まずは、UEFAチャンピオンリーグの08~09シーズンの決勝の試合だけで本が一冊書けてしまうことに驚く。「バルサ対マンU」(杉山茂樹著 光文社新書)である。著者の前作「4-2-3-1」がおもしろかったので、ちょっと古いネタ(今年のシーズンはイタリアのインテルが優勝した)になってしまっていたが読む。
試合は、スペインリーがエスパニョーラのバルセロナ対イングランドプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドの一戦である。これは、サッカーファンなら誰しも胸を躍らせる夢の大一番である。
そして、何といっても両チームの看板選手リオネル・メッシ対クリティアーノ・ロナウドの対決でもあった。アルゼンチンとポルトガルが生んだスーパースターが直接対決するとあって非常に盛り上がった。
著者は戦術、特にフォーメーションについては、それだけでもまた本一冊書いてしまうこらいだから、こだわりの記述が入る。それは、メッシとロナウドはなぜセンターフォワード(CF)で起用されたのかである。奇しくも、必ずしもCFが定位置ではない二人がCFとして登場したのである。
そして、バルサのCFメッシが機能することでエトーの先制点が生まれる。通常、CFというのはトップに位置していつもセンターバックを背負う感じになるが、このときのメッシは下がり目でむしろミッドフィルダーに近いところにいた。そこで、周囲のシャビ、イニエスタ、ブスケスのひし形でパスを回したのである。
ですから、サイドのエトー・アンリの方が前に出たようになっている。そこで中盤でのパス回しから隙ができると一気に前線で勝負に出たのである。というのもあるが実は、メッシとロナウドのCF起用にはもう少しわけがあって、ディフェンス上のリスク回避でもあったのだ。
この天才二人は、ボールを持たせたらすごいプレーをするが、一旦守備に回るとからきし戦力にならない。今のサッカーはサイドから攻め上がるスタイルが威力を発揮しているので、両監督とも彼らの裏を突かれるのを嫌ったのである。後半フォーメーションが変わってロナウドがサイドに回った時のプジョルとの対決はその危惧が現実となってしまったのである。
こんなことを書きだしたら止まらなくなるのでこれ以上やめておくが、バルサのサッカーが好きな人は多い。何といっても美しいし、そしてプジョル以外は静かに淡々とプレーする。このスタイルはオランダ人のヨハン・クライフが作ったと言われている。だから、今回のワールドカップでもクライフはオランダのサッカーをけなし、スペインのサッカーを称賛したという。
ぼくも、ほんもののチャンピオンズリーグの決勝戦を生で観たいと思うが、それも著者がいうように競技場が俯瞰できる位置で観てみたい。日本では戦術をあまり意識していなように思うが、この本を読んでいると、欧州の戦術レベルの高さ、ひいては監督の力量でずいぶんとチームが変わるのだと痛感させられるのである。さて、ザッケローニの手腕はいかがなものだろうか。
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偏った内容です
バルサvsマンUからワールドカップを帰納
バルサファンとして痛快
世界最高峰の戦いから見えてくる戦術トレンド
自分の知らなかったことが書かれているので

