遅い。何とかしなくてはと思える人たちがやらないとだらだらともぐら叩きを繰り返しそうだ。こういう時は、広くオープンにして困っているから良い知恵や経験をもっている人に教えを請うたらどうなのか。当事者より外側から見ている人のほうが客観的で冷静な判断ができるので利用すべきなのである。
  

2013年9月 4日

少年H

妹尾河童の自伝的長編小説を原作とした「少年H」を観る。平日の昼間であるがほぼ満席に近い入りである。ほとんどがぼくよりもちょっと上の年代のおばさまたちで、主人公の少年と歳が重なる世代である。ぼくは戦後生まれだから戦争も空襲も知らない。親から聞いただけである。

少年Hの両親役として水谷豊、伊藤蘭の実際の夫婦が演じている。監督が降旗康男である。キャッチコピーにもあるように「激動の昭和初期。異国情緒あふれる神戸を舞台に、「戦争」という激流の渦に巻き込まれながらも、勇気、信念、愛情を持って生き抜いた「名もなき家族」の物語」である。勇気、信念というのにはちょっと?がつくが。

神戸で洋服屋を営む父親の盛夫と母親敏子に暖かく見守られながら育つ肇とその妹の好子という4人家族が主役である。家族はクリスチャンで進歩的な家庭であって、肇に着せるセーターに名前のイニシャルHという文字を織り込んだために「H」と呼ばれるようになる。そんな中、絵がすきな肇は友達と楽しい日々を過ごすのであった。

しかしながら、時代は戦争へと進んでいく。近所でもうどん屋の兄ちゃんが政治犯として捕まったり、映写技師をしているオトコ姉ちゃんが出征するも脱走して自殺してしまうといった事態が起き始める。そして、開戦を迎えることになる。盛夫は招集礼状こそは来ないながらも戦争の厳しさに巻き込まれていく。

しかしながら、戦争へのめり込むわけではなく、肇の戦争の不条理を問う質問にもきちんと答える父親であった。一方でだからといって反戦行動をするわけではなく、盛夫は消防士に、敏子は隣組の班長を勤め、肇は中学生になって軍事教練に精出すのであった。そして、戦況も悪化すると神戸も大空襲に見舞われることになる。焼けの原になるも命からがらに逃げる。そして終戦である。

終戦後は、あれだけ戦争に加担していた人々が手のひらを返したように変質して行く姿に肇は失望し、父親に糾すのであるが父親は沈黙する。彼もまた大きな喪失感を味わったのである。だが、そこから新たな家族の出発が待っているのだ。

最初に言ったように、別に特殊な家族でもなくほんと典型としての日本人なのかもしれない。ただちょっと自由な、そしてバランスのとれた両親だ。このちょっとが戦時下では難しい生き方だったのだろう。ぼくはこういう庶民のあたり前の感覚を失わないで敢然と生きたことを知るこは反戦という訴求を強く感じる。

いま話題になっている「はだしのゲン」の問題と対比しても、もろに残酷さを顕在させ声高に叫ぶよりも、あるいは戦争そのものを直接描くよりも、空気感がいかに人間をだめにするかといった怖さのほうを知った方がいいと思う。直接的な主張だって所詮個人のあるいは家族の、周辺の人達の限られた経験でしかないからであり、結局はごく個人的で身近なところで戦争を意識するのではないかと思うからである。。古沢良太の脚本が良く出来ていて見応えがあった。
 
少年H.jpg
  

2013年9月12日

ビジネスのためのデザイン思考(つづき)

「ビジネスのためのデザイン思考」(紺野登著 東洋経済新聞社)の続きです。前回のPartⅠではデザイン思考とはどういうことか、なぜ必要になったのかといった背景について記したが、今回はPartⅡの「デザイン経営の知的方法論」についてです。デザイン経営ってどうやるのというお話になります。

まず、デザイン領域は大きく「コンセプトのデザイン」「ビジネスモデルのデザイン」「シナリオのデザイン」の3つです。ではそれぞれでみていくことにしましょう。

コンセプトとはソーシャル・イノベーションのような発想、あるいは社会的な構想のことで、そのためには、観察→概念化(仮説)→プロトタイピング(実践)という知識デザインのプロセスが必要になってきます。そして、この最初の観察に対して「質的研究方法論」が注目されています。質的研究というのは、「具体的な事例を重視して、それを時間的、地域的な特殊性の中で捉える」ことで、「人々が生きている地域的な文脈と結びつけて理解しようとする」ことだそうです。

質的研究方法論には、次のようなものがあります。
① エスノグラフィー
② グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)
③ ナラティブベース・メディシン(NBM)

エスノグラフィーというのは、文化人類学的な観察、フィールドワークの方法で、ユーザの現場に分け入り、暗黙知、あるいは五感を通じたフィールド・データを獲得し、仮説を生成することです。次のGTAは、現場に密着して得られたフィールド・データをつきあわせながら、帰納的に(個々の具体的事例から一般原理・法則を導き出す考え方で)まとめていき、現場の問題を解決するための有効な理論の発見を行うものです。最後のNBMは文字通り医師と患者との関係の中での「語り(物語り=ナラティブ)に基づく医療(癒し)」の方法論です。それぞれ似たような感じですので、併用するようです。そして、そこで生まれたコンセプトに基いてプロトタイプを作ります。

次はビジネスモデルのデザインです。第二世代のビジネスモデルとして3層構造を提起しています。すなわち次の3つのレイヤーのことです。
① 顧客との関係性や顧客の経験の「価値」のレイヤー
② サービス(コトとモノ)提供、財務的(カネ)な関係のレイヤー
③ ビジネスやこれらの関係性を支える能力・資産・資源のレイヤー

そして、ビジネスモデルのパターンとか構造といった記述があるが、これはオスターワルダーの「ビジネスモデルジェネレーションの焼き写しだから省略。

さて、最後はシナリオのデザインです。そもそも何のためにシナリオをデザインするのでしょうか。それはどういったパースペクティブを持って戦略を考えるか、またはイノベーションを志向するのか、の指針を与え、あるいは、現状進めてきたプロジェクトの方向性がどのような影響を受けるのか評価吟味する際に有効だという。大事なのは「マインドセットを変革する」ことなのである。

この思考法を「不確実性のスープを煮詰めてパイ生地を創る」というメタファで考えてみます。

ステップ1.不確実性のスープを煮込んで、パイ生地をつくる
ステップ2.パイ生地(不確実性の変数の両端)をできるだけ拡げて、異なるいくつかの世界に分ける
ステップ3.こうして現れるそれぞれの世界はパラレルワールドである。どの世界がやってくるのかわからない
ステップ4.それぞれの世界について理解を深めながら、全体を見回し、自分が打つべき方向を模索し、よりよくする仕掛けや手を打つ

以上、3つのアプローチを紹介していますが、それぞれ個別に行うのもできますが、それぞれが関連しあっています。まとめると、フォーマルな分析的戦略に対しての現場の生命感(エスノグラフィー)、従来の企業の枠組みにとらわれない関係性(ビジネスモデル)、一元的なマインドセットにとらわれない可能性(シナリオ)など「知のデザイン」の時代の経営にとって有意義な視点を提供するのである。

さて、ここまでは本の記述をなぞっただけなのだが、みなさんおわかりになりましたでしょうか。正直言ってぼくにはよくわからなかった。ひとつには、事例だとか、理論やツールなどを散りばめているのだが、真ん中に通る筋が見えないことがある。著者の進めているメソドロジーは何なのかを示して、そのバリエーションとして、あるいは例示として事例だとか他の理論、ツールという風に説明してほしかった。

それよりも何よりも、デザイン思考とは何かの記述が不十分で、しかも「コンセプト」「ビジネスモデル」「シナリオ」をデザイン思考でデザインしているようには見えない。製品やサービスを創造するためのプロセスにデザイン思考を取り入れるのか、ビジネスモデルやシナリオ形成にも適用するのかが分からないし、混同しているように思う。

新商品開発とか戦略立案あるいはビジネスモデル構築といったことは昔からやられていて、それも設計でありデザインと呼んでいたのだ。それがこれからどう変わるのか、変えないといけないのか、どこが違っているのかがあって、そのひとつとして「デザイン思考」があるのではないでしょうか。

その時「デザイン思考」というのは哲学、ビジョンがあって、エスノグラフィー的なフィールドワークで現場の事象を解釈し、そこからアイデアを出しそれをまとめてコンセプト(モデル)を作り、プロトタイピングを繰り返して、本当にほしいものを創造するアプローチであるはずです。さらにそれだけでは不十分でビジネスや経営戦略まで考えることだと思うのだがどうやるのだろうか。研究課題だ。
  

ビジネスのためのデザイン思考
紺野 登
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2013年9月 2日

BPMの動き

本日から日本BPM協会が、一般社団法人になります。名称も日本ビジネスプロセス・マネジメント協会(略称:日本BPM協会)に変わります。何だ変わり映えしないじゃないかと思われるかもしれませんが、BPMという3文字熟語のあいまいさをなくすという意味でもきちんとビジネスプロセス・マネジメントと表現することは意味があると思います。

