日常の業務処理のなかで、情報活用というのが重要な作業となる。最近は、社内外のいろいろなデータベースからの情報やインターネットを介した情報交換などで、非常に多くの情報に接するようになった。多いということは逆に玉石混交で、そのなかから有用な情報を見つけ出すことはすごく大変である。
また、その情報をどう活かすかが重要で、小売業などはPOSデータを品揃えにどう反映させるかが生命線みたいなところがある。まあ、小売業ではなくても一般の会社における、しかも個人の事務処理のようなところでも、この情報を取捨して、それをどう活かすかは労働生産性を高めるためにもよく考えておく必要がある。
その情報処理プロセスでよく言われるのは、もはや問題解決型のやり方には限界があって、仮説検証型に変えていかなくては創造的な仕事はできないというようことである。そしてさらに、この仮説を立てるのはコンピュータにはできないから、人間がやらなくてはいけない。ここが人間が能力を発揮する唯一のプロセスだから、みんなその能力を鍛えよみたいになってくる。
確かに、そうかと思ってしまうところもあるが、待てよちょっとちがうんじゃないかと思ってみる。まずは、問題解決型というとなんだか言われたことを決められた手順でこなしていくイメージをもってしまうが、本当にそうだろうか。じゃあ、いったいだれがいろんな情報あるいは起こった事象から、問題であるところを見つけ出すのだろうか、問題として設定するのだろうか。実はこの問題設定(発見)能力は大事な能力で、これをおろそかにするとトンチンカンな方向に行ってしまうケースはよくある。
一方、仮説検証能力も、収集した情報を分析してそこから未来を予測するというのが情報処理プロセスの大きな目的と考えれば、非常に重要な能力であるといえる。
ですから、情報のさばき方は二つの方向性があって、ひとつは情報の中から問題点を見つけそれを解決するようにもっていく方向、もうひとつは、情報を分析し、その関係性から予測モデル化する方向である。だから、どちらか一方ということではなく、問題解決型アプローチと仮説検証型アプローチをバランスよく使い分けることが必要である。
場合によっては、ひとの役割もそういう体制にしてしまうこともありえるのではないでしょうか。その最も典型はお役所でしょう。キャリアは仮説検証型能力を生かす役割であり、ノンキャリアは問題解決の専門家でしょう。
ところが、一般の企業においてはどうなっているのかというと、総合職と一般職があるが、どうもそのへんが曖昧になっていて、すなわち、乱暴にいうと何でも求められていて、みんなが類型化された立派な社員になれと言っているような気がする。
ここでちょっと矛盾したようなことをいう。これまで書いてきたことと関連すると思ったのは、サッカーのことである。サッカーチームというのも、仮説検証型のフォワードと問題解決型のバックスとで成り立っていると言えないこともない。いま、その代表チームでオシム監督が盛んに言っている“ポリバレント”ということが注目されている。“ポリバレント”というのは多様性ということで、ひとりが複数のポジションをこなせるようにすること、また、攻撃だけではなく守備もできる、あるいはその逆ができることでる。だから、あまり役割を固定化せずに多様性をもってやろうよ、それにより様々な局面における対応力をチーム全体で高めていこうよということである。
どうも、この考え方というのは会社でも役所でも通用するものではないかと思われる。その前提は、あくまでどちらか一方できちんとできてこそ、別の能力を持つほうにいけるのであって、最初からなんでもやるのではなく自分のホームグランドを持ってからであることは言うまでもない。
今回は、ITのことはあまり出てこないが、いまは溢れる情報を社員それぞれが多様性をもったアプローチで処理していくことが大事であると言いたかったのである。次回にこの情報あるいはデータをどう読むのかという若干ITに近づけた話をする。