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「読み」の整理学

以前にも紹介した「思考の整理学」というベストセラーを書いた外山滋比古の「「読み」の整理学」(ちくま文庫)を読む。実は、うちの社長(息子)が持っていいたので、「思考の整理学」と交換したのである。社長は基本的には自分の本をひとに貸さない主義なのだが、ぼくが読んだ本をこれおもしろいよと渡すと自分の持っている本を貸してくれるのである。

この本は元々は「読書の方法」という本に基づいている。だから、本やそれ以外のものも含めて“読む”ということの意味についてまとめたものである。外山滋比古の本は、「思考の整理学」もそうだが、非常に読みやすくわかりやすい。むずかしいことを平易な文章で丁寧に書いてくれるからである。こういうのを教養というのである。

ところが、本の中では、いまの世の中は何でもわかりやすくしないといけないという“平明至上主義”があり、それを批判している。確かに、昔のように何度読んでもさっぱり理解できない難解な文章が影をひそめ、わかりやすいものになる傾向がある。

ただ、難しいという場合、多くは単に難しい言葉を使うとか独特の言い回しのセンテンスを指したりする。本来は、その内容、その主張することの難易を問うのであるが、そこへの言及は少ないような気がする。だから、外山滋比古のように、言っていることはすごく難しいことなんだが、文章はわかりやすいというのが本当に教養にある人がなせる業だということを言いたかったのだ。

さて、この本の主題は、“既知を読むアルファー読み”から“未知を読むベータ読み”へ変えていくことを説いている。

そもそも、学校の国語教育でおこなわれていることが、ベータ読みへの転換ができていないと嘆いている。わからないことをどうやって分かっていこうかということは非常に大事で、そこをあきらめてしまうと新たな発見もなければ、成長もない。

こうしたベータ読みへの移行には、素読とか音読の効用を言っている。今はどうか知らないが、ぼくらの子供の頃はけっこうこの素読、音読というのがあって、漢文や古文という教科で意味もわからず暗記したものだ。それがよかったかどうかはわからないが、難しい文章を我慢して読むという態度は少しは身についたのではないかと思う。

そうなんですね、古典の暗誦というのは必要なんですね。どうして古典なのかというと著者曰く「昔のことは古い。だからと言って古くさいとは限らない。新しいことはおもしろそうだが、時の試練をくぐり抜けていない。新しいものごとは古くなるが、古いものはもう古くならない」からなのである。ところがどうしたものか今この古典がどこかへいってしまっている。

最後に、ベータ読みについての落とし穴が書いてあるが、ここがぼくにはポイントのような気がするので紹介する。ベータ読みというのは、洞察による読み方が必要となる。“行間を読む”というやつである。これには個性的と古典的という二つの方向がある。

たとえば、わからない文章に出会うと、行間を読んでいるうちに、おのずと筆者の考えから、筆者の人となり、思想といった伝記的な面に向かう。これが個性的な読みである。文学作品の感動はこれだ。

一方、古典的な読みは、哲学的であり、普遍的なコンテクストに関連付けて理解しようとする。筆者の個人的事情は関係ないのだ。文科的ではなく理科的な態度といってもいい。

こうした、古典的な読みが大事で、どうしても文学青年のような読み方になる落とし穴に気をつけなくてはいけないのだ。

まだまだ、いろいろためになることがいっぱい書いてあるが、このへんにして、これからの本の読み方に参考にしたいと思う。
 

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2008年04月05日 11:24に投稿されたエントリーのページです。

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