この一般社団法人化と名称変更はビジネスプロセス・マネジメント(BPM)がだんだん理解されるようになり、注目度も上がってきていうとう背景もあるように感じます。そうしたら、今朝のITmediaの記事に「今こそBPMシステムが求められる理由」という記事が載っていた。SIerである富士通のシニアバイスプレジデントの方がBPMへのIT活用について語っている。

読んでみて、まあ供給側の発言だから多少割り引いて聞いておかなければいけないのだが、導入の機運が高まっているという方向は間違っていないように思います。ただ、若干矛盾した言い回しがあったので指摘しておきたい。大したことではないと思われるかもしれないのだが、実はそこをきちんと整理しておかないと顧客のなぜBPMなのかという問いに対する"ブレ"につながると思う。

どんなことかというと、まずBPMとはという説明で「BPMは、個々のプロセスについて効率化や統廃合といった改善ができる。BPMを実行すれば、作業における人的ミスが低減され、プロセスの迅速化が図れるようになる。」のであり、BPMシステムとは「複数の業務システムを統合・制御・自動化し、BPMの具現化を支援するシステム」のことであると述べている。

ところが、その後で企業のIT活用に対する経営者や情報システム部門の基本的な認識が変化しているとして、「企業におけるIT活用はこれまで業務の効率化が最大の目的だったが、その活用の仕方が大きく変化する中で、経営力やビジネスの競争力を高めていくことに最重点を置く傾向がここにきて強まってきている。」と言っているのだ。

どうでしょうかお気づきになったと思いますが、企業におけるIT活用の目的がこれまでのような業務の効率化ではなくなっているのに、個々のプロセスについて効率化や統廃合といった改善ができ、複数の業務システムを統合・制御・自動化するBPMを導入しようとしています。何か変ですよね。ここはけっこう重要なポイントなのですが。まだまだ普及には道が遠いのだろうか。
  

2013年9月 5日

「BPMN メソッド &スタイル」が刊行されました

このたび、日本ビジネス・プロセスマネジメント協会から「BPMN METHOD &Style」(Bruce Silver著)の日本語訳の本が刊行されました。協会のコモンセンス部会で一緒に議論している岩田アキラさんと山原雅人さんが訳したものです。1年前くらいに山原さんから翻訳しようという話があって、昨年末くらいに出版するということで本格的に翻訳が始まりました。すごく大変だったと思いますが、ほんとうにご苦労様でした。もう原本を見るのも嫌だと言っていました。

原著者のBruce Silverはこの界隈では有名な人で、初版はまだBPMN2.0のベータ版の仕様が決まった時くらいの2009年6月に出ているのですが、これは2011年10月に出た第2版なのですが、全面的に書き変えたようです。彼はBPMNトレーニングというのを続けているのですが、その経験から進化させたものだという。

ぼくは、BPMNをあまり評価していないし、使ってもいないのだが、この本を読んで少し考え方を変えた。読んだといっても、前半のBPMNとは何かとかメソッド&スタイルといったところだけで、後半のBPMN実装者向けガイドにはいきつかなかったのだが、ぼくのような立場だと重要なのは前半の部分だから、ちょっと評価できるかなと思ったのだ。

ぼくがそもそも評価していなかったのは、単なる表記法であり、BPMN準拠のBPMS(Business Process Management Suite)製品に実装するための仕様を与えているだけと理解していたからである。だから、別にその形式で表記しなくてもBPMは実行できるし、表記するまでのプロセスデザインのほうが重要だと考えていたのだ。ところが、当初のBPMNはBusiness process Modeling Notationといったのだが、BPM2.0では、Business process Modeling and Notationになっているではないか。

要するに、プロセスモデリングが大事ですよと言ったわけである。これは重要です。ですからプロセスとは何かから始まって、プロセスロジック、オーケストテーション(プロセスモデル)といった説明がなされています。ちなみにプロセスの定義は「プロセス・インスタンスの初期状態からいくつか定義済終了状態に至るまでのアクティビティの実行順序」で、プロセスモデルというのが「開始イベントから任意の定義済終了状態(例えば、「成功した」または「例外が発生した」)、までに至るアクティビティの実行順序とその順序をたどる経路をすべて描いた地図です」としている。

また、アクティビティの記述としては「対象とする事、ものの名詞+動詞」の形式で名前(ラベル)をつけます。例えば「注文を受ける」「与信をチェックする」といった事になります。それと、以前は階層的ではなかったはずなのだが、サブプロセスを前提としたようなモデルになっている。だいぶ変わってきているように思える。ぼくは若干異論というか別の定義があるのだが。

いずれにしても、ユーザと一緒になって検討するためのものというのだがまだ難しいように思える。つまり、BPMNで記述して作ったシステムがユーザのオペレーションで使いやすいものになるのかということである。とはいえ、この本は単純なBPMN解説本ではないのでBPMNのMの部分に注目して読むとおもしろいのと、実装する技術者にとっても役に立つと思うのでぜひ買って読んでみてはいかがでしょうか。BPM協会のHPかアマゾンから購入できます。
 

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2013年9月 7日

チームは立て直せたか?

昨日大阪長居で行われたサッカー国際親善試合のグアテマラ戦で日本代表は3−0で勝利し、連敗を止めた。しかも、8試合ぶりとなる完封試合で消沈していた自信を取り戻せたのだろうか?気分的には勝ったということでいいに決まっているのだが、サッカーの内容としてどうなのかというとまだわからないというのが正直なところである。

というのも、相手のグアテマラのレベルが低く、守りを固めるだけで攻めてこなかったからである。ほとんどシュートらしいシュートもなかったし守備力を試される場面も少なかった。見た目には今野に替わって出た森重も安定していて、また前線でのプレスもよかったのだが、それは格下相手だからというのが大きい。もっと強い相手と戦った時に同じようなことができるかどうかである。

試合は、前半は引いた相手に仕掛けるのだがなかなか破れない。何度かゴールライン近くまでえぐって中央に折り返すシーンもあったが大迫、香川、清武、岡崎の攻撃陣が得点まで至れない。決定力のなさがまた浮き彫りになった。

後半に入ると、大迫の替りに柿谷、清武の替りに本田が入ると活性化する。後半5分に長友からのセンターリングを本田が頭で合わせて先制すると、24分には長谷部のスルーパスに抜けでた香川が中央に折り返すと岡崎に替わって入った工藤が押し込んで2点目、3点目は遠藤のフリーキックが相手ディフェンダーに当たってコースが変わりゴールイン。

やはり本田の存在が大きいことがわかる。誰もいうようにためが作れるので周りの選手が動きやすいのである。ただ、本田がいないことも当然あるのでその時の攻撃パターンを確立しておかなくてはいけないのだが、前半戦のような戦い方だとちょっと心配になってしまう。

来年のワールドカップは相手がみな格上と思っていたほうがいいので、昨日のような引いた相手との戦い方は参考にならないのかもしれないが、どうも日本の攻撃アプローチはプラン重視というかフィードフォワード的な面が強いと思う。

どういうことかというと、シュートを打つまでに至るプロセスをちゃんと計画して、また相手がこう来るからこうかわしてそこでスルーパスを通してといったようにやっていることが多いのではないでしょうか。要するに、当たって砕けろ的なやり方を嫌うところがある。もちろん、なんでもいいからゴール前に放り込んでというやり方を推奨しているわけではないが、先取点を導いた長友のセンターリングように相手が嫌がる危険なところに放り込んでみるというのも手ではないだろうか。

つまり、フィードバック的な攻撃パターンとでも言ったらいいのかもしれないが、とりあえず何かが起きるかもしれない状況を作り、その結果に対して素早く対応する態勢を準備するというのを全員が共有することである。このことは、前線でプレスをかけるということにも通じる話で、フィードフォワード的攻撃だと失敗したあとの動きに問題が生じるのも防げるということだ。

ともあれ、昨日の試合は気分転換にはよかったので、実際に立ち直ったのかの真価を問われるのは10日に行われる格上のガーナ戦である。この試合でどんな結果を残すかに注目したい。
  

2013年9月 9日

ビジネスサービスのつくり方 - 第5章 業務アプリ作成

■ 標準品見積提示プロセス(実装その3)

前回までは、「見積依頼受付」「商品選択」「納期確定」というアクティビティについてプロセス要素表か該当するパーツを選んで設定を行いました。次に残りのアクティビティの設定を行います。「価格設定」です。見積書に記載する売価で非常に重要なところですね。この決め方は、一義的に決まらないし、各社各様の決め方があると思います。

ひどい場合は、営業の胸三寸で決めるなんてこともあるかもしれませんが普通はルールというものがあるはずです。それは別に明文化されいなくても何らかの形で共有化されていればよいと思います。このケースでは、外部を参照するのではなくアプリのフィールドグループの中に直接記述してしまおうというものです。こんなルールにしておきました。

見積価格の決定は次のルールに従って決定してください。
1)価格構成は、仕切り価格+営業経費+利益とする。
2)営業経費は仕切価格の20%とする。最終的には営業部長判断とする。
3)利益は、仕切価格+営業経費の30%とする。

