下の息子との定例会を今回は趣向を変えて映画を観ることにする。というのも、「僕は世界を変えることができない。」というタイトルの映画が、カンボジアに小学校を建てようと奔走する若者を描いたものであることがわかったからである。息子は今年の連休にひとりでカンボジアを旅してきたので、一緒に観ようと誘ってみたのである。
そうしたら、原作も読んでいて是非観たいという。ということで、新宿で待ち合わせて映画鑑賞となる。二人で映画を観るなんていつ以来だろうと言ったら、以前一緒に観たのはミッション・インポッシブルだったと覚えていた。この作品の製作年は1996年だから、そうか15年前で、息子は中学生だったのだ。
さて、「僕は世界を変えることができない。」だが、監督が深作欣二の子の深作健太で主演の医大生に向井理、その友人たちに松坂桃李、柄本佑、窪田正孝、村川絵梨といった面々。原作があって、だから実話に基づいていて、現地のガイドで出演している人は、実際にも原作者の葉田甲太がカンボジアに行ったときに世話になった俳優さんではない実物なのだそうだ。
ストーリーは単純だ。平凡な日々を送っている医大生がふと見つけたカンボジアに学校を作ろうというパンフレットを見て、実際に募金活動を始めてしまう。日常的なところから何とか逃げたいという気持ちがそのチャンスをつかんだのだろう。友だちを引き込み、サークルを作って、イベントを行い夢を叶える。
これだけの話なのだが、ストーリーというより、どこにでもいそうな、あるいは僕らもかつてはそうであったようなフツーの大学生がフツーに悩み、フツーに感動する姿を素直に見ることが大事なような気がする。なぜカンボジアなのか、なぜ学校なのかと問われても答えられない。
何も大上段にふりかぶったような大義名分だとか、崇高な思想などがあるわけでもないし、金集めもクラブで何度もイベントを打つくらいしかできない。いわば、誰でもやれそうだがなかなか前に踏み出せないことをやったというだけなのだが、でもそれでいいのだと思う。その小さな一歩に心打たれる。
この映画はもちろんカンボジアの現地ロケがふんだんに出てくるが、先ほどの本物のガイドさんの話は涙をさそう。ポルポトによる主に知識人に対する大粛清が自分の父親にも及んだことや、収容所の様子や実際に足枷につかった鎖とかを説明しながら涙を流すシーンには、これはドキュメンタリーかと思ってしまった。
観終わったあと息子と感想を言い合ったが、彼も直球勝負の純な映画ですごくよかったと言っていた。ただしということで、彼がカンボジアに行ったときのエピソードを話してくれたが、経済的に恵まれていないところで上から目線で“施しをする“感覚がどうしてもぬぐえないというか、金銭を要求されたとき(おねだり感覚でもある)どうしたらいいかとすごく悩んだと言っていた。映画でもそうしたセリフも聞こえた。悩ましいところである。
若い人には、映画をみてそうしたことを真剣に考えてもらいたいと思う。映画のあとは、銀座にでてニュートーキョーで遅めの食事をして、いつものように「M」でママと海外旅行話に花を咲かせていた。

