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字幕屋さんのウップンばらし

「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」という長たらしいタイトルの本を読む。著者は、太田直子といって、映画字幕翻訳を始めて約20年、手がけた作品1000本あまりのいわゆる「字幕屋さん」。

これがなかなか面白い。普段字数を制限されることばかりであるのが、本ならいくらでも書けるので、はじけている感じです。

何といっても一番おもしろかったのは、セリフの長さと字幕の字数が決まっているということ。1秒のセリフなら翻訳文は4文字以内、2秒なら8文字、つまり「1秒=4文字」なのだそうだ。要するに人間の字を読むスピードに限りがあるので長たらしい文章は読み切れないのだ。だから、セリフをそのまま翻訳したら「1秒=4文字」ルールに収まらないことが多く、短くまとめなくてはならない。

従って、こうした「要約翻訳」がゆえの悩みがいっぱいでてくるわけなのです。なかには、吹き替え版と字幕版を比較して違うとクレームをつける人も出てくる。例えば、吹き替え版では、「なぜもっと前にそれを言わなかったんだ?」が、字幕版になると「なぜ黙ってた?」となるわけです。

そのほかにも、「私」「ぼく」「おれ」のどれをわりあてるかとか、教養、常識がなくなってきて、当然常識として知っているだろうことがわからないので固有名詞ではなく一般的な言い方になるとか、「知識の基準」をどこにおくかが難しいそうだ。

それとか、配給会社の注文で意味を変えてしまうこともあるということで、感動と涙を誘うために反対の言葉を叫ばすとかがあるとのこと、そうなると映画も捏造なのかと驚く。

まあ、字幕屋だと清水俊二か戸田奈津子くらいしか名前が浮かんでこないけど、こういう人もいたのだと再認識。字幕屋のその内幕が半分愚痴って半分楽しんで書いてあって、いちいち納得しながら一気に読んでしまった。

これから、映画を見るときは少し字幕のことを気をつけて見てみようと思っています。

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コメント (1)

映画の字幕と似たような問題は、ミュージカルのナンバーの翻訳にも生じます。オリジナルの意味とニュアンスを変えずに、メロディーとリズムに合わせた日本語にしなければならないわけで、翻訳者の苦労がしのばれるというものです。それでも、日本で上演される“翻訳”ミュージカル-例えば、レ・ミゼラブルとかオペラ座の怪人とか-は、とてもよく翻訳されていて(多少、変なところもありますけれど)、すごいな~と思ってしまいます。

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2007年03月24日 11:43に投稿されたエントリーのページです。

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