ですから見積金額は、仕切り価格を入力すると自動的に計算するというフォーマットにしています。では仕切り価格はどう決まるのかはここでは言及していませんが、製造原価から出すかもしれませんし、仕入れ価格かもしれませんが、外部アプリからの情報に依ります。データ連携で自動的に持ってきてもかまいません。

まず、ここで入力する仕切り価格は、数値というパーツを持ってきます。そして、このああと計算に使いますので、フィールドコードをわかりやすいように「仕切り価格」としておきます。(何もしないと数値_1といったように自動的にふられています)営業経費、利益、見積価格はそれぞれが計算されるものなので、計算というパーツを選択します。この場合の設定は、例えば営業経費であれば、フィールド名は「営業経費」となり、計算式のフィードには「仕切り価格*0.2」というふうに登録します。表示形式を選んでここでもフィールドコードを「営業経費」としておきます。価格決定のアクティビティは次のようになります。

価格決定.bmp

次は見積書作成アクティビティです。いわゆる作業のアクティビティで、前段の意思決定にに従って要求に対する報告を作成する作業になります。ここでは、見積書を作成するのに必要なデータが決定されたかどうかのチェックをするようにします。複数のチェックになりますのでチェックボタンのパーツを使います。また、作成された見積書がどんなものであるかがわかるように添付ボタンを付けて参照できるようにしておきます。見積書のような帳票はkintonで作るは無理なので、Excelや帳票ツールで作成したものを添付します。

最後は、見積書送付です。ここの確定データは送付日にしてあります。ステータスだけでもいいのですが、日付と送付先のほうが確実なのでそうしてあります。見積書作成と見積書送付のアクティビティは下記のようになります。

見積書作成.bmp

次に、各アクティビティのステータス表示をどうするかという問題があります。それぞれのフィールドグループの最後に置いても構わないのですが、折りたたんでしまうと見えなくなってしまうので、プロセスの進捗がわかるように全体の頭のところに横に並べることにしました。それぞれステータス表示で設定した名称を入れたドロップダウンパーツを並べておきます。以上で基本的なフォーム設定は終わります。

ステータス.bmp

2013年9月 8日

2020年東京オリンピック

ブエノスアイレスで開かれていたIOC総会で2020年夏季五輪・パラリンピックの開催都市に東京が選ばれた。当初はマドリード有利みたいな予想もあったが、最終決戦はマドリードではなくイスタンブールという意外な結果となった。しかもわりと大差でちょっぴり驚いた。断片的にではあるが、当日のプレゼンテーションを見て、非常に上手にやっていて、その印象の良さも決め手になったかもしれない。

ぼくは、熱心に応援していたわけでもないし、反対していたこともないという無関心派なのだが、東京開催が決まってよかったのではないでしょうか。概して人々はお祭り好きだから、大きなお祭りを企画してみんなで盛り上がりましょうという楽しみが増えたので気分的によろしいというわけである。

東京開催が56年ぶりという。前回が1964年だから、その時のオリンピックをちゃんと覚えている人は還暦過ぎの人だろう。2020年になると大方70歳以上の人しか2度のオリンピックを経験したことにならなくなる。さて、今度の東京オリンピックはどんな大会になるのだろうか。

1964年というとぼくは16歳で高校1年生であった。経済成長真っ盛りといった感じで、オリンピックの開会式が10月10日(その後ずっとこの日は体育の日の祝日となった)で、その10月1日には、東海道新幹線が開通した。日本が戦後の復興からここまで成長した姿をみてくださいというオリンピックであった。まさに「三丁目の夕日」の世界である。

その時の大会では、東洋の魔女、円谷幸吉のマラソン、体操、柔道、レスリング、重量挙げの金メダルに歓喜したものであった。ぼくはサッカー少年だったので、サッカー競技を見に行った。確か学校で入場券の手配もしてくれたし、授業の一環として休みにもならなかったはずだ。

最初は、予選リーグのユーゴ対モロッコの試合で横浜の三ツ沢蹴球場であった。3−1でユーゴが勝ったのだが、この頃はヨーロッパ勢、それも東ヨーロッパが強かった。次に見たのが国立競技場で行われた3位決定戦で東ドイツ対アラブ首長国連邦だったが、3−1で東ドイツが銅メダル獲得した。6万人くらいの大観衆にも圧倒された。決勝は、ハンガリーとチェコで2−1でハンガリーが勝利し金メダルに輝く。ほら、東欧勢が強いでしょ。日本は予選でアルゼンチンに勝つなどして準々決勝に進出したのですが、チェコにあえなく敗れてしまいました。

わー、こうして書いていると当時のことが蘇ってきて非常に懐かしい思いに駆られます。今の小学生は2020年にはぼくが体験した時の高校生くらいになるわけだから、そのときどんな思いで迎えるのだろうか。いったい世界の人たちに何を見てもらおうとするのだろうか。ぼくもまだ生きていてお祭をみてみたいものだ。
  

2013年9月11日

よくなってきたぞ

昨日のキリンチャレンジカップでサッカー日本代表はガーナを3−1で下した。先日のグアテマラ戦は相手が格下とあって、コンフェデ以降の落ち込みから立ち直ったかどうかの評価を保留していたが、昨日の試合では主力が抜けていたとはいえアフリカの強豪であるガーナに勝利するという結果からいうとだいぶよくなったと言うべきだろう。

先発メンバーは、トップの柿谷以外は従来からのおなじみ不動のメンバーである。今後このメンバーがレギュラーだろう。ただ、以前から比べると、彼らを脅かす選手も現れてきているので、層は厚くなったのではないだろうか。東アジアカップで発掘した選手たちが自信を付けてレベルアップしたようだ。

試合は立ち上がりから日本のペースで展開するも、前半24分に香川のパスミスからカウンターをくらい、必死に守るもゴール前に流れてしまい相手シュートが内田の背中に当たってコースが変わり先制を許す。これはアクシデントに近い点の入れられ方だったので、気持ち的にはやられた感はなかったので反撃を期待するも、本田の惜しい場面とかがあったがリードを許したままで前半を終える。

後半早々、香川が前半のミスを帳消しにする値千金の同点ゴールを決める。これで縛りがとれたのか、後半19分には本田のヒールパスに走りこんだ遠藤がキーパの手をかすめて勝ち越し点を上げる。さらに、27分には今度は遠藤のフリーキックを本田が頭で合わせて3点目をあげる。

ガーナはW杯のアフリカ予選を戦ったばかりでしかも長旅なのでコンディション的には悪かったはずなので割り引いて見なくてはいけないかもしれないが、これだけの試合ができたことは評価しても良いのではないだろうか。課題の守備もよかった。前線でのすばやい守備が光った。攻めきれずボールを相手に奪われてもすぐにプレスにいっていたのがよかった。

この間のグアテマラ戦の記事にも少し書いたのだが、相手陣形が整ったところにしっかりとパスを回して攻めるといってもなかなかうまく行かない。むしろ、整ったところに石を投げてみてその陣形を一旦崩しておいて、しかしその場合は相手のボールになっているが、それをすぐさま奪えると、乱れた陣形に対して攻撃できるので、そうしたパターンも試してみるといい。昨日は多少できていたように思う。

それと、最後のほうで3−4−3にフォーメーションを変えたが、またもやうまくできなかった。試合中にフォーメーションを変える難しさをまた知らされた。やっぱいじらないほうがいいのではないだろうか。これは窮余の一策だろうな。
  

2013年9月17日

デザイン思考と経営戦略

デザイン経営の研究会に入っているという話をして、「ビジネスのためのデザイン思考」(紺野登著 東洋経済新報社)という本の書評も書いた。もう少し勉強しようと思って手にしたのが「デザイン思考と経営戦略」(奥出直人著 NTT出版)である。といっても、もう6年半も前のブログに奥出先生が書いた「デザイン思考の道具箱」(早川書房)についてエントリーしている。実はぼくはデザイン思考をそのころから意識しているのだ。

前の本は、デザイン思考による創造プロセスがメインにあって、その実践ワークショップのやり方などについて記している。今回のは、それにプラスして経営戦略的な観点を加えている。方法論もさらに詳しくなっていること、そしてあれから先生が企業に対するコンサルも含めて実践した結果をフィードバックしてある。いくらよいものを創ったとしてもちゃんとしたビジネスモデルの下に使ってもらえなければ意味がないと言っている。まさにそのとおりである。

学校の先生でそこまでいう人は少ない。奥出先生はうちの社長(息子)の指導教授だったから、社長が研究室で実践したことが基になって本が書かれている。卒業して、いろいろとお世話になったものだから(何しろ学部1年生のときから修士までずっと研究室に入り浸っていた)先生に御礼に伺ったときに「デザイン思考の道具箱」をいただいたのだ。

それからも、BPMツールを開発しようと思ってプロトタイプを作ったときも何度か伺って見てもらった。その時もこれおもしろいからと言ってくれて、ただし、ITベンダーに持っていてはダメだとアドバイスしてくれた。結局、継続的な商品提供ができるかという点で個人では限界があるということで自社開発はあきらめサイボウズ社に乗ったわけである。

だいぶ、本とは関係ない話が続いてしまったが、「デザイン思考の道具箱」をしっかり読み込んでいたので、今度の本もすんなりと入っていった。最初のが初級編で今度のが中級編だそうだ。何と言っても先生は博学だから非常に深い洞察でせまってくるから説得力がある。

