中国には、歴史的な観光地がたくさんある。さすが4千年の歴史の国だ。だから、中国にいたとき、ずいぶんといろんなところに行ったし、連れていってもらった。
前にもいったとおり、普段は工場のすぐ近くの宿舎から出られなかったが、2週間に一度の日曜日に北京までマイクロバスを出してくれる。基本的に北京市内は自由に動けるので、自分たちでタクシーと徒歩で回る。その他には、特別に史跡見学会みたいなのを何回かやってくれる。それと、プロジェクトが終わって、ごほうびとして上海旅行を行なって帰国した。だから、かなりの観光地を知っていることになる。
その北京へのマイクロバスにしても、北京市内と市外の境界で検問があるが、毎回そこで止められてチェックを受けるところが、あの「盧溝橋」である。ここは観光地とは言いがたいが、まあ史跡ではある。毎回、何となくいやな気分になるところである。
北京および北京近郊には、万里の長城、明の十三陵、頤和園、故宮、天壇、周口店北京原人遺跡という6ヶ所の世界遺産がある。これら全て行ったが、どれもこれも歴史を感じるとともにスケールが大きく驚かされることばかりだ。
だって、万里の長城なんてヒルマンじゃないけど「シンジラレナーイ!」。だいたい、八達嶺というところに行くのだけれど、そこに行っても長城の全貌はわかりっこないわけで、ほんの一部を見るだけということになる。故宮なんか、これまた贅を尽くした遺物にびっくりする。頤和園なんて、人工の庭園だけどそのスケールが違う。日本の庭園なんて比ではなく、池じゃなくて湖を作っちゃうんだから。
このように、北京の史跡は皇帝の権力を誇示するようなものが多く、ぼくはあまり好きではない。色にしてもけっこう派手だし、渋い感じがまるでないのだ。
ところが、北京以外ではそうでないところもあって、ぼくが印象的だったのは、北京から北東259キロくらいのところにある承徳という町と、上海から南西180キロくらいのところにある杭州である。杭州には世界一美しい湖である西湖があることで有名だ。この湖は頤和園の人工湖なんかと比べものにならないほど清楚で美しい。ここのほとりの宿で一泊したが、ほんとに癒されるところである。
さて承徳のほうは、明清の時代から避暑地として有名で、康熙帝が造営した「避暑山荘」(これも世界遺産です)がある。趣としては京都という感じで、落ち着いた静かな町です。そのほかに「外八廟」(これも世界遺産)といってチベット式寺院がいくつも建てられているところがる。
前にもこのブログに書いたけど、ポタラ宮を模した宮殿があり、さしずめミニチベットという様相である。ぼくが行ったときは、紅衛兵が荒らしまくったあとに行ったので、非常に残念だったし、がっかりした。それでもぼろぼろになりながら屹立している姿には感動したのである。
実は承徳という町は、かつて日本の関東軍が占領し、司令部が置かれた場所でもある。町を歩くと塀などに日本の兵隊さんが書いたであろう自分の名前と出身県を落書きしてあるのを見つける。いまはどうなっているのか分からないが、少なくとも30年前には、日本軍の爪あとが残っていたのである。
ぼくは、そのとき日中両国の軍人さんに痛めつけられた傷を両方同時に目の当たりにして非常に複雑な気分に陥ったことを、今思い出している。