いま若者に支持されている伊坂幸太郎の本を読みたいと思って下の息子の本棚から「アヒルと鴨のコインロッカー」(創元推理文庫)を手にする。
近頃、新書ばかり読んでいたので小説は久しぶりだったので最初は読み進みが悪かったが楽しめた。“いい感じ”の小説に仕上がっている。シチュエーション設定や道具立てもよくて、バイオレンス、セックスが嫌味なく描かれていると思う。
ここのところ伊坂幸太郎の小説の映画化がされていて、この作品も昨年公開されている。確かに、映画的な意識を感じる。映画のシーンをみているように読んでいるのがわかる。
物語は、過去と現在を並行して語らせ、最後に繋がっていくという手法でそこはサスペンス風でいったい結末はどうなるのかと気を揉ませてくれる。過去の登場人物が男二人に女一人で何となく三角関係のような、これも映画でよく出てくるパターンである。そこに外国人を絡ませたことが特徴的なのであるが、それが欧米人ではなくブータン人であるところが面白い。若者の不安定さや偽悪的行動など、このあたりは昔もいまも変わらない普遍性がある。だから若者に支持されるのだろ。
小説や映画は非日常性を誇張するわけだが、巷の普通の人の青春でもいくらかの非日常性に戸惑いながら、悩みながら過ごしていく。
そんなことを考えていたら、自分の学生時代のことがふと蘇ってきた。ベトナム人学生のことである。そいつはグエン・バン・タンという名前で同じ化学科の同級生であった。サイゴンの写真館の息子でベトナム戦争の最中にやってきた。日本に来たのはいいがベトナムには帰れなくなって、卒業してどうしているのかわからなくなった。どうも今はカナダに住んでいるという噂を聞いた。会ってみたいと思う。
彼の4畳半の汚いアパートでみかん箱を机に一緒に勉強したことを今も鮮明に覚えている。そう、そんなときにボブ・ディランの「風に吹かれて」を聴いた。だから、この本にも「風に吹かれて」が重要なキーとして登場してくるので余計に自分の時代との対比をしてしまったのである。
映画的な小説だけど実際に映画にするには難しそうだな。そうどんな風に映像化したのか映画も観てみたくなった。
- 伊坂 幸太郎
- 文庫 / 東京創元社
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若い感性にこそ訴えかけるもの
軽妙な仕上げ
真相は好きですが、登場人物に魅力を感じませんでした
伊坂作品としは上出来
ストーリーのうまさと青春小説の軽さ
