三重映画フェスティバルのQさんから今年もまた東スポ映画大賞の授賞式の招待状が届いた。受賞式は3月2日なので楽しみにしている。その招待状が入った封書にコメントが添えられていて、そこで、ある映画をぜひ観るようにと書いてあった。そのある映画というのが、いまおかしんじ監督の「たそがれ」である。いま東京で上映しているから観ろというわけである。
この映画は、Qさんの知合いの映画仲間の友だちの友だちでシナリオを書いているひとがいて、高校教師を定年退職した後、一念発起し三重県の津から東京に居を移してシナリオ学校で 勉強をしたという。でこのひとが書いた「耳元でそっと囁いて」というシナリオがコンクールに入賞したのだ。そして最近いまおかしんじ監督がそのシナリオを映画化したということだそうだ。そのシナリオライターの名は谷口晃という66歳のおじいさんである。
確かに東京で上映されていた。ところが場所が東中野の「ポレポレ東中野」というところでしかもレイトショーなのだ。始まりが夜の9時という。終わったら夜中の11時近くになる。おお悪条件だ。だがせっかく遠く三重県からのリコメンドなので、もちろん観てみたいこともありでかけることにする。
昨日はいつもの築地での仕事をし、終わってから近くの「さらしなの里」で酒とそばで時間をつぶす。ついでに来週の呑み歩き隊の例会の予約も済ませる。すっかりいい気持ちになって東中野に到着。ポレポレ東中野は駅からすぐのところにある普通のビルの地下にあった。観客は10人程度で若い人のほうが多い。
「たそがれ」という映画は、もともとのタイトルが「耳元でそっと囁いて」であったが、それがピンク映画の雄、いまおかしんじが映画化すると「いくつになってもやりたい男と女」というそのものずばりの題名になり、一般館の上映になって「たそがれ」となった。
このことからも分かるように高齢者の性を扱っていて、しかしそれがいやらしくなく明るく描かれている傑作である。65歳になる主人公が中学の同窓会で50年ぶりに再会した初恋の相手と再燃するというわけである。そして、二人はラブホテルで抱き合うのだが、65歳のセックスシーンって想像できますか?そりゃ、若い娘には体では負けますが、なかなかよかったですよ。
脚本を書いた谷口晃が66歳だからまさに実感として持っている気持ちや願望を無理なく表現していて、ぼくもその年齢に近いせいもあって考えさせられる映画であった。「わたし、今晩のことで残りの一生生きていける。」という言葉が重い。
ただ、初恋の相手ってそのときの相手が好きであったわけで、それから50年経った今のひとを同じように好きになれるかというと違うような気もするし、どうなのだろうか。僕はそういう目にあったことがまだないのでそのときにどういう振る舞いになるかわからない。この映画を観てから、同窓会が楽しみでもあり怖い気持ちもあるという不思議な気分なのである。