正月は時間があるのでゆったりするが、テレビはスポーツ番組以外見るべきものがないし、パソコンの前に座るのも嫌なので映画鑑賞とあいなる。というわけで、映画評を並べてみる。
【ククーシュカ ラップランドの妖精】
みなさん、ラップランドってどこにあるのかご存知ですか。フィンランドの最北の地でサンタクロースで有名である。そのくらいは知っているかもしれませんが、そこを舞台にした映画はなかなか知っている人は少ないでしょう。ロシアアレクサンドル・ロゴシュキン監督による人間ドラマである。
時は1944年の大戦末期、ラップランドではロシア軍とドイツ軍、そしてフィンランド軍が戦っていた。フィンランド軍の狙撃兵ヴェイッコは、戦争への非協力的態度に怒った戦友らによってドイツ軍の軍服を着せられた上、鎖で大岩につながれたまま置き去りにされる。またロシア軍大尉イワンは、味方による誤爆を受けてしまい傷を負う。
そこにサーミ人の女性アンニがやってきてイワンの命を救う。さらにやっと鎖を解いたフィンランド兵士のヴェイッコも転がり込み、お互い全く言葉の通じない3人の奇妙な共同生活が始まる。この文化も言葉も違う三人の会話になっていない会話がおもしろい。アンニは夫が徴兵されたまま帰って来ないから男に飢えているから若いフィンランド兵を誘惑する。
それに中年のロシア兵が嫉妬して、あるときヴェイッコが ドイツ軍の軍服を着ていたため彼のことをドイツ人と思い込んだイワンは、墜落機の残骸から見つけたピストルでヴェイッコを撃ってしまう。アンニはヴェイッコを献身的に看病して命を救う。その間に今度はイワンを誘惑するのである。これだと淫乱だが、アンニはすごくかわいらしいそれこそ妖精のような女として描かれる。
いつも言うのだが、女一人に男二人というシチュエーションはおもしろくなる映画の定石で、この映画もまた男と女の間、男同士の関係が入り乱れた中で微妙なバランスをとるおもしろさがある。自然の美しさやラップランドの生活も見ることができ、またユーモアもある秀作であった。

【ミッション:8ミニッツ】
これは年末に劇場で観た映画である。「月に囚われた男」で評判が高かったダンカン・ジョーンズ監督の第2作となるSFサスペンス。シカゴで乗客全てが死亡する列車爆破事件が発生するが、犯人を探すために政府が遂行する極秘ミッションが事故犠牲者の事件発生8分前の意識に入り込み、その人物になりすまして犯人を見つけ出すという作戦である。何かすごい設定ですよね。もうこの時点で引き込まれてしまう。タイトルの「ミッション:8ミニッツ」その8分からとっている。
その犯人を見 つけ出すという任務遂行のため、軍人であるスティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)が選ばれ、事件の真相に迫るため何度も8分間の任務を繰り返す。ミッションは予告されている第2のテロを未然に防ぐためで、スティーヴンスの意識が死んだ乗客の記憶に基づく世界へと転送されるである。そこで限られた時間内に犯人を突き止める行動をするのだが、失敗を繰り返す。
このテロを防ぐためにというのをみるとあの9.11を思い起こさせる。戻せるものなら戻したいという声が聞こえてきそうなきがした。それにしてもアイディアからストーリー展開、そしてラストの衝撃はなかなかのもので期待以上の映画であった。

【まほろ駅前多田便利軒】
直木賞に輝く三浦しをんのベストセラー小説を映画化したものである。まほろ駅というのは町田市を想起させられるが、そこで多田便利軒という看板を掲げている三十男の便利屋とその友達の話である。監督が大森立嗣で、主演の二人が多田を演じる瑛太とその中学校の同級生だった行天の松田龍平である。
正月のある日、客から預かったチワワが逃げてしまい探しているとバス停でその犬を抱いた行天と出会う。そして、無口でおとなしかった行天の変貌ぶりに驚くと行天は強引に多田の家に居候を始める。そこからの二人の便利屋稼業の生活が一年続いて行くのを描いていく。
二人ともバツイチでいわくがあるのだが、そんな生活の中で徐々に明らかになってくる。もちろん、偽悪ぶっているが本当は優しいみたいな話に決まっているのだが、それでもほろりとしてしまう。それに、2人の掛け合いがまた楽しく、ホンワカした三浦しをんワールドが展開される。
瑛太もいい味を出しているが、ぼくは行天役の松田龍平にしびれた。「探偵はBARにいる」でもその存在感に酔ったが、何というか無頼“感”がとてもいいのだ。
