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越境の古代史

副題が倭と日本をめぐるアジアンネットワークである「越境の古代史」(田中史生著 ちくま新書)を読む。

紀元3世紀から10世紀ぐらいにわたって繰り広げられる日本-韓国-中国の東アジアの交流を追ったものである。今では、障害もなく行きかう地域ではあるが、そんな昔も驚くほど行き来があったことに驚かされる。

ということは、昔も今もあまり変わらないのではないかと思ってしまう。そりゃあ、現象的にはぜんぜん違って見えるのだが、根本のところは同じように思える。

その例として、国際的な交流というのは、民間のというか、商人のビジネスとして盛んになっていくのだが、そこには無秩序の関係があったわけではなく、実は権力の庇護がなければ成立しないという話しが出てくる。

実は、この東アジアのネットワークというのは、日本の九州から朝鮮半島の南、そして中国沿岸部で形成されているのだが、地図をながめると、奄美・沖縄列島が直接中国とつながるのがわかるが、そのルートで交流はその時代にはなかったのである。

それがなぜかというと、政治的な安定がなかったことに起因するという。渡来人が琉球列島にたどりついても安全を保証されるシステムがなかったからである。なるほどと思う。

その点、倭から日本、朝鮮半島で言えば、百済、新羅、高句麗、中国では唐といった政治的に集権化されたある種の安定性があるからこそ交流が起こったのである。そして、いうまでもなく軍事である。力関係を維持、拡大するための同盟による人的、物的交流である。

こういうことは現代でも同じで、結局、軍事的な地政学的背景のもとに中央集権的機関による外交と分権化された地方と現実に商業的かつ文化的な取引を行なう民間という相互依存の関係性が国際的なネットワークとなっていくという事実である。

それにしても、日韓中の古来からの関係を知ると、仏教、漢字に代表される東アジア文化圏をベースにグローバル化した現代でよりよい関係を築けないかと思う。

ところが、はたと気がつくのは、いまわれわれがこうしてふり返ると何百年の単位で見ているわけで、そういう見方だと何となく仲良くやっているように錯覚するが、実は微視的な期間で見ると争いが絶えなかったことも見えてくる。やはり、マクロ視点で長期的に見ていくことが必要なのだろう。

この本とは直接関係ないのだが、中国人と朝鮮人と日本人はどこがちがうのだろうかと思うことがある。そこでいつも考えるのは、それぞれのDNAに刷り込まれているものとして、人類がアフリカで誕生してから移動して、途中で定住しながら、そこを生活圏として、国家を作り、文化が生まれたわけだから、留まるものと先に進むものとの精神の違いみたいなことがあるのではないかということである。

すなわち、大陸の中国で根をおろしたやつと、さらに東に行こうとしたがその半島でもうここでいいやと思ったやつと、さらに東に行ったがついに太平洋に阻まれてそこにとどまったやつで、その人間のタイプが違ってやしないかということである。

ということは日本人は元来進取の精神に富んだチャレンジャーだったのではないかと類推するのである。

ところが、そんな人間ばかりなら、いまの体たらくはないわけで、きっと途中でとどまる勇気もなくて、何となく誰かにくっついていけばひょっとしたらいいことがあるかもしれないと思っていた付和雷同型のやつもいたはずだから、今はそうしたDNAが優勢になっているように思える。

話は脱線しましたが、この本はいろいろな土地や人の名前がいっぱい出てくるので分かりにくいのですが、古代の東アジアネットワークという姿を知ることは楽しいことだと思いますので読んでみてはいかがですか。
 

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2009年05月03日 11:39に投稿されたエントリーのページです。

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