トップダウンアプローチとの合流
いま提示している方法論は基本的にはボトムアップアプローチになります。すなわち、AsIsのプロセスを抽出して、書類化という整理のしかたでプロセスを作って、それを動かすという方法論です。
こうしたボトムアップだけではその業務プロセスはまだ不完全です。トップダウンのアプローチを併用してこそいい業務プロセスになります。差別化を図ったり、競争優位を発揮するためには、こうしたハイブリッド型のアプローチを推奨しています。
トップダウンというのは、経営戦略あるいは事業方針のようなものから落とし込むやり方で、コンサルティングファームの得意のところで、シックスシグマだとかバランス・スコアカードなどの手法が有名であるが、それでなくとも、自社のSWOT分析を行い、CSFを導いてとかいったやり方でも出すことができます。
また、標準的なやり方でモデル化することも行なわれています。そうした中に「SCOR」(スコア)というのがあります。これはSCC(サプライチェーンカウンシル)という団体が作った、サプライチェーン記述の世界のデファクトスタンダードであり、MECE(もれず、ダブラず、網羅した)なプロセスモデルです。
このモデルは、階層化されたレベルがあり、標準ではレベル1(プロセスタイプ)、レベル2(プロセスカテゴリー)、レベル3プロセス(プロセスエレメント)までが提示されています。レベル4(アクティビティ)からは各社で落とし込むことになっています。
そして、実際にこのレベル4への落とし込みを行い物理モデル設計のためのテンプレートを作った人がいます。株式会社マネジメント&ERPインテグレーション社の渡辺和宣さんという方で400以上ものテンプレートをもっています。
先日来、この渡辺さんと何度か情報交換する機会があって、そのときにSCORのレベル3からレベル4への分解・拡張のやり方や実際のテンプレートを見せていただきました。これはかなりの労作です。そして、そのとき生じた問題点をおっしゃっていて、それは“非定型業務のIT化”だというのです。
渡辺さんの手法は、意思決定の連なりでプロセスが成り立つという考え方で、従って、ひとつひとつのアクティビティにどういう情報をきっかけとしてアクションがおき、どんな情報を参照して、結果的にどんなアウトプットを出すのかというようなことが書かれています。
この考え方というのは、書類コンポーネントと一緒の考え方になります。ですから、相性がぴったり合っていたのです。ところが、渡辺さんは、その中で、ある情報が状態遷移していく様をどうやってIT化するのかを悩んでいました。いわゆる人間系の不定形処理のところです。
さておわかりのようにここでトップダウンアプローチとボトムアップアプローチの邂逅となったのです。こうしたあいまいでゆるい非定型業務処理は情報共有の場で行なうのが適していることにひざをたたいた瞬間でもあったのです。
すなわち、上から降りてきたプロセスをここで書いている作法に則って設計していけば、レベル4から実装レベルへと落としていけることがわかったのです。渡辺さんのレベル4の粒度はかなり書類コンポーネントに近似していますので、必ずしも、書類化する必要もなく、そのアクティビティ名でコンポーネント化してもかまいません。
ということで、割りと簡単につながりますので、このハイブリッド型アプローチで少しサンプルモデルを作ろうと考えています。トップダウンアプローチのよさは、具体性は弱いが網羅性があるということとリファレンスモデルになること、またベストプラクティスの参照ということにあると思いますので、そうした要求に対しては有効な方法であると思っています。