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ディア・ドクター

「ゆれる」に続いての西川美和監督作品「ディア・ドクター」を観る。さすが西川監督というような作品ですばらしいできばえだと思う。いま「ゆれる」の時のこのブログでの評を読み返してみて、また同じことを書くことになるなあと思ってしまった。

物語は、老人ばかりの過疎の村の診療所に働く医師を中心にそこで一緒になる若い研修医、そして看護士、そして患者たちのふれあいと、その医師の隠された実態、突然の失踪といった展開である。

映画はそこを医師が失踪したところから始まる。そしてその医師がシセモノであったことから刑事が捜査に入り、聞き込みをするたびに過去が暴かれていくシーンをダブらせてその村で起こったことが映しだされる。

この手法は別段目新しい手法ではなく、「ゆれる」も似たようなところがあるが、人間の深層にある多面性やゆれを徐々にあぶりだすには効果的である。そして、騙す方、騙される方が微妙に変化していく様をみていると、観ている側も自分はどこにいるのだろうかと考えさせられてしまう。

こうしたシチュエーション設定やストーリー性は見事でやはり自身で原作・脚本を書いているというのが利いているように思える。西川監督はことしの上半期の直木賞候補にもなったようにしっかりと小説をかけるので、そういう力が映画に表れている。

出演者たちもみな生き生きとして好演している。医師役の鶴瓶、研修医の瑛太、看護士の余貴美子、そして香川照之、笹野高志等々、さらに良かったのは刑事役の松重豊と岩松了に二人で、だんだんニセ医者を分かってくるようになる心の動きみたいなものをうまく演じていた。

香川照之が聴取されているとき、なぜ医師免許もないのに成りすましていたのか、それは愛ですかという刑事に問われて、いきなり座っている椅子を後ろに倒したとき、大丈夫かと駆け寄ってきた松重豊にむかって、いま刑事さんは愛で私に声かけたのですか、そうじゃないでしょみたいなやり取りは秀逸であった。
 

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2009年07月30日 11:08に投稿されたエントリーのページです。

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