もう何回か桂枝雀という落語家をもちあげているが、その枝雀が書いた「らくごDE枝雀」(ちくま文庫)を読む。この本は、以前森永卓郎が採り上げてくれて、それで読もうと思って捜してもなかなか本屋に置いてなかったが、オアゾの丸善でやっと買った。
この本は、落語も5つほど載せてあるが、途中に落語作家の小佐田定雄との対談が挿入されている。この対談がおもしろい。何がおもしろいかというと、落語というものの笑いがどうなっているのかということについて、理論的に解き明かしてくれているところである。何しろ、枝雀は神戸大学を卒業しているくらいだから、勉強家である理論家でもあるのだ。
なかでも、もっとも興味をそそるのは、サゲの4つの分類で、落語のサゲには「ドンデン」「謎解き」「へん」「合わせ」の4つに分けることができるというのだ。
「ドンデン」と言うのは、ドンデン返しのドンデンで、“「こっちかいな」と思てたら「あっちやった」というやつですわ”である。「謎解き」というのは、“きき手が不思議な状況を提示されて「なんでそんなけったいなことがおこるんやろ?」と疑問を持ったその瞬間の解答が即サゲになるわけです”となる。3つ目の「へん」は、“ほんまにあるような噺をしてて、最後に変なことがおこって常識の枠を踏み越えた時噺全体がウゾになって終わるというやつです”。最後は、「合わせ」ですが。これは“セリフでも趣向でもなんでもええんですけど人為的に合わせることでサゲになるというわけだ”そうだ。
なるほどと思う。こんなふうに落語を分解して分類して見せてくれたのは枝雀が初めてなのじゃないだろうか。この分類に従ってみていくと実にうまく整理できている。
それとか、笑いは「緊張の緩和」から生まれるとか、おもしろいはなしが満載である。もう枝雀はいないので高座で見ることはできないが、この本を読んであらためて枝雀のすごさを実感した。本当に惜しい人を亡くしたものだ。