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レンタネコ

ぼくは、犬とか猫はあまり好きではない。こんなことを言うと、女子供に嫌われるかもしれないが、好きでないのだからしょうがない。映画「レンタネコ」は。大の猫好きらしい荻上直子が脚本を書き演出した作品である。荻上直子といえば、「バーバー吉野」でデビューして、その後「かもめ食堂」「めがね」「トイレット」といった癒し系の映画で一定のファンを確保している監督である。そして、スタッフ、キャストもファミリー的な人々で固められていることが多い。

この作品も荻上作品ではおなじみの市川実日子が主演している。ネコをレンタルするという変わった商売をするサヨコという女性をコミカルで存在感のある役柄を好演しています。ストーリーは、彼女が猫をレンタルする相手を通して心にポッカリとあいた穴を持った人々に焦点をあてていく。サヨコは川原の道を猫が乗ったリヤカーを引っ張りながら「レンタネコ、レンタネコ、寂しい人に猫を貸します」と呼びかけます。

そこで出会った人たちが登場します。もう死期も迫った高級マンションに一人で住む老婦人・吉岡(いつもなら、もたいまさこかもしれませんが、だいぶ歳の設定なので草村礼子です)、単身赴任の中年サラリーマン・吉田(こちらはおなじみ光石研)、生真面目なレンタカー屋の受付嬢・吉川(山田真歩)、そして最後は、中学校の同級生で嘘つきはったりと呼ばれていた・吉沢(田中圭)の面々である。

それぞれが、寂しさを抱えていて、そこに埋めるように猫を貸し出すのである。決まったパターンがあって、貸すには審査があるといって、借りての人の家までいって大丈夫かチェックして、借用書にサインしてもらう。そこで、彼らがどういう寂しさを抱えているのかが明らかになる。夫と猫に先立たれ、息子とも疎遠になってしまった老婆、単身赴任で家族と離れて暮らすうちに娘に嫌われるようになってしまったサラリーマン、話し相手もいなく、ひとりで食べるしかないのにランチのドーナッツを二人分買ってしまう受付嬢(ベンジョメシ?)、相変わらず嘘つきとはったりを繰り返す同級生といったところである。借用書に書く期限がおもしろい。「私が他界するまで」「家族のもとに帰るまで」「待ち人現れるまで」である。

いやー、この世界は何なのだろうか。みんないい人ばかりで(犯罪者も含めて)やさしくて、ギスギスしていなくて、脂ぎった感じもなく暮らしている。こういう風景を観ることで癒されるのだろう。事実映画を見終わったあと何やらぬくもりを感じてしまうのも正直否定しない。がしかしである。ぼくなんかでも、厳しい現実にさらされていて、腹も立つし、怒りも覚え、下手すりゃ汚い言葉で罵ったりするし、ヤケになったりイヤミも言う。だから、なぜか気が抜けてしまうところもある。でもそうは言ってもたまには、世知辛い浮世を忘れてホンワカしたらというのがメッセージなのかもしれない。
  
rentaneko.bmp
  

コメント (1)

Anonymous:

荻上直子はアメリカの留学先南カリフォルニア大の後輩で
スピルバーグの教え子です。なかなかいい子ですがなかなか有名にならないのはなぜかしら?
私はというと
植物人間ではないけど横になっている事が多い毎日です。
東塚

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2013年4月26日 10:33に投稿されたエントリーのページです。

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