話題の映画「フラガール」を観る。途中の早苗という女の子が夕張に引越してしまう別れのシーンあたりから、これでもかこれでもかという泣かせシーンの連続で涙が止まったかなと思ったらすぐまた涙ということでずっと鼻水をすすっていました。実話に基づいているのだけれど、もう実話そのものがドラマチックだから、むしろどうやって2時間ちょっとに凝縮させるかが大変だったのではないでしょうか。
時代が昭和40年で蒼井優が演じる主人公の紀美子がちょうど高校生だから、ぼくの高校時代とダブルわけで当時の雰囲気がよく分かる。細かいところだが、紀美子が持っていた”パンナム”のバッグはなつかしかったですね。何しろ当時、航空会社のバッグを持つのがはやっていたのです。ちなみにぼくは”スイス航空”の水色のヤツを肩にかけて颯爽?と歩いていました。ただ、時代の感覚からいうと世の中の大半は高度経済成長の波に乗って生活が豊かになるという受け止め方でした。昭和39年に、東京オリンピックがあり、新幹線が開通し、日本中が戦後の復興を実感したころでもあったのですが、映画の舞台となった炭鉱はそれとは逆行するような世界があったのです。
変化が起こったときかならずその流れにのるやつと取り残されるやつがいる。この映画は取り残されるが、それを受け止められない、いや受け止めようとしないやつ、変化について行こうとするやつ、ここがチャンスだと思うやつ、そんなひとたちが織り成す物語となっています。
最初に言ったとおり実際のエピソードがすでに感動ものだから、それをどう演じるかでおおかたの良し悪しが決まってしまう。その点で言うと、まさにそこで成功したため高い評価となった。役者陣がすばらしい。まず何といっても蒼井優なのだ。前にテレビの”情熱大陸”を見て知っていたのですごく興味を持っていたが、予想以上にすばらしかった。この子間違いなく将来の日本映画を背負っていく逸材です。それと、意外といったら失礼だが、松雪泰子がテレビで見るときとは全然ちがうのでびっくりした。ふつう、映画というのは柄がでかく見栄えがよくないとだめみたいに言われるが、テレビではただやせた疲れたおねえさんに見えたのが、実に堂々とした演技でこれまたすばらしいできです。そのほか、岸部一徳、富司純子、豊川悦司など芸達者な面々が盛り上げています。ただ、南海キャンディーズのしづちゃんはう~んどうなんでしょう。
圧巻は最後のフラダンスのシーンで、これは感動ものです。この映画が何とアカデミー賞の日本代表になったそうです。アカデミー賞に合うかどうか疑問のところもありますが、健闘を祈りましょう。
さて、「フラガール」はベタな泣かせ映画かどうか、確かにベタな泣かせ映画であることは確かだが、演出、キャストなどが素晴らしいので「いい映画」となった。だが、残念ながら「名作」にはならないだろう。そういう映画です。