「Kailas」という業務アプリケーションフレームワークを作っていて、その中で協働的な働きの場を提案している。すなわち、日常の業務において、孤立した個人がばらばらで仕事をするのではなく、コラボレーションしながらやろうよということである。
そしてこうした場の提供がもたらすメリットに技術の伝承がある。技術の伝承というとちょっと大げさなので、知識・経験・ノウハウの伝授といった方がいかもしれない。ホワイトカラーではここのところが主だろう。
そんなことを考えていくと、重要なのはどうやって伝えるのかという問題になる。そこであの失敗学で有名な畑村洋太郎の「技術の伝え方」(講談社新書)を読む。畑村先生は失敗知識を生かそうという活動を長年やっていて、そうしたデータベースも多く集めていて、非常に参考になる。
いま、技術の伝承とか、どうやって伝えるのかというような言い方をしたが、この本ではそこを否定的にこう言っている。まず「伝承」というと、時間をかけて確立されたものが世代を超えて変わることなく引き継がれるというイメージがある。
これだと受け継いだものを変えてはいけないということになるが、そうだろうかということである。そうではなくもっと柔軟であり、受け継いで自分のものに変えて消化することもあるわけで、そうした意味では、「伝承」ではなく「伝達」であると主張しています。その通りだとぼくも思います。
また、どうやって伝えるかということですが、本書では“技術とうのは本来、「伝えるもの」ではなく「伝わるもの」なのです”と言っている。ここはすごく大事なところで、つい一生懸命伝えようとして教え込めばわかってもらえると思いがちです。しかし、そう簡単なものではないでしょう。そこをこのように記しています。
伝える側が、最も力を注ぐべきことは、伝える側の立場で考えた「伝える方法」を充実させることではありません。本当に大切なのは、伝えられる相手の立場で考えた「伝わる」状態をいかにつくるかなのです。
そして、難しいところとして、伝えるものというか、伝え方というか、どんなものを相手にぶつけるかがある。このとき伝達者が犯しやすい間違いに、わかりやすくするために客観的でなくてはいけないと思うことである。伝える時きちんと整理した方がいいと思いがちだが、むしろ主観的に語った方がいいのだという。たしかに、生きたノウハウというものは得てして主観的なものかもしれない。
このような、実践的で示唆に富んだ提言が随所にあってためになる、ぼくは、製造現場に長くいたので実感としてすごくわかるのだが、このことは決して現場だけではなくオフィスの中でもあてはまると思う。
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技術を伝えるには相手のテンプレートをまず理解することが大切
技術を途絶えさせないために必要なのは知識と・・・
文章まわりで生きている人にこそ、読んでほしい1冊。
相手のことを考える
伝わるとは、相手の側から見ること。