いちいち解説と論評をしていられないので、いちばん大事なデザイン思考とはなにかについて述べているくだりだけ書いておく。

デザイン思考は、顧客を発見し、その顧客を満足させるために何を作ればいいか、つまりコンセプトを生み出し、そのコンセプトをどうやって作るのか、さらには顧客にどのように販売するのかまでを考えるビジネス志向の方法である

アイデアを生み出す方法でなく、アイデアをビジネスとして成功させる方法。
イノベーションを可能にするマネジメントの一つの方法。

日常世界を観察し、人々の工夫を発見し、そこにワクワクするファンタジーを持ったモノやサービスを創造し、それを再び日常生活に戻し、社会を幸せにする行為。

3つのプロセスが揃い、かつ融合した活動。
①フィールドワークに行き、人を観察し、その経験をもとにアイデアを作る。
②何を作ればいいかを考えたら、実際に工作をして簡単なプロトタイプを作る。
そして、人に使ってもらいながら有効性を確認して何度も作り直す。
③人間にとってよいことを実現するという意志をもって、その実現を必要な分野の人が複数でコラボレーションを行い、答えを得る。

このあたりをしっかりと理解しないといけない。一つの誤解は、デザイン思考というのは創造性を自動的に生み出す仕組みだと思ってしまうことで、そうではなくて創造性を生み出す方法をプロセス化したものであるということです。

それと、イノベーションというとブレークスルーするような画期的な技術がないといけないみたいな捉え方があるが、破壊的イノベーションとは、ローテクの技術によって可能になり、パフォーマンスも低く、実証済みの古い技術の固まりでああるというクリステンセンの言葉を引用している。これなんかアップルの製品を見ているとそのとおりと思いますよね。ということでこれからデザイン経営を勉強します。
  

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奥出 直人
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2013年9月13日

クロワッサンで朝食を

いまや、映画ファンのおばさまの聖地と化した銀座シネスイッチだが、そこでテレビか何かで紹介されたとたん、行列が絶えなかった映画「クロワッサンで朝食を」をやっと観る。映画友達のS君から面白いけでどいっぱいだぞと言われたのでもう興行がおわりそうなときに出かける。夕方からだからか5割程度の入りである。

主演がジャンヌ・モローで共演がエストニアの女優ライネ・マギとパトリック・ピノー、監督はこれが長編映画デビューというイルマル・ラーグ。ロカルノ国際映画祭のエキュメニカル賞に輝いた作品である。家政婦としてエストニアからパリにやってきたアンヌ(ライネ・マギ)が出向いた先には、裕福だが気むずかしい老婦人フリーダ(ジャンヌ・モロー)が住んでいた。

こういう設定だとつい「最強のふたり」の女版かなと思ってしまうが、そうでもなくて、補完的な役割に二人ではなく、境遇の違う二人が徐々に心を通わせていくというストーリーである。老人の生き方はどこの国でも現代の重要なテーマで、女と男の違いはあるにせよ身につまされる。

エストニアで老いた母をみとったアンヌはそのあとの身の処し方を思案していたが、パリでの家政婦の仕事が舞い込んできた。多少フランス語が話せるアンヌは働くことを決心する。初めてのパリに迎えに来ていたのはステファン(パトリック・ピノー)という男性であった。そして連れていってもらった高級アパルトマンに住むフリーダと会うのだが、フリーダは家政婦を頼んではいなかった。近くでカフェを営むステファンが呼んだのだ。

そこから、フリーダの辛辣な言葉や意地悪が始まる。題名にもなったように朝食はクロワッサンなのだが、スーパーで買って行くとこんなプラスチックは食べられないと言うし、同じエストニア人であるフリーダのために郷土料理を作っても見向きもしない。そんな二人の間なのだが、徐々にではあるが、心を許しだす。

そして、フリーダの過去やステファンとの関係も明らかになってくる。だが、決定的なことがおき、エストニアに帰ることを決めたアンヌは飛行場に向かうのであった。てなストーリーなのだが、ことさら声高に叫ぶのではなくむしろ寡黙な中で進行していく。語る言葉もさりげなく重かったりする。アンヌとステファンがお互いに母親とフリーダの死を待っていると言い合うところなんてドキッとさせられる。渋いなあ。

何と言っても、ジャンヌ・モローのあの歳(85歳)でもつ色気と貫禄に圧倒される。それよりも何よりも相手役のライネ・マギが素晴らしい。エストニアの田舎(場所がわからないので地図で調べた。そうだ最近引退した把瑠都の故郷だ。)から出てきたおばさんが、パリの街でだんだん垢抜けていくのとフリーダとステファンと打ち解けていくさまを見事に演じていた。味わい深いいい映画だ。
  
クロワッサン.jpg
  

2013年9月20日

プロセスの分類とアクティビティ定義(1)

何かを分類することに意味があるのは、分類されたクラスターごとに違った理論や方法、解決策といったものが適用される場合である。しかし往々にして分けるだけでそれ以上は知らないとか、分類することが目的化してしまうことがある。4象限の図にきれいにプロットしてうまく分けたでしょうとしたり顔の人がいたりしてだからどうなのよと言いたくなることもある。

さて、プロセスを扱っていると一番問題になるのはアクティビティという箱の中身をどんなものにするのかというのがある。ちょっと前に紹介した「BPMN メソッド &スタイル」という本のプロセスの定義が「プロセス・インスタンスの初期状態からいくつか定義済終了状態に至るまでのアクティビティの実行順序」ということであり、ぼくも前から言っているように、始点と終点とその中間のアクティビティから成っているわけだから、同じことである。

ところが、このアクティビティとはいったい何なのかについて明解に定義し、論理モデルが提示されていたのを見たことがない。さきほどの本でも「対象とする事、ものの名詞+動詞」というように形式的には提示されていますが、動詞といってもいっぱいあるし、動詞ならなんでもいいのかという問題がある。たとえば、「処理する」とか「生産する」も動詞だし、「書く」とか「持つ」だって動詞である。

だから、ぼくはそういった抽象的なものではなく「単位意思決定=(原則一つのデータ確定・判断)であると規定したわけです。ですから、少なくとも先ほどの動詞のようなものは除かれるのである。ところが、プロセスは何でも意思決定プロセスなのかという問題にぶちあたる。そこで、プロセスの性格で分類してみることにする。

例えば、生産ラインで製品を作る場合、これも明らかにプロセスですが、意思決定の連鎖でしょうか。こういうものは、予め段取りや機器の稼働順序とか組み立て順序などは決められていて、それに従ってプロセスは動いていきます。いちいち意思決定をするのではなく、決められたことを忠実に実行するわけです。ですから、意思決定系のプロセスに対して、作業系のプロセスと呼ぶことにします。

つまり、インスタンスごとに状況に応じて意思決定をして進めるプロセスとやるべきことが決まっていて、毎度同じように進めるプロセスの2種類があるということになります。ですから、作業系のプロセスのアクティビティは具体的な形で設定されたタスクとアクションがあるわけです。それに対しして、意思決定系では、メタモデルを設定しておきたくなるのです。つまり、プロセスではどういう項目の構成にすべきか、何を意思決定していくのだろうかというフレームワークがあるといいなあと思うのである。

ところで、前にも言ったことがあるのだが、別の分類で「外部(顧客接点)プロセス」と「内部プロセス」があるという指摘をした。顧客起点か内部起点かでプロセスの見方が変わるという話である。なので、できたら両方のプロセスにも適用できるフレームワークを作ろうとしています。(続く)
  

2013年9月18日

ビジネスサービスのつくり方 - 第5章 業務アプリ作成

■ 標準品見積提示プロセス(実装その4)

さて、一般設定、フォームの設定ときたので次は一覧の追加になります。アプリを見るときに最初に出てくるのが一覧表ですので、玄関のところをどういうものにするかを考えます。やはり最初のところですから全体を見通せるものがよいと思います。つまり案件ごとの進捗がわかるものが必要です。また、プロセスというのは案件の処理だとも言えますから、その案件がどんな内容なのかも知りたいところです。

従って、基本的な一覧表としては、プロセス進捗と案件一覧を作ります。その他にも好きなように作れますが、条件ごとでソートできる絞り込みの機能がありますのでそれを使えば、切り口を変えて一覧表をみることができます。ですから、ここでは「進捗表」と「見積案件一覧」の2つを作成します。

一覧表は、フォームの設定で配置した各フィールドとその並び順を指定することを行います。一覧の追加をクリックすると、設定したフィールドが左側に自動的に置かれていますので、それをドラッグ&ドロップで配置します。順番としては案件Noと案件名をキーにして、各アクティビティのステータスを持ってきます。登録画面(閲覧画面)でも上段にステータスを表示させましたが同じことをここでもします。登録画面では案件ごとの進捗しか見れませんが、一覧表では複数の案件を同時にみることができます。進捗表は次のように設定されます。

進捗表.bmp

次は、見積案件一覧表になります。これも同じように左側に配置されたフィールドパーツをドラッグ&ドロップで置いていきます。ここでは、案件NO 、依頼日、案件名、納入日、担当営業名、見積金額としておきます。もちろん項目は自由に追加してかまいません。見積案件一覧表は次のようになります。

