ついちょっと前に日比谷のシャンテで映画を観たあと定番の銀座の「M」に行く。そこで女性バーテンダーのかおりちゃんとITについて軽く議論をする。
話題は、近くの医者に行ったときの話である。診断してもらうのはいいのだが、最近どうもパソコンが導入されたようで、そのパソコンから患者のデータを参照して、その診断結果や処方を入力するようになったそうだ。
ところが、入って間もないこともあり、先生が習熟していないのだ。だから、画面にエラーがバンバン出ているのが見えて、その対応に追われて患者のことなど忘れてしまっているのだという。そんなのあとからやればいいからとりあえず紙にでも書いておいてくれないかなあと思ったそうだ。
そういえば、ぼくも同じような経験があって、偉い年寄りの先生がやはり入力のし方がわからなくて、横の若い女医さんが見るに見かねて私が入れましょうかと言っているにもかかわらず、いいからとか言って悪戦苦闘していたのを思い出した。
結局どちらもパソコンにお医者さんが使われているように見えるのである。まあ、導入してすぐだという事情があるにせよ、何かおかしいという思いがした。
ぼくが前から言っているように。今のITは人間を従にしておのれが主であるように振舞っている。そういう作りを平気でやってきている。パソコンがえらそうに「私に向かって間違えのないようにデータを打ちなさい。それでなければ何も進みませんよ」と言っている。
あのお偉いお医者さんに向かっても同じなのである。それを、これからは主従の関係を逆転させようと言っているのである。
そんなことを思っていたら実に同じようなことを言っている人にめぐり合った。ときどき読んでいるITアーキテクトの鈴木雄介さんの「arclamp.jp アークランプ」というブログの記事に「ITをサービスにする方法(ホテルオークラの場合)」というタイトルの記事がでていて、ホテルオークラの接客とITについてこんなことを書いています。
普通のホテルならロビーのインフォメーションパネルに情報を流しますと。そして、自由に宿泊客がみれるようにする。 でも、オークラは宿泊客から情報を隠してしまう。そして、しかるべき時に取り出せるようにする。つまり、宿泊客にサービスする瞬間に、従業員が入手できるようにしておく。 「○○さま、飛行機の到着が1時間遅れているようです。よろしければ、ラウンジにてゆっくりされていってはいかがでしょうか?」ホテルオークラはITに何を望んでいるのでしょうか?それは「従業員に代わって発着状況を知らせるIT」ではないのです。
これって、主は従業員であり、従がITですよね。ぼくはこういうことを口をすっぱくして言っているのです。そして最後こう結んでいますが、全くそのとおりだと思います。
これからのITに求められることはヒトの作業を代替することではないのです。大事なのは「ヒトが判断し、行動し、価値を産み出す」、そのことそのものを支援すること。そして、結果としてITは透明になっていきます。