こう見えても僕は理系出身なので、つい合理的な思考というか、理屈はどうなっているのだろうかという頭で考える。以前にも「情緒から論理へ」と「浅い論理的思考」で書いたことの延長の話ですが、新聞やテレビの話題に理系の人がちゃんとチェックしているのかと思わざるをえないことに出会う。
ここに二つの例がある。ひとつは、いささか古くなったが経済産業省が発表した「対象のエアコンや冷蔵庫、テレビは10年前に比べ省エネが約40%進んでおり、二酸化炭素(CO2)の排出量を年約400万トン削減。」というニュースである。
これを読んで、なんとも単純な計算でびっくりした人もいたと思う。まず、みんな10年前の製品の買い替えなのか、容量は変わらないのか、新たな製品の製造や流通のときに出たCO2はカウントしているのか、といった疑問がすぐに出てくる。マクロで考えると売り上げが伸びて雇用を創出できたらいくら省電力の製品を作ってもCO2は増えます。
もうひとつは、電気自動車です。これも単純にガソリン車から電気自動車に変えるとCO2が減るというのもよく考えてみる必要があります。電気を作るのに火力発電だとたっぷりとCO2を出すわけで、電気自体で排出しなくても、発電所で排出しているのです。
乱暴なことを言うと価格に反映されていて、エネルギー単位あたりの価格が高ければそれだけCO2の排出量も多いのです。分かりやすいのは、電気ストーブと石油ストーブを比較することでしょう。灯油のほうがかなり安いですよね。ですから、同じエネルギーを出そうとすると電気ストーブの方がCO2をたくさん出しているのです。
ただこの場合の増分の電気を火力発電という前提を変えると、すなわち原子力発電や水力発電だと話が変わります。これらはわずかしかCO2を排出しませんから、この発電所からできた電気を使えばCO2は出ません。
ですから、正確に言えば、原子力発電でできた電気を使う電気自動車は温室効果ガスは出さないのです。それを、原子力発電所の新規建設なしで電気自動車を走らすと環境を悪くするのである。環境推進派の人たちは原子力発電を推進しなくてはいけないのだ。
目先のことだけではなく、全体のサイクルを見るとか、深く突き詰めて考えるとかの態度が必要な気がする。このあたりはまだまだ情緒的な言論がまかりとおっているようだ。
コメント (1)
つい先日某大手自動車会社の方の講演を聞いたのですが、まさに電気自動車と発電所の話をされていました。手元に資料が無いので正確なデータは書けないですが、具体的に国ごとの発電所データ(火力や原子力の割合など)と、それによって実際現行車と比べてどれ位の削減が見込まれるかなどについて講演されていました。その他、かなりの情報をもとにした講演で、なかなか聞き応えがありました。
浅く考えている人がいれば、深く考えている。いつの時代もそんなもんだと思いますよ。
投稿者: 通りすがり | 2009年06月25日 12:56
日時: 2009年06月25日 12:56