案件一覧.bmp

さて、基本的な設定が終わったので、その他の設定について見ていきましょう。まずはカテゴリーです。単純なプロセスだとカテゴリーに分けなくてもいいのですが、例えば、見積プロセスでも商品が単一ではなく種類が多くなったりすると商品カテゴリーで分けたくなりますよね。そのために、カテゴリーを設定することができます。

ここでは、住宅設備を対象にしていますので、キッチン、バスルーム、洗面所、トイレというふうにカテゴライスしました。また、キッチンにも標準のものと特注のものがあるとして、階層的に分けるようにします。下記のように設定しておきます。

カテゴリー.bmp

2013年9月14日

企業活動とサッカーゲーム

前にも似たようなことを書いたかもしれないが、会社が行うビジネス活動や組織を見ているとつくづくサッカーの試合やフォーメーションに似ていると思う。だから、冗談抜きで社内研修で「サカつく」で争わせて経営センスをみきわめるなんてことをやったらという提案もした。

サッカーのフォーメーションは4−2−3−1だとか3−4−3だとかいろいろあるが、大きくは、フォワードとミッドフィルダーとディフェンダー、そしてゴールキーパーとに分かれる。これは、古今東西変わってはいない。つまり、点を取るやつと点を入れさせないやつ、その間をつなぐやつという布陣である。

それで、これを企業活動的にいうと、商品を売ってお金を稼ぐのとそのお金を使いすぎないように守ること、そしてその収支をうまくバランスさせることに通じる。さしずめ、営業がフォワードで、経理などがディフェンダーで、最後の砦として、監査だとかかもしれない。では、ミッドフィルダーは誰なんだ。

サッカーの試合で負けるパターンの多くが中盤を省略する戦い方である。バックスから大きく前線に放り込んで強引にゴールを狙わせるというやり方である。トップにデカくて強靭なやつを配してそこをめがける。そんな時は、往々にして相手からも一気にカウンターをもらい失点してしまう。ぼくは中盤の選手だったから、自分の頭の上をボールが行き交うときまって負け試合である。

会社の例えで言えば、優秀な営業マンがいて、その個人プレーで注文をもらうのだが、それは例えばコストを無視した受注だったり、リスクのある案件だったりするわけである。また、ディフェンスがもろかったりするのは、BS/PLやキャッシュ・フローの管理があまいなんてことだし、それこそ粉飾決算なんてはオウンゴールだ。それに気付かない監査はゴールキーパーのミスである。

ということで、きちんと企業運営をするには、強いサッカーチームのような活動が必要であることは言うまでもない。つまり、ちゃんとチーム戦略があり、それをメンバーが共有し、あるいは、リソースが足りないようならよそのチームから補強するとかして、適材を適所に配置する。ただ会社の場合のミッドフィルダーの存在がわりとあいまいで希薄のような気がする。ここが問題である。

そして、実際の試合では、フォワード、ミッドフィルダー、ディフェンダー、ゴールキーパーが連動して動くことが必要で、バルセロナではないが、メンバー同士の頻繁なパス交換(コミュニケーション)を行い、時には危険だと思ったらバックパスもして、後ろからまたビルドアップするといった戦いかたである。うーん、やっぱり似ているなあ。要するに、現代では企業もサッカーも戦略の一貫性や組織の連動性を保つためには中盤が非常に大事になってきているのである。
  

2013年9月19日

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

先日市役所の「高齢者いきいき課」というところから郵便が届けられた。開けると「あなたは、65歳の誕生日の前日から介護保険の第1号保険者になります」と書いてある。併せて「介護保険被保険者証」と「福寿手帳」というのが添えられていた。要するに介護保険が適用されるということなのだが、何だかあなたは老人になったよと念を押されたようであまり気分はよくなかった。

「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」という映画は、ちょうどぼくらかもうちょっと上ぐらいの年齢のイギリス人男女7人の物語である。すなわち、一応一線から身を引いたリタイヤ世代である。インドの高級リゾートホテルで第二の人生を送りませんかという謳い文句にのせられてやってくるというわけである。

キャストは、イギリスを代表する名優たちが顔をそろえる。ジュディ・デンチ、ビル・ナイ、トム・ウイルキンソン、マギー・スミスらで、さらに、現地のホテルのオーナーに扮するのがあの「スラムドッグ$ミリオネア」のデヴ・パテルである。監督が「恋におちたシェークスピア」のジョン・マッデン。それぞれが様々な事情を抱えて悩む姿を熱演している。

夫をなくしたばかりなのだが、夫に頼りきっていたので途方にくれるイヴリン(ジュディ・デンチ)、家を買うはずだったが、退職金を娘に貸したが娘が事業に失敗してしまい、ちっぽけな家しか借りられなくなりインド行きを決心する夫婦、股関節の手術をうけるためにやってきた老婦人、ひとり者でロマンス願望の男女、かつてこの知に住んでいたという元判事といった面々である。

彼ら彼女らは期待に胸をふくらませてジャイプールというインドの街にやってくるのだが、空港に降り立ったところから、異郷の雰囲気に圧倒される。やっとの思いでホテルに到着するが、このホテルが、聞いていたものと全然違って、電話は通じない、ドアがないといったあり様である。しかし帰るわけにはいかないので我慢するのだが、徐々に慣れてくる。

そして、そのインドでそれぞれの新しい生活が始まっていく。映画は各人のエピソードを交錯させながら丁寧に描いていく。だから、7人7様の生き方がさもありなんという形で見えてくるが、同じ年代なので身近に感じられて楽しかった。ホテルのバーでナンパするのは羨ましくもあり、無理すんなよと声をかけたくなる。

イギリスという成熟した社会と発展途上というインドの社会、同じように老境にさしかかった人びととパワーアあふれるインドの若者たちの対比が非常におもしろい。それにしても、「きっと、うまくいく」でも感じたインド人の楽天ぶりにまた驚かされる。"何事も最後は大団円だ"
  
マリーゴールド.jpg


2013年9月16日

負けた!

昨日行われた全国高校サッカー選手権の神奈川2次予選の1回戦でわが湘南高校は百合ケ丘高校に0−1で敗れた。2次予選からは1次予選を勝ち抜いた16チームとシードされた20チームの計36チームで争われる。あと6回勝てば全国出場というところまで行ったのだが(それにしても長い道のりだ)、惜しいところで負けてしまった。

台風の接近で天候が心配されたのだが、朝には相当激しい雨が降ったのに昼ごろには晴れて蒸し暑くなった。従って、土のグラウンドだからピッチコンデションは良くなく、お互いにパスがつながらず大味な試合展開になる。それでも立ち上がりは湘南ペースで数本のいいシュート放つもバーに当たったり、キーパーのファインセーブに阻まれる。

すると、中央付近でフリーキックを与えて、それをうまい具合にキーパーがちょうど出られないところに放り込まれたところを決められてしまう。これまでも多い失点パターンだ。本当にセットプレーに弱い。ちゃんと練習したのだろうか。どうもマークや誰がヘッドでせるのかといった意思疎通に問題があるのではと思わせる。

ところが、1点ビハインドで迎えた後半に1人メンバーを入れ替えるが、それだけではなくポジションをかなり変えてしまったのだ。あまり采配に口出してはいけないのだが、先取点を取られていたとはいえ、崩されたわけではなく、攻撃もまあまあだったので変える必要はなかったように思うのである。後半は負けているのに守備的な布陣になってしまっていた。

いずれにしろ、フォーメーション以前の問題としてボールコントロールがうまくできていない、つまりトラップの技術が不十分である。高校の試合は特に校庭でやるときは狭いのでどうしても密集状態でいかに自分の思うように止められるかにかかっている。その時に大事なのは最初のタッチで支配下に置けるかである。

ちょうど、昨日の情熱大陸でセレッソ大阪の柿谷曜一朗が言っていたが、かれの最も重要だと思っている技術がトラップであると言っていたのが印象的である。彼いわく「トラップは準備である。ゴールできるシュートを打ったり、いいパスを出すにしても、まずは思ったところにトラップできているかどうで決まってしまう」。そうなんですね。彼の良さはここなんですが、意識しているのがすごい。

試合が終わって選手たちはがっくりきていて涙を流すものもいた。彼らの熱い夏は終わった。それを目の前で見ていてぼくの46年前のシーンが蘇ってきた。ぼくらの3年の夏は、全国高校総体の県予選の準決勝で敗れて終わった。その時試合が終わったときは放心状態で何がどうなったかわからなくてただ終わったのだと思った。そして、帰宅してみるとちょうど地元の神社のお祭りの日で親戚の人達が来ていて酒宴で盛り上っていた。それを見た瞬間に何故か悲しさが急にこみ上げてきて、その喧騒から逃れるように裏で号泣した。昨日負けた彼らもどこかで泣いていたはずである。さあ、気持ちを切り替えて大学受験に励んでもらいたい。
  

2013年9月26日

経営センスの論理

「ストーリーとしての競争戦略」という売れ筋の本を書いた楠木建さんの著作「経営センスの論理」を読む。実は「ストーリーとしての競争戦略」は本屋に平積みされていたのを横目で眺めるだけで読んでいないのだが、経営センスの論理という変な言い回しが気になって手にする。

