今、少しばかりマーケティングについて勉強しているが、ある本にマーケッティングコンセプトは生産志向→製品志向→販売指向→消費者志向→社会志向へと変遷していると書いてあった。これをIT業界、とりわけソリューションベンダーの視点で見てみると面白い。
この話をする前に、この業界あるいは企業の情報システム部門が抱えている課題について整理しておく必要がある。大きな2つの構造的な問題点がある。ひとつは、エンタープライズシステムの作りあるいは作り方そのものの問題、もうひとつは、ヒトや組織、ユーザとベンダーの関係、人材育成等のいわば人的な問題である。システムの構造というのは、簡単にいうとフレキシブルでアダプティブな構造になっているのか、真の意味のSOAやBPMが実現できているのかという問題なのだが、これについては後日議論します。人的な問題で主なところでは、まず、ユーザにためになる、言い換えれば経営に役にたつシステムをベンダーはユーザに提供できているのか、つぎにユーザの情報システム部門もベンダーに丸投げせずに自力でシステム化する努力をしているのか、といったところがあります。
冒頭の話は後者の問題に絡んだことになる。すなわち、これまで、ソリューションベンダー(メーカ系であれ、独立系であれ、ユーザ系であれ)は、言われたとおりにプログラムを生産することから始まり、あるいは、ハードウエア、ソフトウエアを本当に使われるかは後回しで言葉巧みに販売してきたように思われます。しかもそれらが役にたっていなくてもハードのお金やかかった工数の労務費を請求し、ユーザはわからないものだから言われるがままに支払うという関係でした。コンピュータがわかる経営者もいなかったため、何となく高いコストであると思いつつそのまま放っておいたというのがだいたいの会社の実態なのではないでしょうか。消費者志向、社会志向ということを本当に考えていかなくてはいけないと思います。
ところが、先日あるベンダーのひとと話をしていて、話題が国の中小企業のIT化支援になったのだが、経済産業省が「IT経営支援隊」というプロジェクトを始めて今年が最後の3年目になるそうで、最初は中小企業のIT化促進というのが前面に出ていたのが最近はどちらかというとベンダー寄りになってしまったと嘆いていました。結局、主管しているのが情報処理振興課なのでベンダー育成なんですね。国がこんな調子だから困ってしまうのだが、要はユーザに役立ってなんぼですからそういう観点で支援してほしいものです。それが、ベンダーの消費者志向、社会志向のマーケティングにつながると思うのだが、私はもう半ばあきらめていて、ユーザ自身が立ち上がらなければいけないというのは以前「企業情報システムの課題」で書いたとおりである。
とはいえ、ユーザ自身ができるのはあくまで大企業であって中小企業は無理です。そこで、中小企業向けにシステムの共同利用をめざしたセンター化が必要になってくると考えています。しかも中小企業ですから地域密着型です。いま、そうした考え方から「ITから生み出されるサービス」を提供する「地場中小企業向けビジネスサポートセンター」というものを構想中です。いろいろなところで仕掛けをしていますが、時間がかかるのは覚悟の上でがんばっていきたいと思っています。