いつぞやWeb2.0のビジネスはヤクザみたいなビジネスだというコメントをいただいたことがあって、じゃヤクザのビジネスってなんなのだろうとずっと気になっていた。それで、先週東京に出たとき八重洲のブックセンターに立ち寄ったとき、ふと目にして思わず買ってしまった「ヤクザに学ぶ サバイバル戦略」(山平重樹著 幻冬舎アウトロー文庫)を読む。
そこには、ヤクザの強い組織、人間力、錬金術、生き様が描かれている。結論的に言えば、ヤクザの世界もビジネスの世界もあまり変わらない。結局、強いリーダシップをもったトップが堅い組織をつくり、知恵とアイディアで戦略を練り、不屈の精神で実行するという話なのだが、そうはいってもやはりヤクザはヤクザなりの特徴みたいなものがある。
まずは、「抗争をやって勝てば勝つほどカネが湧いてくる」ということだろう。ふつう、抗争なんかやると逆にカネがかかってしょうがないんじゃないかと思うが、そうではないのだ。どういうことかというと、ヤクザは何で稼いでいるのかだが、つい密売や売春、用心棒だとか、はたまた強請たかり、恐喝が思いつくが、実はヤクザのシノギの大半はカタギが持ってきてくれる仕事で成り立っているのだそうだ。
商店主から大企業のえらいひとまで、あまり表沙汰にしたくない問題を何とかしてくれと依頼されるわけだ。トラブルコンサルタント業である。だから、そういった仕事を依頼するほうにとっては、確実に早く解決してくれる力のある組織に頼むのが一番いいのだ。そこで、抗争で勝って力の強さを見せつければお客さんも増えるというわけだ。
また、ヤクザがバブル期の地上げに代表されるように拝金主義になってきているそうで、本来ヤクザはカネを稼ぐことが目的ではないはずなのだが、これがヤクザの仕事かと思えるようなことまで手を出している。
これはそなんに悪い例ではない、むしろうまくビジネスにしたということかもしれませんが、駅で読み終わった週刊誌やマンガを売っている光景をみることがあると思いますが、これはヤクザのビジネスなんです。テキヤというのもヤクザですが、そのテキヤの組長が思いついたそうだ。ホームレスを動員し、マンガや週刊誌を回収し、それを1冊10円とか20円で買取り、それを一律100円で売るのだが、テキヤだから露天販売はお手のものである。当然当局から苦情があったがそのときテキヤが言った言葉がおもしろい。「仕事がないというホームレスの人たちの自立ために、オレたちは及ばずながら力になろうとしているんだ」と言ったそうだ。
この話は、けっこうヤクザの世界を象徴している面もあるような気がする。すなわち、社会の底辺でうごめいているある意味の弱者を救う役割、通常の組織でははじきとばされてしまう若者を受け入れてあげる場であるのかもしれない。だから、本来のヤクザ(こういうのもちょっと変だが)はけっしてカタギに迷惑がかからないなかで、負の部分を担う裏の世界を形成していたわけで、それはそれでぼくは評価している。
最初の疑問であったヤクザのビジネスモデルとはという問いに直接答えてくれてはいないが、ITヤクザというより、ネットテキヤというのがありそうだ。それと、どうも“ヤクザはNPOである”ように思えてきた。
最後に、ビジネスモデルではなく、経営方針というか、五代目山口組・渡辺芳則組長がつくったという標語を紹介する。「団結 報復 沈黙」の3語だそうだ。
- 山平 重樹
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