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不思議前提とIT ― 「ニーズはなんだ?」と問うあやまち

よく顧客志向だとかお客さんのニーズをよく把握してといった言われ方がされるが、そうした生活者の声を聞き、それに応えていくという「ベネフィット発想」はうまくいかないのだという。つまり、改善してほしいという要望をすべて改善したからといって、商品が売れるようになるとは限らないのだ。

どうしてかというと、生活者が本当のニーズを自覚できていないからである。それと最近では、生活者の多くは必要以上に自分たちにすり寄ろうとしたり、おもねったりする企業を評価していないのである。

このあたりは、ITもぴったりあてはまる。開発プロジェクトでユーザ要求を一生懸命聞いて作ったはいいが、いざ使う段になるとそんなものは使いものにならないとなることはしばしば経験することである。

理由も同じように、ユーザの担当者が本当のニーズを把握していなかったり、そういう立場にいなかったりするからでもある。それと、これも同じようにユーザもだんだん賢くなってきたのと、情報がいっぱいあるので、何でもできます、やりますとか、こんないい機能があるので使ってみましょうとか、今度の新製品はおたくのニーズに合っていますとかいう甘言は見通せるようになってきた。

では、これからはどうしたらいいのかであるが、従来のようなニーズに応えることで支持を集めようとするアプローチではなく、生活者が企業やブランドの側にみずから歩み寄ってくるような関係を構築すべきだという。

そのためには「企業のビジョン」を示すことが不可欠であり、あるフレームのなかで競合企業を意識しつつ差別を図る「相対アプローチ」ではなく、その企業ならではの信念や理念にもとづいた「絶対アプローチ」が必要なのだという。

業務システムを生業にしているIT企業でこの「絶対アプローチ」を実践している会社は何社あるだろうか。同じようなパッケージをちょっとした機能の差で差別化していると主張したり、よそよりも早く開発できますよと喧伝するソフトハウス、最新の技術要素が入っていますよと叫ぶソフトウエアは「相対アプローチ」であり、もはや時代遅れなのかもしれない。

さらに、いま言っているのは「ビジョン型であるが、もうひとつ「スピリッツ共感型」とういうのもこれから注目されるという。典型的な例があの大型バイクのハーレーダビッドソンである。熱狂的な愛好者が支えるパターンである。これは、ITではコンシューマー向けの製品にはある。アップルが代表的なものであろう。しかし、MacBookやiPod、iPadを思うように、SAPに愛着を持つ人がいるだろうか。
  

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コメント (2)

はぶあきひろ:

多分、この話は「要件定義という工程をやっちゃいけない」ということにつながるんだと、実は思ったりしてます。暴論かもしれないけど、割と最近本気で思ってます。

mark-wada:

はぶさん、当たりです。
要件定義って、どうしてもシステムサイドからこうしてくれなきゃ困るみたいな方向だから、その時点でビジネス要求がどこかに跳んでしまうような気がしています。(これもまだニーズはなんだ?発想ですが)

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2011年10月27日 10:16に投稿されたエントリーのページです。

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