そういえば、ストーリーとしての競争戦略もどことなく変な感じでもある。競争戦略としてのストーリーじゃないのかと思うし、経営センスに論理は似つかわしくないとも思う。もうこうなると、語呂がいいからとか、雰囲気だけでタイトルが決まっているのかもしれない。

前作で言っているストーリーっていうのは、経営者が戦略を構想するための思考様式として「ストーリー」を使うと言っているようだ。シナリオ経営と同じことなのだろうか。そしてこの本では、すぐれた戦略をつくるために一義的に必要なのは「センス」であるというこらしい。スキルではなくセンスなのだ。スキルとセンスの区別は、アナリシス(分析)とシンセシス(綜合)だという。スキルというのはアナリシス的発想の産物であるが、戦略の本質はシンセシスにあるという。おおー、このへんはアグリーだな。

本では6つの論理が展開される。「経営者」、「戦略」「グローバル化」「日本」「よい会社」「思考」である。ただ、先に言ったようにセンスなんていっているわけだから論理とはちょっと違和感があるのだが、ものの考え方、心構えみたいなことが書いてある。経営者のところでは、「ハンズオン」を勧めている。ハンズオンというのは、奥座敷に引っ込んでいないで自ら現場に出る。自分の手でやるということで、優れたリーダーや経営者の重要な条件だという。ただ、これだと忙しくてたまらんとなるが、そこで大事なのは「やらないこと」をきめることだそうだ。

戦略ではイノベーションが強調されている。イノベーションは技術進歩ではないのであって、「できるかできないか」よりも「思いつくかつかないか」の問題であることが多いと言っている。戦略ストーリーは、いずれも戦略のイノベーションを含んでいる。戦略ストーリーの中にはとりたてて難しい構成要素が含まれてるわけではなくて「やろうと思えばできること」ばかりで構成された戦略なのだという。この辺は、ちょっと前に書評を書いた「デザイン思考と経営戦略」の記述と符合する。

その他各章で印象に残ったものをあげると、「グローバル化」ではグローバルスタンダードに合わせようとする愚や、「日本」では、強い日本企業は専業度が高い企業が多いことをあげ、ポートフォリオ経営は不得意にもかかわらず真似して失敗することを指摘している。なるほどそうですね。総合〇〇はダメなんだ。「よい会社」は結局働きがいのある会社なのだ。最後の「思考」では、「地アタマの良さ」の定義がしてあって、それは、抽象と具象を行ったり来たりする振れ幅の大きさと往復運動の頻度の高さ、そして脳内往復運動のスピードなのだそうだ。

著者は一橋大学でMBAプログラムを教えているのだが、この本ではやさしく砕けた言葉もいれながら書いているので、難しくなく全般的に経営とは何かを知る読み物としてはおもしろかった。
  

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2013年9月24日

プロセスの分類とアクティビティ定義(2)

前回は、意思決定系と作業系のプロセスに分けられるというお話をしました。なぜ分けられるかというと、こうするんだという決め方ではなく、その性格やら、もっている属性が違うから必然的に違うものになるのです。こうしてこそ意味のある分類にもなるわけです。

違いを表わす切り口として、アクティビティ(タスク)の内容があります。この定義によって、違った性格づけがなされます。意思決定系のアクティビティは、データ確定と判断が主なものになります。一方、作業系は作業なのですがその定義は"モノ、コトのカタチを変換すること"と定義することにしています。製品を作るなんてプロセスはイメージつきますよね。コトでも決まりきった手順で自動的に進めるなんてはこれに当てはまります。

こうした定義によっていろいろな違いがもたらされます。一番の違いは「定型性」です。作業系は定型的で、プロセスフローやタスクが決まっていますが、意思決定系は、依頼内容や顧客の類別で対応が変わったりします。すなわち案件ごとに違った判断がされたりするわけです。

またさらに、定型性からもたらされる性格の違いもいくつか生じてきます。いま言った定型性に似ていますが、順序性があります。作業系は順序が大事ですが意思決定系ではそれほど厳密でなくてもよい場合があります。行ったり来たりすることもあります。プロセスの後ろの方から戻ってまた前の判断を変えることもあるわけです。

それを別のいい方だとブレークダウンがあるかどうかになります。ブレークダウンというのは、なにごともなくそのままプロセスが終わる(ハッピーパス)場合はいいのですが、途中で何らかの破綻がおきることです。作業系では、もちろん機械が故障するなんてことがあるのでないとは言いませんが、意思決定系はこのブレークダウンがあることが前提なのです。

ですから、機械化、自動化というのが作業系ではやりやすいのですが、意思決定系では難しいのです。データ確定や判断を機械に任すのはどうかと思いますよね。従って、ITのことでいうと、作業系はIT化というかパッケージ化しやすいといえます。また、その他にも、個人的なのか組織的なのかとか、オペレーション期間が長期なのか短期なのかといった違いもあるように思います。

ただ、今みてきたような差異を考慮しても、どれもどちらか一方だけというのは少ないかもしれません。意思決定系と作業系が入り混じった形で存在するのが現実かもしれません。意思決定系と作業系の関係を整理すると、ハイレベルなプロセスは意思決定系でその下のレベルに落とす時、予めタスクの内容とか順番が決められる場合には、作業系プロセスとして取り扱い、定型化できないものは意思決定系のプロセスとして扱っていく、あるいは、両方を混在させる、または意思決定系としてオペレーションしていくうちに定型化されたら、作業系にするといった対応になるのでしょう。
  

2013年9月29日

デザイン思考で業務システム開発

先日、「デザイン思考と経営戦略」(奥出直人著 NTT出版)という本の紹介をした。デザイン思考を使って、イノベーションを生み出し、経営戦略に組み込む方法を提言している。この対象は、ビジネスに供する新たな製品やサービスを創造することなのであるが、翻って、業務システムという商品を作るのもデザイン思考でやったらどうなのだろうかというのがこのエントリーの趣旨である。

このことを考えていた時に、そもそも業務システムって商品っていう意識でつくっているのだろうかと思ったのである。パッケージやソフトウエア製品はそうかもしれないが少なくも受託開発のものは作ったシステムは商品ではない。この場合の商品は人月だからである。パッケージやソフトウエア製品にしてもそれだけで通用しないから、アドオンだとかカスタマイズをするから、半分は人月サービスとの組み合わせだ。

ユーザは商品を買ったという意識があるのだろうか、何となくしっくり来ないのである。もちろん特定のお客さんに対して新商品開発のようなやり方は適さないのかもしれないが、従来の開発方法を見直すヒントになりやしないかと思うのである。デザイン思考でイノベーションを起こそうという会社の経営のための業務システムをデザイン思考からかけ離れたやり方で作っていていいのだろうか。ということで、もしドラではないが「もし、もし中小企業向けITコンサルが『デザイン思考と経営戦略』を読んだら」というトーンで連載してみます。

記事では、デザイン思考ワークショプ(中級編)に収められているステップでやるとどうなるかを書いていきます。ちなみにワークショップは11回、ステップとしては27あります。ワークショップの内容は下記のようになっています。

デザイン思考ワークショップ(中級編)
第1回 チームを作る
第2回 誰のために作るのかを考える
第3回 解釈学的民族誌
第4回 メンタルモデルを作る
第5回 創造性のジャンプ ― アイディエーション
第6回 コンセプトを作る
第7回 ペルソナを作る
第8回 スケッチからプロトタイプへ
第9回 フレームワークを作る
第10回 ポジショニング・哲学・ビジョン・ターゲット・セグメント・SWOT分析
第11回 プロトタイプを見せてビジネスを考えよう

なお、最後の2つは商品化というフェーズなので今回のものにはマッチしませんが、できたものの横展開をどう考えるかという見方もあるので言及しておくつもりです。さてどうなることやら。
  

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2013年9月21日

鈴木先生

ぼくは映画評というのは見ないことにしているのだが、それでも鑑賞後にチェックするときもある。そんな時はだいたいが同じような点数になっている。別に自慢しているわけではなく、むしろ常識的な眼しかないのかと思うこともある。ところが、この作品はぜんぜん違っていた。どうなってんだこんな作品作ってと思ったら、意外や意外好評なのである。

どうも、漫画が最初でそのあと、テレビドラマ化されさらに映画化したらしいのだが、これが視聴率が良かったから映画化とう流れではなく、その反対でテレビでは最低平均視聴率2.16%を記録したというから驚きだ。いったいどういうことなのだろうか。熱心なファンがいて(長谷川博己のファン?)、その人達が熱望して、評価したっていうことなのかもしれない。そんな映画が「鈴木先生」である。

ストーリーは、中学教師である鈴木章(長谷川博己)は、誠実で教育熱心の国語教師であるが、妻(臼田あさ美)が身重なのに女子生徒の小川蘇美(土屋太鳳)にあらぬ妄想を描く。学校では、生徒会選挙が近づいてきて、鈴木先生のクラスでも候補者選びが行われる。ところが、普段表にでてこない出水という生徒が会長候補に立候補する。何か企みがあるでは警戒するのである。この選挙は全員参加を徹底するキャンペーンが復活した"壊れってしまった"家庭科教師足子先生(富田靖子)の発案で実施される。

