さて、この年の初頭に分社化をする。全員出向というかたちで新会社に移籍した。
企業理念や経営方針といったものは重要ではあるが、情報子会社だから自ずからだいたい決まってくるので、むしろどういう形態の会社にしていくかが難しい。提供サービスを何にするのか、誰を顧客とするのか、人材育成をどうやるのかといったことをきちんと決めなくてはいけない。そして、前回にも言ったが“自立するとは、あるいは自立できるのか”を追求していく必要がある。
当たり前ですが、まずは親会社にとってメリットがある子会社になるのが最優先である。それはコスト削減に他ならないのである。
実は、1980年代に分社化ブームみたいなことがあって、その時はどちらかというと多角化という考え方だったように思う。ですから、コスト削減というより、新規事業創出といった文脈で語られていたと思う。しかしながら、そうした情報子会社で企図したように育った会社は少なかった。従って、2000年における分社化の目的はコストダウンにならざるを得ない。
それとも関連するが、単体経営から連結重視へと変わるときでもあったことが影響している。グループ経営という考え方が前面にでてきたのである。
当時はまだグループ会社はIT部門があるところはほとんどなく、しかもIT化も遅れていた。連結経営では、こうしたグループ会社の収益が相対的に重要さを増すわけで、それにはITによる経営効率の向上が望まれることになったのである。
そこで出てきた当面の施策はこうしたグループ会社への貢献を目的としたもので、親会社の情報子会社がグループ会社のIT化を促進させることになる。
ですから、ターゲットはグループ会社です。そして、そこに対してどういったサービスをどのように提供したらよいかになるわけです。その時、打ち出したのが、「Total Solution Provider」、「Application Service Provider」、「Outsaucer」という概念です。
要するに、IT部門を持たないところにはなんでもトータルで面倒みてあげることが必要である。
さらに、自分たちのところにシステムを置いて運用管理はできないから、業務アプリケーションをネット経由で利用させることにした。当時は、まだASPという言葉もあまり聞かれないし、実際にやっているところはほとんどなかった。あるベンダーにこの計画を話したときにそこの社長が「ああ、本当にやろうとしている会社があるんだ。まだ言葉だけかと思っていた」といわれたことを覚えている。
今では、SaaSというかたちで定着しているが、当時は手探りで始めたのである。ネットワークの敷設から、PC配布、Web化などなど大変苦労した。
さらに、アウトソーシングという考え方である。これには、二つの方向があって、受けるほうと出すほうである。どういうことかと言うと、グループ会社に対しては、アウトソーサーとして振舞うが、自分たちの業務で外に出せるものはアウトソーシングするという形である。
実際にもグループ会社には、システム運用から業務アプリケーション、OAに至るまでのフルアウトソーシングを指向し、出すほうとしては、メインフレームの運用を大手ベンダーのアウトソーシングサービスに出したのである。
このアウトソーシングは、単なるコストダウン(大幅なコストダウンを達成した)だけではなく、分社化後の重点はメインフレームの運用といったような守りの業務から、グループ会社の開発も含めた業務系へと移す必要があったため、リソースの再配分をおこなったのである。
こうして、コストダウンを図りながら、一方でその原資の一部を使い、グループ会社向けの業務アプリケーションパッケージを導入していったのである。このあたりの話は次回にする。
