もうだいぶ前になるが、米国の高官が「沖縄はゆすりの名人」という発言をしたという報道がなされ問題になったのを覚えていると人も多いと思います。その高官であったケビン・メア氏が書いた「決断できない日本」(文春新書)を読む。この発言で国務省日本部長を辞任させられてしまったが、そのいきさつやら、大震災の時のトモダチ作戦や、沖縄のこと、日米同盟の内幕などを半ば怒りを込めて綴っている。
問題発言についてはもちろん本人は否定している。きっかけは今年の、震災が起こるちょっと前の3月6日の「和の文化『ゆすりの手段』沖縄は『沖縄はごまかしの名人』」と題する共同通信の記事である。この記事は、メア氏が国務省内でおこなった米大学生への講義で発言したとされ、この講義を聞いた複数の学生のメモを基に作成した発言録から書かれたものだという。
そして、講義はオフレコで行ったものだという言い回しから、どこかの大臣が槍玉にあがった類の話かと思ってしまうが、本人の言では発言の内容そのものが間違っていると主張している。ゆすりという言葉も知らないということであり、どうも言いたかったのは補助金システムの弊害を言ったようなのだ。つまり共同通信の記者に嵌められたようだ。片方だけの言い分で判断するのはよくないが、本に書いてあることが8割方正しいとすればメア氏の方に分があるように思える。
いま、日本のマスコミの問題はサヨク的な気分で反米を唱える人たちがけっこういるということだ。別にそうした考え方を抱くのはかまわないと思うが、事実を自分たちの都合のよいように歪曲してしまったり、実行不可能な論理を振りかざし、何でもいちゃもんをつける態度が目に余ることがあるから、そこは現実的な頭でよく考えてもらいたいと思うのである。
彼はアメリカ人であるが長いこと日本に暮らしているし、奥さんは日本人である。従って、割と日本の風土や文化について理解しているので、アメリカ的な思想や論理を押しつけているわけではないので、本で主張していることはかなりの部分的を射ているように思える。その彼が強く言っているのは、日本の政治家が決断できないということである。みんなの顔色をうかがってコンセンサスをとってから決めるから、なかなか決まらない。
このことは、政権政党が変わろうと首相が変わろうと全く変わっていない。彼も言うように、「行き過ぎたコンセンサス社会は、危機の時代にその恐るべき弱点をさらけ出します。危機を解決できないばかりか、危機を増幅させ、国家存亡の瀬戸際に追い詰めることもあります」ということなのである。
またぞろアメリカ人が自分たちの都合のいいように、あるいはおまえらを守ってあげているんだという上から目線で言っていると思われるかもしれませんが、よく読むと日本人のリーダたちの弱さが浮かび出されていて暗澹としてくる。未曽有の大災害でも当時のリーダたちの危うかったふるまいを思い出すと、「決断できない日本」がホント心配である。
