ストライカーの作り方
副題が「アルゼンチンはなぜ得点を量産できるのか」であるように、アルゼンチンのストライカーはどのように発掘され、育てられるかを書いたものである。「ストライカーの作り方」(藤坂ガルシア千鶴著 講談社現代新書)の著者は89年からブエノスアイレスに暮らし、アルゼンチンサッカーの記事を書き続けている。
さすがに地元に根をおろして観察しているので面白い。いつも思うのはアルゼンチンの選手って身体がでかくてごついわけではなく、むしろ小柄な選手も多くいて日本人とさして変わらないのになぜあれだけのプレーを見せられるのかである。
その秘密について著者は育成システムにあると言っている。逸材をどうやって探しだすのか、その原石をどうやって磨くのかである。それを実践する元プロ選手の指導者たちがいることで育成されていくのである。まあ、歴史があるといえばそうかもしれないが、日本でも学ぶことが多くある。
具体的にどうなのかというと、ジュニア時代のスタートが「バビーフットボール」である。「ミニサイズのサッカー」という意味であるが、フットサルをさらに小さくしたようなサッカーである。ただ、ボディコンタクトが許されているから、もうこのころから激しい当たりを体験する。ここで徹底的に基礎を教えるのだ。
そこで見出された選手は10歳になると11人制のフルコートをやるのだが、いきなり切りかえるのではなく、3年間はバビーとの併用となる。この重複期間を設けるのは、大きなコートになるとボールにさわる機会がぐっと減るからだそうだ。
そして、特徴的なのは、身体の使い方をきわめるのと「コンペンテンシア」と呼ばれる競争心をあおるのである。この両方ともに日本の選手たちに不足していることのように思える。アルゼンチン選手は身体が小さくても、身体の使い方がずるがしこいと思えるほど非常にうまい。そして、ものすごく負けず嫌いである。だから、世界の舞台で活躍できるのである。
日本がアルゼンチンに学べる3つのポイントが書かれている。
気をつけなくてはいけないのが、日本の指導者はすぐに戦術を教えたがることで、アルゼンチンでは16歳までは戦術はおしえるなと戒めている。16歳まではテクニック練習を徹底させるのだそうだ。テクニックといってもボールリフティングではありませんよ。
しかしながら、日本の選手たちも少しではあるがアルゼンチンに近づいているように思う。昨年も親善試合だったが勝ったのだからさらに近づいてもらいたいものだ。








