ちょっと前に紹介した「不機嫌な職場」(講談社現代新書)という本では、いま職場がおかしくなっていて、要するに、関わらない、協力しないという関係になっていると書いてある。閉じた働き方、閉じた関係になり、タコツボ化がおきているという。
こうしたことは企業活動自体にも大きな影響を及ぼしていて、一つは生産性の低下である。協力しあえばスピーディに判断・行動できるのに、お互い押し付けあったり、知らんぷりして時間がかかってしまう。
もうひとつは品質の低下である。協力しあえないことで互いのミスが見落とされたり、問題を指摘しあわないといったことがおき、組織の自浄作用も失っていくという。
こうした状況を変えるためには、お互いがいつも知恵を出しあい、協力しあえる環境作りが大事である。
それと、これまでの日本の企業の特徴であったいい意味での「あいまいさ」が消えていっているような気がする。
これは、あうんの呼吸とか行間を読むとか察しろとかいうことでもあるが、良し悪しはもちろんあるのだが、あまりにも型にはまったことしかやらせない、あるいは決まったことしかやらないといった状況になってやしないだろうか。
一人一人の工夫や知恵で生産性や品質を上げてきたのがかつての日本の製造業だったはずだ。こうした個人やグループの裁量を信じるような環境も必要になるだろう。
ですから、これからは日本の職場に合わないような米国型成果主義をすて(まったく捨てろというわけではない。成果を正当に評価するこことは大事なことではある。)、みんなが協力し合って、それぞれが能力を発揮し、組織としても最大の力が出せる仕掛けが要るようになっている。
さて、こうした要請に対してITはどう対応しているのだろうか。ここのところがものすごく重要なところで、これまでのIT(ここでは業務システムのことをさす)は何も提供できていないと思う。むしろ、タコツボ化のシステムを作ってきたのではないだろうか。職場のみんなが協力し合い、個人の知恵を出し、質の高い仕事ができるような仕組みであっただろうか。
グループウエアやナレッジマネジメントの仕組みを作っているじゃないかと言う人がいると思うが、ここで言っているのは業務システムのことである。受注業務を営業の人、受注センターの人、製造の人、デリバリーの人などが、協力しあいながら、オーダーを受領するといったことである。
おそらくこうしたコラボレーション的な仕組みにはなっていないものがほとんどでしょう。基本的に、業務システムはシステムに担当がデータを登録して上長が承認して、その結果をまた違う部署の人がシステムを起動して見てから業務を行なうというスタイルではないだろうか。
これは、ITを意識しないで仕事を考えた場合、システムはその仕事の流れ、あるいは流し方と同じようになっているでしょうか。ひょっとしたら、ITがあるがために本来流れるべきフローとは違った動きをさせられているということもありえるのだ。
ここを変えていかなくてはいけない。どうするかというと、あいまいな処理を情報共有の場で実現するミクロワークフローと会社として決まったルールに則って回すマクロワークフローの組合わせの仕組みで、働いている人たちがしたい仕事の流れそのものを表現するものにするのです。
