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「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ

昨年、10月に41歳という若さで亡くなった流通ジャーナリスト金子哲雄さんの書いた「「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ」(角川oneテーマ21)は、亡くなる前月に発行されたものである。独特の語り口で人気を博していて、死ぬ直前までテレビに出演したりしていたのでご存知の方も多いと思いますが、肺カルチノイドという珍しい病気で発見されてから1年ちょっとで他界してしまったようだ。ご冥福を祈る。

さて、その本であるが、タイトルにあるように「持たない」ビジネスのことである。儲けのカラクリというより、現代では資産を持たない方が有利ですよという話である。それは、個人から企業までみんなに当てはまることで、個人では、固定資産を持たない、例えばマイホームにしても購入するのではなく賃貸の方がいいですよということである。

バブルのときは、土地や家屋が値上がりしていたから、保有価値はあったのだが、いまやデフレの時代(アベノミクスで資産バブルがおこりそうだが)では、かえって保有することで税や維持コストが相対的に大きくなり不利になっていると指摘している。確かに、不動産などの財産があってもそのままでは三代の相続で無くなってしまうのだから不動産を抱えているのも大変だ。

企業についても同様で、不動産なんて持たない方がよくて、その反面教師的な存在としてダイエーの例を紹介している。イトーヨーカ堂、セブンイレブンとの対比で明らかに後者の持たない経営が成功を収めていることがわかる。金融や保険などに目を向けても無店舗経営も進んできている。

さらに、製造業においても工場を自社で持たない企業も多く現れていて、それは持たないというより世界的な規模での分業というふうに位置づけられるので、金融・保険あるいは流通などともちょっと違う。要するに、これまでの垂直的統合の仕組みから、水平的な統合の仕組みへ変わっていっていることを意味している。つまり、持たないというより、持つところを自律分散させたことなのだろう。

本では、こうした時代の流れ、現状を紹介して、最後に「持たない経営は私たちを幸せにするのか?」と問いかけている。しかし、それに対する答えは提示されていない。ですから、全般的にみても、当たり前のことを並べているので新鮮味もないし、本人が最後に"やや極論を述べた"と言っている割には常識的な内容であった。
  

「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ (角川oneテーマ21)
金子 哲雄
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2013年4月23日 10:50に投稿されたエントリーのページです。

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