SaaS(Software as a Service)という言葉が踊っている。これからのキラーシステムのような言われ方もし、官民こぞって注目である。ところが、みなさんわかっているのだろうか。この場合のソフトウエアって何のこと、サービスって何のこと、誰が誰に対してするの、その提供の方法は、とかとかちゃんと定義されていないまま話が進んでいるように思える。いつものことだが。
こうした議論のとき感じる違和感はいつもシステム発想が強いことである。だからすぐに、以前のASPとの違いはとか、セキュリティがどうだとかになる。大事なのは、ここでもビジネス視点、ユーザ目線で、そういう観点でみていくと違ったものになる。
まず、ビジネスを行う上でSaaSで供給を受けたいものって何があるのか。業務機能から業務サービス、はたまた業務プロセスまでのどれをなぜ外部から提供してもらうのかと考えることになるはずだ。簡単に言えば、QCDFが担保できるかどうかになる。
ここでSaaSだと全部がいいことずくめに言われるが、大事なのはQとFの問題のような気がする。CDはある程度定量的な評価ができるが、QとFは定量化できないので判断がむずかしい。そうなると、いい品質のものが手に入るのか、柔軟な対応が可能なのかということが重要である。
これは両者は関係していて、いい品質のものが手に入るが、それは“標準化された良さ”であるということなので、そこは自社の要求に対して必ずしも対応してくれるわけではないという非柔軟性を許容することがある。
ある意味、SaaSはオープンソース精神でできているわけで、なぜかというと、多数に支持される“いいもの”だけが生き残るのからである。こうして民主化されたソフトウエアやサービスは時として自社固有性と軋轢を生む。
そこをどう考えるかになるが、結局主にここの優位性の評価で採用するソフトウエアあるいはサービスを規定することになるだろう。
そこで向いているものを探してみるとひとつには、ぼくはプロフェッショナルサービスではないかと考えている。例えば、法務、特許、税務、与信といったようなものである。こういうものは、標準化されたものこそ価値があるわけで向いているのではないでしょうか。
一方、固有性の問題があるようなら、限られた世界で使ったらどうだろうか。SaaSの良さを限定的な範囲で生かすのである。ぼくはまずは社内向けに、続いてグループ会社向けに
という風に自分の家から親戚にさらに知り合いへというような段階的な展開をしたらいいと思う。
そして、それは別の効果が生むことができる。以前指摘した「シャドーIT」の問題への答である。たとえば「社内SaaS」であれば、職場単位で自然発生的なシステム化を許すのではなく、ソフトウエア、サービスを中央で管理して、そこから提供するのである。その管理されたソフトイウエア、サービスをいつ、どこで使うかは部門に任すのである。
なお、ぼくが提案している「BPWeb2.0」を使えば、ソフトウエア、サービスだけではなく開発プラットフォームも提供できる。すなわち、ユーザはブラウザだけで自分たちの業務プロセスを構築、稼動ができるが、そのリソースはすべてIT部門の管轄下に置かれるイメージとなる。
どうも、SalesForce.comがSaaSの典型例としてもてはやされているが、ぼくは個人的にはあまり評価していない。営業のところってけっこう会社の肝のところのような気がするから、そんな風に思っているのである。繰り返すが、SaaSはプロフェッショナルサービスから、そして社内から始めたらいいのではないでしょうか。