いつもテレビの劣化を嘆いているが、唯一健闘しているチャンネルにテレビ東京がある。NHKも含めて、その他の民放がおしなべて、陳腐な、そして横並びの番組しか作っていない中にあって、異彩を放っているのは、最近では多くの人が認めているのではないかと密かに思っている。
例えば、得意の経済もさることながら、年寄向けの歌や旅番組とかお宝鑑定団みたいなもの、スポーツ、ハレンチ番組、意表を突く特集とか、枚挙のいとまもないといったら言い過ぎだろうか。
そんなテレビ東京の裏側をずっと見続けていた石光勝さんという方が書いた「テレビ番外地」(新潮新書)を読む。この石光さんは文化放送から東京12チャンネル(テレ東は最初はこういう名前だった)に入り常務常務取締役まで行ったひとで、数々のユニークな番組を手がけた。
東京12チャンネルは1964年に開局したが、当時は科学技術教育を柱としていた。だから、ぼくも覚えているが、また変なテレビ局ができたものだと思った。何しろ、通信工業高校講座とか数学、電気とかそんな番組があったのだ。
そんな番組ばかりでは続くわけがなくて、様々なジャンルへ進出していったのである。この局は後発であるが、その後発であるがゆえに多くのチャレンジができたと思う。そして、その当時初めてやった番組がいまの番組の原型になったものも少なくない。
例えば、「私の昭和史」「人に歴史あり」「なつかしの歌声」「題名のない音楽界」「ハレンチ学園」「クイズ地球まるかじり」「「モンティ・パイソン」「女子プロレス」「ローラーゲーム」「ダイヤモンド・サッカー」などなど。すごいですね。
でこの本を読んで真っ先に浮かんだのは「ベンチャー精神」ということである。このベンチャー精神というのは、全く新しいことをするということもあるかしれないが、現実的なところでは、既得権者のすき間をねらう、すなわち組織やあるいは慣例とか自主規制などの壁があるのでできないことを少々リスクがあってもやってしまおうという精神でもあるわけです。
そういう点で、テレビ東京は、そこをうまく取り入れたような気がする。だから、そのDNAが今でも残っていて、他局とは一線を画すユニークな番組を提供しているように思う。
しかし、それはけっして順風満帆であるはずがなく、様々なトラブルを抱えながら乗り越えていこうとする意気込みだったことがこの本から伝わってくる。これは、プロジェクトX的な感覚だから、今の若い人たちは眉をひそめるかもしれないが、多少なりともこうした高揚感を味わうことも必要ではないかと思うのだがいかがだろうか。
ちょっと脱線するかもしれないが、テレビ東京を信用するのは、あのワールドビジネスサテライトに登場する男も女のアナウンサーも決してかわい子ちゃんではないというところである。失礼。
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看板に偽りあり?
オビに偽りあり
新書なので写真はありませんが
テレビはどうあるべきか
小なりといえども、意気高し……