また、近くの公園ではその中学校の卒業生である勝野ユウジ(風間俊介)と田辺ミツル(浜野謙太)の二人がタバコを吸いにきている。どうも世の中に受け入れないで引きこもっているようなのである。そんなある日、不審者扱いされてしまい公園の喫煙場も撤去される。

さて、生徒会選挙の当日、ユウジが学生服をきて学校に侵入し、小川を人質に取るという事件が起きる。そこに、鈴木先生も駆けつけるのだが・・・・。てな話なのだが、この生徒会選挙と人質事件とがどういう関係なのかよくわからない。

選挙の話にしても、怪しい行動とる出水という子が立候補したのは、小学校時代に親友が生徒会選挙(小学校で生徒会選挙ってあるの?)に真面目に立ったのに全員参加の記名投票の結果、テレビの子役だった子に負けてしまったことを根に持っていて、選挙制度を壊すだけが目的で立候補したのだ。まあ、これって、政権交代を目的に選挙を戦った民主党だ、原発反対だけ言っている候補者と同じだと思わず叫んでしまった。

どうも、古めかしい感じを抱いてしまう。話は飛ぶんだが、鈴木先生のトレードマークが、黒縁メガネとループタイなのだそうだ。おじいいちゃんのイメージですよね。昔、出張でアメリカに行った時にぼくの上司がループタイをしていったのだが、空港のカウンターで変な眼で見ている。向こうの人に聞いたら、ループタイというのは、もう私はあっちのほうは役に立たなくなったという宣言をしているのだという。上司はまだ40くらいだから現役バリバリだからと言ったら笑っていた。だから、ループタイという設定はまずいんじゃないの。

河合勇人監督の力量もあるのだろうが、古沢良太の脚本も含めて突っ込みどころ満載ば映画である。
  
鈴木先生.jpg

2013年9月22日

女房の携帯電話

先週、ついにヨメさんが携帯電話を手に入れた。ぼくの92歳になる母親でさえも携帯電話(らくらくホン)を持っているというのに今年還暦を迎えたばかりでまだ若いのに携帯電話を持つことに頑なに抵抗していたのが折れた。なぜその気になったのかというと、携帯がないから家からかけるときには固定電話を、外出したときは公衆電話を使うのだが、近くに新しくできたスーパーに公衆電話がないと言って嘆いていたことと固定電話の料金を見直したことにある。

そういえば、あまり注意してはいないのだが言われてみれば街で公衆電話をみかけなくなった。携帯電話を使っている人にはどうでもいいことなのだが、もっていない人にとっては由々しき問題なのである。これは誰にも文句を言えないわけで、スーパーで買物して迎えに来てもらいたいときに電話を掛けられない事態に困ってしまったのだ。

一方の家の固定電話の方なのだが、ヨメさんはあまり電話をする方ではなくて、せいぜい家族かほんの少しの知り合いぐらいで、ほとんどがぼくか息子である。もちろん、ぼくらの携帯電話に掛けてくる。ところが、その通話料はたいしたことではないと思い込んでいたらしい。わが家は、NTT東日本のフレッツ光を使っているので、その料金と一緒になって請求が来るので隠れて分からなかったのである。

ところが請求書をよく見たら固定電話から携帯へは結構な料金を払っていたことに気がつく。それこそ、同じ家の一階から二階のぼくに電話してきたりしたのだ。そこで、家族同士の通話は無料だという携帯電話会社のテレビCMを見て、父さん携帯電話買った場合とどっちが安いか調べてよとなる。ほとんどの相手がぼくだから、ぼくと息子が利用しているソフトバンクの携帯であればだいぶ安くなることを理解する。

というわけで、携帯電話を手に入れたわが女房は、それまでの抵抗感がウソのように大喜びである。メールやインターネットはやらないので主に電話だけなのだが、それでも、ショートメールやカメラ、それにぼくも驚いたのだが、ワンセグも入っていてテレビも見られるのに興奮していた。

彼女は、意外と機械に強くて、こちらが教えてあげるからと言っても、取扱説明書をダウンロードしてきてよ、それを見るからいいわと言う。ぼくよりも取説読むのが苦にならないようでこっちも助かる。だから、わりとすぐに慣れてきて、着メロも待ち受けも変えたいなあなんて言い出している。きっと、これから、すぐに迎えにきてとか頻繁に指示がきそうで、ますますアッシー君生活に拍車がかかりそうだ。
  

2013年9月23日

なでしこ世代交代?

今日は、ぼくの誕生日である。もうこの歳になるとおおげさに祝うものでもなく、むしろ終活に近づいていく実感が増していく。ただ、普通に家族から誕生日おめでとうと声を掛けられるのがいちばんうれしい。今朝もヨメさんと息子から言葉をもらい気分がよかった。

ぼくと同じ誕生日に中山雅史と川澄奈穂美がいる。だから、サッカーなでしこジャパンでは川澄を応援している。その川澄が、昨日のアルジェリアとの国際親善試合で追加点をあげて2−0で勝利した。先制点は、前半36分に宮間のスルーパスに抜けだした大儀見優季がキーパーの直前でかわすとバックスの間をシュートしゴールが決まる。川澄の追加点は、後半8分、後半から入った丸山桂里奈のセンターリングをキーパーがはじいたボールを冷静に相手バックスをかわしゴール。

これまでの代表の試合はなかなか勝てなかったり、試合内容もよくなかったのだが、この日は多くの代表初先発という選手をいれているにもかかわらずいい戦いをする。何しろ、完封したのはたいしたものだ。センターバックの北原佳奈、三宅史織が踏ん張ったのが称賛ものだ。北原は173cmの長身を活かしていたし、何と言っても17歳の三宅が驚くべきパフォーマンスを見せた。この年齢でフォワードとかはわかるのだが、経験が必要なセンターバックを務めること自体すごい。歳に似合わず冷静沈着なプレーで将来性を感じる。

試合運びの良さが光った昨日の試合だが、その要因は、澤穂希と近賀ゆかりの二人のベテランの加入が大きい。澤の偉大さは攻撃でも守備でも起点として機能することで昨日も中心となっていてチームとして安定感をもたらしていた。ぼくはそれよりも近ちゃん(近賀)の存在が大きかったような気がする。大けがから1年ぶりの復帰となったが改めて彼女の貢献はすばらしい。サイドバックなので目立たないが、後ろの若い二人の守備をサポートしていたし、長い距離を走って攻撃にアクセントをつけていた。

こうしてみると、ベテランと新加入の若手が融合し出したような気がする。それができなかった中野真奈美と田中陽子をすぐにベンチに下げた佐々木采配の厳しさも明確なメッセージを発していて評価できる。さて、次の試合でも新たなメンバーが登場するので楽しみだ。何と言っても層を厚くしてチーム内競争を図ることが、W杯連覇には不可欠であろう。
  


2013年9月28日

大統領の料理人

恒例のS君との映画鑑賞会。いつも推奨映画を何本か出してもらい、そこから選ぶのだが、今回は結構真面目で暗いのが多かったので、終わってから一杯飲むのには暗くて重いのより、次の一杯がうまくなるものという基準で「大統領の料理人」にする。その名のとおり、フランスで1981年から1995年の2期14年にわたって大統領を務めたフランソワ・ミッテランのお抱え料理人だった女性の物語である。

実話である。モデルになった女性は、ダニエル・デルプシュといって、地方でフランスの伝統ある郷土料理を教える料理学校を設立し、自宅でも小さなレストランも経営していた。その彼女を演じるのが、カトリーヌ・フロ、大統領役がジャン・ドルメッソン(この人は、小説家で今回はオーディションを受けての映画初出演だそうだ)、監督がクリスチャン・ヴァンサン。

映画の冒頭は南極基地から始まる。オーストラリアのTVクルーが取材で訪れたフランスの基地でオルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)が厨房で働いている。一年の任期を終えてもうすぐそこから離れていくのだという。堺雅人主演の「南極の料理人」という映画を思い出してしまったが、極地で働く女性料理人というのも珍しいし、その腕前もすばらしいので、いったいなぜ彼女がそこにいるのかと思うのである。そこから、過去に切り替わるのである。

田舎でレストランを営むラボリのもとに高級車が乗り込んで彼女を連れていく。行き先の住所を言われても分からない彼女にそこは大統領官邸、すなわちエリゼ宮だったのである。大統領直々に指名して、大統領のために食事を作るよう命じられる。大統領は、それまで25人ものスタッフがいる主厨房が作る料理を食べているのだが、堅苦しく、また凝った料理に辟易していたのだ。

だから、自らも食通である大統領は彼女に素材を大事にしたシンプルな料理を要求したのである。ラボリも従来からいる料理人たちからの嫌がらせも受けながら思う存分に素朴で美味しい料理の数々を出すのであった。しかし、料理を管理するスタッフが変わったことから、彼女の料理になんだかんだと注文がつき出す。大統領の健康にためにさまざまな制約をかけてきたのだ。そして、2年間仕えたあと辞めていったのである。

