これはまぎれもない良書です。1983年に書かれたものを1986年に文庫として発売されているので四半世紀近く売れている。外山滋比古著「思考の整理学」(ちくま文庫)は誰でもが手にしてほしい本だ。それほど厚くないので520円という値段からするとすごいコストパフォーマンスだ。読んだあともずっと手元においておきたくなる。
題名のとおり、考えることについてのエッセイでどうしたらいい考えが浮かんで着て、それを整理して、自分の思想として、どう活かしていくかということを、非常にわかりやすい文章、文体で表わしているので、いちいちうなづきながら読んだ。
なぜロングセラーであり続けるかは、読んだらすぐわかるが、時代を感じさせない、つまり非常に普遍性のあることを言っているからなのだ。ぜんぜん古めかしいところがなく、現代でも通用する考え方なのである。そのあたりのキーワードをいくつか抜き出して紹介しよう。キーワードだけでも何か伝わってくるのではないでしょうか。
大変参考となる文章がいっぱいですが、最終章にコンピュータについての記述があるので引用してみる。
これまでの学校教育は、記憶と再生を中心とした知的訓練を行なってきた。コンピュータがなかったからこそ、コンピュータ的人間が社会で有用であった。記憶と再生がほとんど教育のすべてであるかのようになっているのを、おかしいと言う人はまれであった。コンピュータの普及が始まっている現在においては、この教育観は根本から検討されなくてはならないはずである。学校だけの問題ではない。ひとりひとりの頭のはたらきをどう考えるのか。思考とは何か。“機械的”“人間的”概念の再規定など、重要な課題がいくらでもある。この本が、知ること、よりも、考えることに、重点をおいてきているのも、知る活動の中には“機械的”側面が大きく、それだけ、“人間的”性格に問題をはらんでいるとする考え方に立っているからである。さて、25年経ってこの問題提起にきちんと答えられているのだろうか。
- 外山 滋比古
- 文庫 / 筑摩書房 (1986/04)
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実用的、思考のコツ
間違いなく「出会って良かった」と思える一冊
タイトルどおりの内容、しかも普遍的。
