「ウェブが創る新しい郷土」という本を読む。著者は丸田一という地域情報化のフリーの研究者です。テーマはネットとメディアで地域の活性化を図れというもの。
前半は、地方における境界や中心商店街の消滅のことや地域の情報化とは何かが書かれている。空間をデザインする都市計画と集団をデザインする地域情報化の対比のなかで、ともに「活動の場」のプログラムでありながら、参加者の「場の利用」をコントロールする都市計画に対して、参加者自身に「場の設計」を促進し、運用させるのが地域情報化であると規定している。地域における活動の場には、「地域プラットフォーム」と「地域メディア」があり、それにより地域活力の向上と地域実体の回復が期待できるとしている。
とここまでの解説はまあなるほどと思わせるが、後半の事例の紹介から俄然面白くなる。ここで紹介されている事例は、“対話の共同体”として、「シニアSOHO普及サロン・三鷹」、「富山インターネット市民塾」、「鳳雛塾」、“想像の共同体”として、「佐渡のお笑い島計画」、「PACと住民ディレクター活動」、「地域SNS」である。詳しくは本を読んでみるのが一番で、ぼくだけかもしれないが先進的な地方で様々な挑戦を行い、成功した事例があることを知って驚いてしまった。
ここで、感じたことは、インターネットやテレビなどを従来型の使い方から創意工夫により変えていっていることである。具体的には、地域限定的なSNSであり、テレビは見るものから使うものへの変化である。このような事例を見ていくと地域の活性化は、インターネットや放送という技術を物理的に近接しているという地域独自の空間の中でうまく道具として使い、そこに住む人たちが主体的に活動することで達成できるのではないだろうか。
ぼくもWeb2.0を考えるとき、グローバルに見る見方の対極としてのローカル性も注目していたが、この本を読んで頭の中が整理できた。ぜひ一読をおすすめしたい好著です。