さすが、フランス映画である。おいしそうなフランス料理がふんだんに登場してくる。ただ、つぎからつぎへと料理の名前が出ってくるのだがさっぱりわからない。それに、ぼくの眼にはけっこう手の込んだものをつくっているなあと思え、これってシンプルなのかなあと思ってしまう。そうしたら、最後の方になって大統領自ら彼女のプライベートキッチンに現れて、そこでパンに採りたてのトリュフを乗せてワインを飲みながら食べるシーンがあったがこれこそシンプルだ。

もう、料理がふんだんに出てくるので空きっ腹にはこたえた。終わってからフランス料理屋にでも行きたくなったが、普通の居酒屋で"シンプル"に酒を呑んだのである。映画としては、エリゼ宮時代と南極時代時代を交錯させてそのコントラストで彼女の生き様を提示する手法で、これがなかなかよかった。恵まれた環境での高貴な相手、一方で厳しい環境の中での荒くれの男たちへのサービスという対称的な環境にあっても料理人としての誠意は変わらないという人間性を活写しておもしろかった。
  
大統領の料理人.jpg

2013年9月25日

ビジネスサービスのつくり方 - 第5章 業務アプリ作成

■ 標準品見積提示プロセス(実装その5)

前回は、その他の設定でカテゴリーを取り上げました。つぎに通知の設定とアクセス権の設定を行っていきます。前提として、ここでは説明しませんが、cybozu.comで組織/ユーザーの設定が終わっているものとします。すなわち、kintoneの対象となっているアプリに参加する組織と人が登録されているという前提になります。

通知というのは、何かのアクションをきっかけに通知をするというもので、その条件としては、レコード追加、レコード編集、コメント書き込み、ステータスの更新、ファイル読み込みがあります。誰が何をした時誰に通知するかを設定することになります。通知はメールが飛んで行きますし、アプリのポータルでもわかります。下記のような設定になります。

通知.bmp

また、リマインダーという設定があります。これは、ある条件(通知のタイミング)になったらお知らせというかアラートを発するのですが、これが、実はパフォーマンス管理に使うことができます。つまりあるフィールド項目に条件を与えて、通知内容を設定するとそれを通知してくれます。ここでの例でいうと、見積提出期限の5日前になったら"見積作成急いでください!"という通知を担当者に送るわけです。

使い方としては期日管理が多いかもしれませんが、例えば、金額とか数量がある限度を超えたら注意をうながすということもできます。この機能を使ってパフォーマンス管理を行うようにします。リマンダーの設定は下記のようになります。

リマインダー.bmp


つぎは、アクセス権の設定になります。アクセス権がかけられるのは、「アプリ」「レコード」「フィールド」ごとにできます。それぞれの許可されるものが違っていて、アプリでは、レコード閲覧、レコード追加、レコード編集、レコード削除、アプリ管理、ファイル読み込み、ファイル書き出しで、レコードでは閲覧、編集、削除で、フィールドになると閲覧、編集となっています。このアクセス権によって担当者はだれなのか、責任者はだれなのかがわかるようになりますし、承認などのボタン(フィールド)は権限を持った役職者しか編集できないようにします。

さらに最近各種APIが提供されるようになってきました。その中で、「アプリのJavaScriptカスタマイズ」を行ってみましょう。その設定は、アプリの管理画面にある詳細設定を開きます。そこに「JavaScriptによるカスタマイズ」という項目がありますので、そこをクリックするとJavaScriptファイルをアップロードする画面になりますので、適用するファイルを参照ボタンから選択します。

JavaScriptファイルはもちろん自分で書くことができますが、下記のようなサンプルが用意されています。
• レコード一覧でステータスに応じて書式を設定する
• 住所から地図を表示する
• To Do をガントチャートで表示する
• 自動採番して、レコード登録する
• 経過年数を表示する
ここでは、最初の2つを実装してみます。サンプルコードの項目名を変更して適当な名前を付けておきます。「進捗一覧表」のアクティビティのステータスに応じて色が変わるようにします。そのアクティビティが完了すると文字が緑色になるように設定しました。また、住所からGoogleMapが表示できますので、例えば、依頼会社の住所とか納入先住所などを入力すると自動的にその地図が表示されるようにしました。

以上で、「標準品見積提示プロセス」の実装フェーズの説明は終わります。普通はこれで終わってしまうのですが、次回からはオペレーションについてエントリーしていきます。作っておわりではなく、使ってみてまた改善してというサイクルを回すのがゴールですので大事なところになります。

2013年9月27日

WBSに登場

ご覧になった方もいたかもしれませんが、昨日のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」に「ボケて」が登場した。"炎上を回避せよ!投稿センスを磨く"という特集で取り上げられた。要するに、ふざけた映像をアップして閉店に追いやられたチェーン店とか、あるまじきコメントを載せて炎上したとか質の悪い投稿が増えてきている現状に対してどういった対応が必要かというテーマで放映された。

その中の一つに「ボケて」が取り上げられた。このサービスは投稿された画像にユニークなコメントをつけて楽しもうというもので、そういったサイトでどうやって悪質な投稿を防いでいるのかというのを、運営しているオモロキという会社の社長と技術責任者のウチの息子がコメントしている映像が映し出されたのだ。

最初にうちの子が仕組みを説明したあと、誹謗中傷はしてはいけない、炎上するようなことを言ってはいけないと感じるようなうまい場の設計をこれからはしていくべきだと述べて、実際に投稿している大学生を映していた。そして社長が、いろいろなSNSがあるが、どんな文脈やコミュニケーションが生まれているのかを見てその中で自分の振る舞いを決めていくような形が将来的にSNSにはいいことだと締めていた。

だから、センスの良い投稿で形成され、信頼性の高いSNSには企業も広告宣伝の場として活用することが拡がっていくだろうというWBS的な意見を言っていた。現に、「ボケて」も企業とのコラボも増えてきているので、こういった形は伸びてくるとうれしいと思っている。

ところで、このようにテレビや雑誌(先々週の写真週刊誌「フライデー」でも記事になった)でとりあげられると急にアクセス数が増えるのでシステム的には怖いのだ。なので前もってサーバー容量を増やして待機していた。結果、番組終了と同時にアクセス数通常の3倍になった。それでも準備したおかげで普通に捌けた。これはもうアマゾンのAWSの威力ですね。もう今朝には元に戻したがやっぱクラウドはすごい。まだ、体験していない人がいたら是非「ボケて」を楽しんでみてください。
  

2013年9月30日

リスクとの遭遇

ぼくの今の会社での重要なミッションはリスク管理である。親子二人だけの会社だからリスクなんてないだろうと思われるかもしれませんが、案外あるもので、何があったかは憚られるので言えませんが、ぼくみたいな年寄りのほうが様々な経験をしてきたという意味で役立つのかもしれません。

もちろんできるだけリスクが発生しないようにはするのですが、残念ながらゼロにすることはできません。ですから、これは確率の問題であり、いたって経済問題でもあるのです。つまり、リスクの発生確率と起きた時の被害の掛け算になる。リスクゼロを目指して莫大な投資をすることはできないししてはいけない。原発問題はここでかみ合わない

原発反対派の人の中に、被害の大きさだけを持ち出す人がいる。そうしたら被害が大きいものはあってはならないという理屈になり、飛行機は飛ばしてはいけなくなる。ぼくは、飛行機で事故にあって死ぬより、家の近くを歩いていて車に轢かれる、あるいは駅のホームから落ちて電車に轢かれて死ぬ方がリスクが高いと思う。個人の感覚はみなそうではないだろうか。原発のリスクが非常に高いように感じてしまうが、個人にとってみると、自分が死ぬことが一番のリスクだから、確率のほうが重要なファクターになるではないでしょうか。

「リスクとの遭遇」(植村修一著 日経プレミアムシリーズ)は、"なぜ人間は、「滅多に起きないが影響が甚大」な災害には敏感なのに、日常の失敗や危険への対策はおろそかになるのか"という問いかけに対して書いている。元銀行員だった著者が前著「リスク、不確実性、そして想定外」に続いて、いろいろな事例や歴史を持ちだしてわかりやすく解説してあってなかなかなかよい本であった。

先ほどの、問いには最後に、われわれの頭のなかに存在する様々なバイアスが、思い込みや錯覚を通じて、リスクや「想定外」を作りだすという。思い込みというのは、多くの偶然が働いている過去の出来事に何らかの意味付けをして将来を占おうとしてまったりすることである。だから、時に一歩ひいてものごとを見ることで、これまで見えなかったものが見え、これを元に新しい行動を起こすことができる。そのための行動は新たなリスクのテイクであり、リスクの管理であるという。

そして、リスクの管理というのは「リスクを認識し、これに対処する」ことなのだが、なかなかできない。どうしても向き合いたくないという気持ちがあるのだ。で著者は、「大事なものを守る」という気持ちとか意思が必要で、そのためには「将来のことについて謙虚であること」「気づきを大切にすること」「木を見ず森をみること」が大事であると説いている。

この本に出てくる事例でもわかるように、現代では様々なところで、また思いがけない時にリスクは襲いかかってくる。できるだけ「想定外」がないように日常的にしっかりと対処しておきたいものだ。
  

リスクとの遭遇 (日経プレミア)
植村 修一
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