今朝の朝日新聞に「IT調達改革の星」という記事があった。長崎県の島村さんというCIOの活躍を書いたものである。行政のIT化に必要な機器やシステムの調達を改善し、情報コストの低減とともに地場IT企業の育成、県職員のITリテラシーの向上を実現した話である。
最初の調達コストを下げた件は、従来は大手ベンダーに発注して割高になっていたのを直接地元業者に発注してことが大きい。発注側としては、実績もない小さな会社に依頼するのはリスクがあるのだが、そこを多少の失敗は覚悟でまかせたのだ。なんといってもこのスタンスがすばらしい。これで、コストは下げられるし、地元の業者は育っていくという大きなメリットをもたらしてくれる。お役所は冒険はしないところと決まっていたが、こういった挑戦的な役所も現れてきたのだ。
どうしてこういうことができたかというと、島村さんは民間から来た人なのだ。6年前に金子知事に招かれて日本総研から出向してきた(今は正式の職員になった)そうだ。こういう試みは大いにやるべきだし、他の行政も見習ってほしい。ぼくも盛んに言っていることだが、ITを梃子にした地場産業の活性化というのにも、こうしたケースは含まれている。すなわち、行政の仕事を地場のIT企業がやることで成長し、ひいては全国展開できるくらい力をつけることである。ITは地方からでもグローバル化できるのだ。
ところで、その記事の中に、国際大学の地方自治体IT調達協議会の調査の結果が出ていて、02、03年度都道府県の公募型IT調達では、NTT、富士通、NEC、日立製作所の4グループの合計シェアが何と75.8%で、しかも13政令指定都市では91.6%になるという。これってびっくりするでしょ。
ただし、実際に手を下してシステム開発をしているのは、下請けの業者だから、実開発業者のデータをとって調べたらおもしろいと思うが、上記4グループまあ言ってみればゼネコンだけど、彼らが全部上前をはねるという全くの女衒商売をやっているわけだ。だからこの構造を変えていかなくてはいけない。
さらに、島村さんは「殿様商売」に安住する大手IT企業には大きな技術的進歩が望めないのではないかとも指摘している。全くその通りだと思う。特に地方自治体なんかはITの妥当な価格は分からないし、そもそも予算さえとれれば、その予算どおりにつくればいいわけで、そこにはコストを下げるための工夫だとか、コストパフォーマンスの考えなんかないのだ。そうなると、ゼネコン企業側もこれだけ人月がかかりましたからお金をくださいといえば、そのとおりもらえるから、安全な方法で、あるいは今までと同じやり方でやっとけばいいやとなって、新しい技術を採用するだとか、少し開発的要素があるけどがんばってみようかということができなくなっているのだ。
その意味でも長崎県の事例は非常に参考になるし、単なる先進事例だけで終わらせることなく、他の県も追随していってほしい。そのためには、ゼネコン会社から人を受けるのではなく、その利害から外れたところにいた島村さんのような人をどんどん行政に送り込む必要があると思う。