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ユーザ目線のBPM(3)

ユーザとは誰のこと、そして何を考えているのか

ひと言でユーザといっても様々である。ひとによってはユーザ企業と言ったり、ベンダーにとっては自分たちの顧客企業だったりします。しかし、この括りだとあまりにも広すぎて、どんなものが欲しがっているのだとか、どういうサービスを提供したらいいかなど考えたとき絞りきれないことになる。そうすると、「システムを使う人」をユーザと呼んだほうがよさそうだ。

そういった観点から、企業の中で働いているひとを分類してみると、大きく、経営者(社長)、事業責任者(事業部長)、業務遂行責任者(部長、リーダ)、業務担当者ぐらいに分けられる。経営者は事業部長に事業の執行を負託し、事業部長はそこの部長やグループリーダに対し、事業運営上必要な業務プロセスを正確にかつ効率的に廻すことを指示し、部長やグループリーダは自分の部下ある担当者にオペレーションを実行させる。この役割をはたすために必要に応じシステムを使うひとたちがユーザということになる。

これは、主としてライン組織のことを言っているので、このほかにスタッフを入れてもいいが、システム的にはスタッフ業務のような不定形な支援業務は外して考えてもかまわないので、ここではライン組織にいるひとたちをユーザと呼ぶことにする。

いま、こうして言っていることは上場しているような企業を対象としているが、中小企業の場合は、経営者ひとりがほとんどの役割を持っている。

それでは、それぞれの立場のひとたちは、どのようにシステムを使うのだろうか。また、システムあるいはITに関して何を考えているのだろうか。

まずは、経営者についてみてみよう。経営者はITをどのように使い、その有用性をどう考えているのだろうか。実際の経営者との会話の中で語られたことを今から述べる。

ある時期危機に瀕していた会社を立て直し、中興の祖と言われたような立派な経営者のひとが、あるとき、会社の経営について語ったのだが、しみじみ「経営の歴史というのは、特別損失の歴史なんだ」と言った言葉がすごく印象的であった。

ひとつには、日々努力して積み上げたものが一瞬で消し飛んでしまう恐ろしさであり、また、ひとつの会社のことだけの問題ではなく、社会の一員であるの会社として、その社会環境の大きなうねりの中にいて、いつその波をかぶるかもしれない、そんな中での営みが経営でもあるということを言いたかったと思う。環境問題、事故、ファイナンスの失敗、海外プロジェクトの政治的リスク、合併、コンプライアンス等々、こうした問題で損失を被ることの経営に対するインパクトは大きい。

このような問題に対しITが貢献できるかと考えたとき、何があるのだろうか思ってしまう。ITで危険予知情報を流すことができるじゃないか、みたいに言われるが、本当に役に立つ情報を探し出して提供できるのだろうか。内部の財務データや与信データぐらいはできるかもしれないが、外部についてはおそらく難しいと思うし、経営者も欲してはいないだろう。

また、だいぶ前だがあるセミナーのパネルデスカッションで言ったこともユーザのITに対する考え方につながる話なので、ここで紹介しておく。それは、情報活用についての各社の取り組みを議論というより、紹介し合うようなものでしたが、そのパネラーとして参加して発言したことを少し長くなるが引用する。

情報活用行う上で重要なことがありますそれは3つの度ということです

1、3つの度とは、鮮度・感度・加工度
2、感度というのは情報の送り手と受けての意識がどれだけマッチングしているか、受け手の期待と送り手の洞察力が合うかどうか 
3.加工度というのが結構大事なことで、どういうことかというと、あるとき経営トップと話をしていたとき、事業部などとのヒアリングで分厚い資料を見せられて、どうかといわれるが、そのデータというのはたいていの場合自分たちの都合のいいように加工したもので恣意的なデータであるわけで、そんなものをみせられても困る。いっそ生のデータのほうがましだと言われたことがありまして、しかしだからといって生のデータを渡してどうですかというわけには行かない。どこまでに加工するかが重要なポイントではないか。

では経営に役立たせるためにはどんな情報を提供すべきなのだろうか
1、いまのような話となると、経営としては単なる数値データだけの情報ではもちろんダメ
2、数値データではない情報、内部情報だけではない外部情報も必要
3.死体解剖的な情報から生体ドック的な情報をどう提供できるかにかかっている
  過去のデータみてどうだったかではなく、これからどういう手を打つんだというための情報が重要
4.究極的な言い方をすると社長になれるCIOがどんどん出てこないと真に経営に役立つITを提供できない

ところが役に立つ領域もあって
1、情報活用を考えるとむしろ事業部長とか各部長のところが有効
2、なぜかというとちょうど情報がクロスするところで、経営からの情報、オペレーショナルレベルからの情報がクロスするところ
3、ここの裁き方で企業としての情報活用度が上がる
4.したがって、ここへ向けた仕組みを構築するのが効果的

というようなことをしゃべった。要するに、「経営に貢献するIT」なんて軽々しく言えないなということである。

ですから、大上段に振りかぶって経営戦略がどうのこうのといわず、“会社の業務がちゃんと動く骨太の基本構造をシステム化すること”が最重要で、それは、業務プロセスとそれに情報活用でオペレータやマネージメントを支援するシステムがあれば十分であると思う。オペレーショナルなレベルに近いところのシステム化ということである。

ですから、別の言い方をすると、事業部長や部長クラスのミドルマネジメントにとってはITは非常に有用なツールであると言える。

稚拙なたとえ話で恐縮ですが、経営者は性能のいい車と腕の立つ運転手だけがほしいのであって、自分の行きたいところに自分の思ったように運んでもらえばいいと考えている。余計な機能、例えばスピードが出ているから緩めろとか、この道が早いからこちらを通れとか、それこそもうすぐレストランだからそこで食事せよとか言ってくれるなと思っている。寄り道したいときもあるし、たまにはスピードも出してみたいときだってあるのだ。それは、経営者の頭のなかにあって、それが経営者のシステムなのだ。

よく、えらそうに小声でこれはすごい秘密情報だから、ここだけの話にしておいてくれ、とかさも自分は会社の中枢にいるえらい人かのように言う、まあだいたい中間管理職だがそういうひとがけっこういる。ところが良く考えてみるとそんなものはほとんど秘密情報でもないことが多い。もちろん、新商品の情報とかの本当に秘密にしなくてはいけない情報はあるが、最近はどんどん情報開示の方向であり、かなり少なくなってきている。

それで、その辺を喝破した経営者がいた。曰く「会社の秘密情報は全部オレの頭のなかにある」。そうなのです、最後の最後にどんでん返しとなる企業合併なんか典型です。

ということで、性能のいい車とカーナビくらいを用意しましょうというのがここで言いたいことです。

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2007年03月01日 11:57に投稿されたエントリーのページです。

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