わが国ではまだ、「ものつくり」立国を主張する人がいるが、そのときの“もの”が従来のような“ハコ”、すなわちハードをさしている場合が多い。本当にそうなのだろうかという疑問を抱いていたので、その疑問に答えてくれそうだったのでこの「ものつくり敗戦」(木村英紀著 日経プレミアシリーズ)を読む。
わかりやすいように目次を示すことにする。
こうして書くとこの本の文脈がすぐに分かると思います。すなわち、大きな流れでいうと、ある時期強いと言われた日本のものつくりも第二、第三の科学革命を経て変化する波に乗り切れないでいる。
いまでも象徴的なのは、ハードウエアからソフトウエアの時代になってきているのにソフトウエアの技術をもっていないのである。このことは、ぼくが今いる世界であるITもまったく同じで、ソフトウエアの技術はほぼ欧米からのものに依存している。
ここで出てきた第二の科学革命というのは、その前に第一というのは、ガリレオ、ニュートンらによる近代科学の確立であるが、そのあとにおとずれた大量生産、大量消費生んだ科学と技術の結びつきである。
そして、第三の科学革命は、これまでの自然科学とはちがって人工物を対象とする科学の登場である。そして、第三の科学革命の申し子が「システム」なのである。
こうした変化に対して、日本のシステム技術あるいはシステム思考力は欠如していたために、太平洋戦争における敗戦もここに負うところも多かったのだ。
では、戦後にそうしたことが改められたのかというと、そのままずっと以前の労働集約型モノつくりに固執してきたのである。もうこうした労働集約型技術は成立しないのだ。機械からシステムへの移行が第三の科学革命なのに、機械を道具のように使うという逆の方向に目がいっているのである。
なぜそうなったかは、かなり難しい問題で著者も数学を教えなくなったこととか論理的な思考訓練がなされていないとか言っているが、それだけではないような気がする。
たしかに、著者が指摘するように日本は「理論」「システム」「ソフトウエア」が弱いが、そこをどう底上げしていくのかみんなでよく考えていく必要がある。
この本は、そうした問題の所在を明確にしてくれて、大切な問題提起をしてくれていると思う。良書である。皆さんもぜひ読んでください。
- 木村 英紀
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理論科学者がみた科学史と日本人論
やはり教育が重要である
コトつくりが出来なければ日本は没落するらしい
「ものつくり」信仰への一石
「理論」「システム」「ソフトウエア」が大切

