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整理をしないという整理のしかた

有名なアマゾンの倉庫には、800万種類の本が保管されていて、注文が来るとその中から目的の本をアルバイトの子が即座に抜き出し配送していく。

そんなことができるためには、さぞきれいに整理されて棚に収まっていると誰でも思うでしょう。ところが、全く逆で整理しないでランダムに並べてあるだけなのです。これはあえてそうしているのです。要するに、最初に整理する手間(=コスト)とピッキングの手間(=コスト)のトレードオフなのである。アマゾンでは、はじめにきちんと整理して保管するコストの方が高くつくというのである。

実際にどうやっているのかというと、入荷した本は、ジャンルとか作者だとか無関係にならべていく。ただし、そのときバーコードで本の識別と棚番をマッチングさせるのである。そこで記憶したデータに基づき鉄砲のようなリーダが所定の本のありかをナビゲートしてくれるというものである。

なるほど、この逆転の発想はすごい。つい常識にとらわれて、モノは整理しておいておくものだ、そのほうが見つけるのも早く効率的だ、こんなことは当たり前だと思われている。そのためのハウツー本も売られている。ところが、逆のことをやるほうが簡単だし、効率的で低コスト化を実現する。

なんでもっと前からやればいいじゃんと言われるかも知れないが、そうは簡単なものではない。こういうことができる背景は、一番には高い機能を備えたデバイスのおかげだと思う。アマゾンでもバーコードリーダとピッキングするためのインテリジェントガンができたからこそ、こうした逆転発想の仕掛けができたのだ。

ここで、三つのことに思い至る。ひとつは、デバイスによってシステムが変わることがあるということだ。もう少し敷衍すると、新しい技術が業務システムもプロセスも変えうるということだ。ですから、技術はどんどん新しくなっているのに、エンタープライズ系の仕組みに技術オリエンテッドな考え方、なぜ出てこないのだろうかと思う。

もうひとつは、整理しないという発想である。システムを作るときって、データの正規化とか情報ディレクトリーなどきちんと整理しておこうという態度が普通である。しかし、ここもアマゾン倉庫的な発想ができないだろうか。もちろん大福帳型のデータ整理はあるのだが、抜き出すためにデータマートで整理している。

そういう意味ではGoogleの世界である。エンタープライズにも検索という概念がもっと入り込んできてもいいような気がする。本も情報だと考えると、アマゾン倉庫発想のビジネスインテリジェンス(BI)もありかなと考えている。
 
最後は、やはりシステムの限界ということでこのアマゾンの倉庫のような世界だと何でもITで自動化した方がいいように感じると思うが、ITは結局柔軟性に欠けるのであって、現実の世界はより”しなやかさ”が必要になるのだろう。この”しなやかさ”を発揮するのは人間が介在することで実現する。そうです、人間がITを使いこなしてこそ、トータルとして”しなやか”なシステムになるのです。
 

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コメント (2)

lupin14:

はじめまして、いつも楽しく拝見しています。
以前、何かの媒体で読んだこと(見たのかも?ちょっとその辺はあやふやで申し訳ございませんが)があるのですが、Amazonのこのやり方は誤出荷を防ぐためにしているとのことでした。いくらIT化を進めても最終的には人間が処理するので、細心の注意をしていても作者順などで整理されていてお客が注文した作者の違う題名の本や違う巻を送付してしまうかもしれないというリスク回避マネジメントの一環だと記憶しております。
そういった意味で最後の一文の”人間がITを使いこなしてこそ、トータルとして”しなやか”なシステム”が重要なのだと感じました。
これからもためになる記事を楽しみにしております。

mark-wada:

コメントありがとうございます。
確かに、リスクマネジメントなのでしょうね。別の見方をすると「見える化」とうことでもあるよう気がします。このアマゾンの事例は結構多くの示唆的な要素を含んでいます。このあたりについてはまたエントリーを書こうと思います。

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2008年07月10日 09:57に投稿されたエントリーのページです。

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