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官僚の責任

今何かと登場してくる話題の古賀茂明さんの書いた「官僚の責任」(PHP新書)を読む。最近でもあの橋下徹に請われてか押しかけてか知らないが、大阪府市統合本部顧問に就任している。そんな注目の人物が何を考えているのかを知っておいた方がいいと思ったからである。

まあ、書いてあることはまともでほとんどのことがごもっともですねと言わざるを得ない。ということは、現状の官僚あるいはお役所は深刻な制度疲労を起こしていると思う。この人がこの本だけでなくテレビなどでよく言っていることは、「官僚は決して優秀ではないし、必ずしも国民のことなどを考えて仕事をしていないのだ。たとえ官僚になるまでは優秀だったとしても、いつの間にか「国民のために働く」という本分を忘れ、省益の追求にうつつを抜かす典型的な「役人」に堕していく。それが「霞が関村」の実態なのである。」

確かに縦割りで自分たちの省の利益だけを優先するという姿はよく目に耳にする光景だが、一向に改まらない。彼も公務員制度改革を訴えるのだが、官僚と癒着していた自民党から民主党に交替した時に改革が実行されると期待したのに裏切られたと嘆いている。それは、民主党の官僚に対する認識が甘かったのではないだろうか。政治主導を官僚を排除することだと誤解していたのである。

ここでも天下りのことを批判しているがもう長年染み付いている習性は直らないかもしれない。そのことを実体験として今でも思い出すことがある。もうかれこれ20年近く前になるが、ぼくが東京本社で技術企画室というところにいた時の話である。化学会社では多くの製造プラントを持っているが、事業撤退したときに休止するプラントが出てくる。

しかし日本では成熟期なので採算が取れないかもしれないが中国ではこれから必要となるから、その休止プラントを中国に持って行けないかというアイデアを思いついた。中国人の作業員を大量に連れてきて解体して運搬すれば費用は安く済むから成立すると考えたのだ。それには当時の通産省にお伺いをたてなければいけないということで、基礎化学品の課長に相談にいった。

その時の衝撃は忘れられない。説明が終わるか否かのとき、その課長は係長に向かって、○○協会を作ろう即座に指示したのである。これで天下り先をひとつ増やせると思ったのである。まさに本に書いてあるように、官僚の仕事は法律をつくり、同時に予算をとり、関連団体をつくり、天下りポストをつくることで評価されるのである。国民のためはどこに行ったのか。結局、そのアイデアは立ち消えになってしまったが。

著者はこうした互助会システム的な体質を改めるには、キャリア官僚を縛りつけている省という枠組みにとらわれないで動ける仕組みを新しく作るしかないという。そのための方法が、「内閣人事局」を新設して、全政府的見地から人事管理を一元化することえお提案している。

おそらく、大阪もある意味国の縮図のようなところもあるので、試金石としてやってみて、それを国に当てはめていくというアプローチもおもしろいかと思う。いずれにしろ、結局のところ人事とか人材活用とか組織といったところを抜本的に変えていかない限り、いくらお題目だけ、意欲だけを叫んでも変わらないような気がする。そのためにも強いリーダシップが望まれるのだが。



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2012年1月 8日 10:25に投稿されたエントリーのページです。

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