第137回芥川賞が諏訪哲史の「アサッテの人」に決まった。群像新人賞も受賞しているのでダブル受賞は村上龍以来30年ぶりなのだそうだ。
その、村上龍は芥川賞の選考委員であるが、今回の受賞作については、石原慎太郎ともども推していなかった。この二人は前回の青山七恵の「ひとり日和」は絶賛していたので、気が合うお二人のようだ。
一方、「アサッテの人」を評価していたのは、川上弘美、小川洋子、山田詠美といった女流作家であった。前二人は今回から新たに選考委員に加わった。青山七恵を推す男性選考委員と諏訪哲史を推す女性選考委員という構図は何となく面白くないですか。
作品は“ポンパ”とか“タポンテュー”だとかわけのわからない言葉を発する作者の叔父のことを書いたものである。その書き方は叔父の日記や小説の草稿などを並べて構成したもので、少々変わった小説仕立てになっている。
こういうものは、いままででもあったようでそう目新しいものではないようだが、むしろ奇をてらったとしても、内容的にはそう難解な表現で書いてあるわけでもなく、割と重厚な、本来の純文学であるように思える。言葉で表現することが小説であるが、その言葉がわけのわからない“アサッテ”の言葉で作品の意味を伝えようとしている。この逆説的な表現により、現代の言葉によるコミュニケーションの難しさを感じることができるというとちと大げさか。
でも、選考評で石原慎太郎が、もう書評までいかなくてタイトルが気に食わないと吼えていた。今回の候補作の題名が、「アサッテの人」、「オブ・ザ・ベースボール」、「わたくし率 イン 歯ー、または世界」、「主題歌」、「グレート生活アドベンチャー」、「アウラ アウラ」とくりゃ確かにわけがわからないや。でも、その中では「アサッテの人」はいいんじゃないですかねえ。
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凡庸とアサッテは背中合わせ?
「チューリップ男」が光る
私の叔父の話なんですが…
