これまでの議論はITについてというより、仕事に対する姿勢や態度といったことに焦点があたっていた。そこで最終的に行き着くところというのは「仕事が好きですか」というところになる。すなわち、何をするにしても、やっていることに工夫をこらしたり、改善したり、自分の思うようにするといった振る舞いは、結局は好きなことに対してしかやらないのだ。
仕事が好きになること、あるいは仕事が楽しくなることと言い換えてもいいが、どういうことなのだろうか。桑田の話を先のエントリーで書いたが、よく、プロ野球の選手が「結局、私は野球が好きなんですね」なんてコメントを言ったりするのを聞くことがありますが、そういうことなんだろうか。この野球選手、別に野球選手でなくてもサッカー選手でもテニスプレーヤーでもいいのだけれど、ほんとうに野球が好きで、サッカーが好きでということなのだろうか。
どうもそうではなくて、あることに関わったらそれに対して極めたいという気持ちが働き、それに真摯に向かい合い、そうしていると対象となっているものに愛着がわき好きになっていくということではないのかと思ってみる。だから、「結局、私は野球が好きなんですね」と言っている野球選手ももしかしてサッカーをやっていたら「結局、私はサッカーが好きなんですね」というのではないでしょうか。だって、いろいろなスポーツをやってそれを比較してこちらがいいということはできないのだから。
これは、仕事でも同じで銀行に入った人が「銀行員が好きなんです」というのと一緒で、これにしてもひょっとしたら役人になっても同じことを言うのでしょう。従って、どんな職業でも職種に関係ない部分における仕事、すなわち、最初は与えられた仕事かもしれませんが、確実に早くこなし、そのうち自分なりの工夫もし、相手に喜ばれるという行為を楽しく思ってやることができるかどうかということで、これができる人はどんな業態や会社でもうまくできるのでしょう。
ということで、仕事が好きであることが大切であるが、それだけで成功するとは限らないのが世の中なのですね。これは、前々回に書いたように仕事はリセットが効かないわけで、また特に会社での仕事ってかなりの部分対人関係で決まるところがあるので、すんなり自分の思い通りにはいかないのです。
だから、近頃“めぐり合わせ”というのがすごく大きなファクターであるような気がしている。いくら優秀なやつでも上司に恵まれなかったばっかりに自分の成果を評価してもらえなかったり、あるいは能力を発揮する場をつくってもらえなかったりとかが起こる。また、それ以外にもたまたまその時期に何かが重なって、不本意なほうの仕事についただとか、そういった“めぐり合わせ”によってずいぶんと違った生き方になる。しかし、これはしかたがないことでそれを嘆いていても始まらないわけで、そのなかで精一杯自分を認めてもらうことに全力を傾注することだと思う。
これからこうした人間関係のことも含めていろいろ考えていこうと思います。
さて、次回からはもう少しITっぽい話にしたいと思います。日常の会社での行動の多くは情報処理です。情報を収集し、それを編集・加工し、発信することになります。このそれぞれのアクションにITがどう使われ、生かされているのかを議論していきたいと思います。